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その227 女子三人集まれば……


 ジェーンの珍しい一面も見られたところで、私たちは屋敷の奥へ奥へと進んでいく。

 しかしいくら進んでも何処にも辿り着くことはない。

 足が痛くなってきたところで私たちは異変に気付いた。屋敷って──こんなに広かったっけ?

 いや、勿論お屋敷としてそれなりの大きさがあるのは間違いないのだけど、こんな歩けど歩けど出口が見えない……なんてものではなかったはず。


「なんか距離が伸びてる?」

「結界内は結構何でもありなので」

「そういえばおじ様もすっごい自由にやってたね……」

「いえ、あの、閉じ込められている人があそこまで自由にやるのは異例だと思います」


 おじ様を例に挙げたけれど、あの人はやはりイレギュラー中のイレギュラーで、例としては不適切過ぎた。

 私の周辺、イレギュラーだらけすぎて例になる人全然いないな……。

 これではもうイレギュラーがレギュラーだ。

 

 更に歩を進めていくけれど、しかしやはり道は炎々と延々に続き、もう私たちは道が分からなくなってしまっていた。

 これではもう道ではなく未知だ。

 どうやらこのお屋敷は迷宮に変貌してしまったらしい。


「なるほど、兵士が駄目となると今度は迷路ですか。確かにこれなら壁を超えることも敵を倒すことも出来ません。トラコも賢いですね」

「なんかすっごく冷静だけど、普通にヤバイ状況じゃないの?」


 状況を冷静に分析するジェーンだけど、この場合、不安がる妹様に賛成したい私である。

 このままだと助けに行くのが遅れに遅れるどころか、普通に遭難してしまう!

 行きつく先は餓死である。

 室内で遭難するのは嫌だー!


「大丈夫です。ラウラ様、妹様。私、遭難は慣れているので」

「遭難に慣れることなんてある?」

「ないと思いますが、ジェーンは特別なので……」

「ただ、通常の遭難より難易度が高いですよね。狩猟が出来ませんし」

「狩猟前提なんだ……」


 過酷な状況になればなるほど頼りになるジェーンである。森で遊んだ日々が長かったのか、道が分からない程度で焦る彼女ではなかった。

 とはいえ、頼り過ぎるのも良くないのだけど。


「火の精霊って食べれるのでしょうか?」

「流石に人語を使う人を食べるのはやめよう!」

「ふふ、冗談です。そもそも栄養補給が必要なほど遅れたら意味がありません。早急にこの場を抜けましょう」

「す、すごい余裕だね、ジェーン。この迷路を抜け出す方法に心当たりが?」

「そういうわけではないんですが」

「そういうわけではないんだ!?」


 冗談を飛ばすほどの余裕があるジェーンだけど、この状況に対する解決策を持っているわけではないらしい。

 だとすると謎の自信すぎるけども!

 大事だけどね? とりあえず自信を持つことは!


「あまり敵意を感じないので、トラコとしても攻撃的にやるつもりはないのでしょう。ですから、急ぐ必要はあっても焦る必要はありませんよ」

「確かに攻撃的だったら炎の精霊さんも、もっと怖い感じになりそうだもんね」

「私からすればあの精霊もそれなりに怖かったですが……ともあれ、落ち着いてこの迷路の突破方法を考えましょう」


 一度立ち止まって周囲を眺めてみる。

 視線の先には曲がり角が見えるが、その曲がり角の先に何かがあるわけではなく、あの道は無限に続いている。

 よって道を単に進むのは意味がない。

 なら横だ。


 横見ればドアの類はある。しかし試しに開けてみようとしたところ、鍵がかかって開かなかった。

 こうなるとやはり──破壊しかない!


「ドアか壁を壊すのはどうかな」

「女子三人集まって初手の発想がそれなの、ヤバい気がする」

「ですが最初に試しておきたいことではありますよ。やってみましょう」

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