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その262 故郷では度胸者

 常に嘘偽ることが出来ない私だけど、その言葉はとりわけ咄嗟に出た言葉だった。

 トラコさんの妹様が一緒にいる姿が私は大好きだから、それを否定されるのは許せないものがあったのだ。

 いわばこれは解釈違い。

 オタクとして譲れる矜持がそこにはあった。


「妹様はとんでもない能力を有しています。それは人格にも絶対に影響があって、酷く横暴な性格になっても仕方がないと思うんです。けれど、妹様はとても良い子で、明るく元気に育っています。それは絶対トラコさんのおかげなんです!」


 特別な子供は普通に育つだけでも大変だ。

 妹様くらい特別だともっととんでもない性格に育ってもおかしくないと思うのだけど、しかしながら妹様はとても良い子に育っている。

 まあ、多少エキセントリックではあるけれど、それも可愛いくらいだし。


 これはもう教育が素晴らしかったと見て間違いない!

 もっと言えば、そんな力をものともせず動じないトラコさんの姿は、きっと安心感を与えていたはず。

 妹様にとってドラゴンは、最高のメイドさんだったのだ。


「だから、そんなこと言わないでください──世界一可愛いメイドさんには似合わない発言ですよ!」

「……そうですね。ありがとうございます、ラウラ様。メイドらしからぬ発言でした」


 そう言うとトラコさんは一度ホワイトブリムを正し、強く宣言する。

 

「ご心配おかけしました。今、ドラゴンと言う世界一ブスなメイドになってしまっているので、早く解決いたしましょう!」

「ドラゴンをブスって表現する人は初めてみたけれど、その意気だよトラコさん!」

「でも、ドラゴンってプリティ要素皆無じゃないですか? お肌もカサカサですし……」

「お肌が潤っているドラゴンの方が変だと思う!」


 保湿を気にする珍しいドラゴンことトラコさんだった。

 うん、ひとまず元気が出て良かった。

 あとは元通りのプリティメイド(女装)になるだけ!


「……で、えっと、ジェーンにボコボコにされればいいんでしたっけ?」

「はい、ボコボコにされます」

「なぜそんな解決方法に……?」


 最終的には暴力で解決というのは一定の現実味があるかもしれないけれど、この場合の因果関係は酷く謎だ。

 【ジェーンが】ボコボコにするというのも分からない。

 ジェンガをボコボコにするならまだ分かるけれど……いや、全然分からないな。

 ジェンガってそっとするものだからね。


「ジェーン……様は妹様と同じ魔法を扱えた過去があります。だから私のこともドラゴンと認識出来ていたのだと思うのですが」

「あっ、そういえばそうだったね」


 幼い頃のジェーンはやんちゃを絵に描いたような性格をしていて、その上で天才だったものだから『素直の魔法』を自由に扱えたらしい。

 そう考えると性格は妹様にやや似ていたのかもしれないけれど、ただジェーンの場合は更にパワーに磨きがかかっていたらしいので、妹様の方がマイルドだと言う話だ。

 トラコさんはこの頃の記憶がとてもトラウマになっているらしく、よく思い出しては震えあがっている。

 そんな相手に再度ボコられると言うのは心中察せざるを得ない。


「うっ……尻尾を掴まれてグルングルン回されていた時の記憶を思い出してしまいました。あと、口の中に頭を突っ込んで滅茶苦茶牙で遊んでいた時のことも……」

「度胸在り過ぎじゃないです?」


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