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その225 マジほのお卍


 妹様の手を繋ぎながら──いや、私が主体じゃなくて妹様から握ってきているから、妹様に手を繋がれながらが正しいか、妹様に手を繋がれながら屋敷の中を進んでいく。

 ジェーンは義務感からなのか、先頭をずんずんと突き進んでいた。屋敷に慣れていないはずなのに、なんと言う男気溢れる姿か。

 そしてその移動の最中に、私は妹様から話を伺っていた。


「急に気付いたの。トラコがドラゴンだって」

「本当に急流の様に急ですが何故?」

「なんでだろう……」


 急に認識改変が解かれた理由は本人にも理由が分からないらしい。

 まあ世の中、分かることの方が少ないので仕方なし!


「それで私がトラコをドラゴンだと気付いたタイミングで、トラコが本当にドラゴンになっちゃって……それで暴れ始めたの!」

「つまり変身したってことですか?」

「そうそう、すっごい巨体のドラゴンだった」


 妹様がトラコさんの正体に気付いたことで暴れ始めた。これは素直に考えればそのことが気に食わないので暴れている──ということなのかもしれないけれど、いまいちトラコさんのキャラにあっていない。

 そもそも私が正体を看破した時は別に暴れもしていなかった。

 人によって違うということ……?


「それでどうやら私を狙っているみたいだったから、お兄様が助けてくれて、屋敷の外までひょいっと投げられたの」

「妹様、軽いですもんね」

「将来は絶対重量級ファイターになるから!」

「重い方志望なんですか……脂肪志望なんですね」


 ある程度状況を把握したところで、前方を歩いていたジェーンが立ち止まる。


「どうしたのジェーン? やっぱり道分かりにくかった?」

「いえ、あの、何かが塞いでいまして」

「何かが? 塞いで?」


 何かと言われても何も分からない。一体何がいると言うのか。

 ジェーンの視線に追従して前方を見てみるとそこには──炎で出来た兵隊のような何かがいた。

 本当に何かとしか言えない造形をしているなぁ!

 

「恐らく、壁を越えられることを察したトラコが別の手段を取って来たんだと思います」

「ああ、結界の壁は越えられても私、人は越えられないもんね」


 こうやってジャンルの違う壁役を配置することで、突破を難しくしているということか。

 確かに私は結界の壁はスルー出来ても、屈強な兵士をスルー出来るわけではない。

 むしろ兵士が一人でもいれば私なんて無力もいいところである。


 やっぱり多重認証やパス変はいつの時代でも何処の世界でも大事なんですね。

 みんなも同じパスワードは設定しないようにしよう! 私は生前全く出来てなかったけども!


「とりあえず……蹴散らしますか?」

「ちょ、ちょっと待って! バトルから考えるのはやめよう! 対話から! 対話から頑張ろうよ!」

「話が通じる相手には見えないわ」

「確かに口がついているのかも怪しいですし、言葉も通じるか謎の謎ですが、一回やってみます!」


 妹様もジェーンもなかなか血の気が多いけれども、戦闘は避けられるのならば避けた方が絶対に良い。

 今の私は無駄に喋れてしまうので、とりあえず会話から入るのはもはや魔法によって身に沁み込んだ本能ですらあった。

 私はおずおずと炎の兵士さんに近付く。


「あのー、すいません……」

「うぃっす! なんかようっすか?」


 話しかけると意外にも普通に反応してくれた。

 そして軽い!

 炎の兵士さん、意外とチャラいぞ!


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