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その218 帰省苦手ウーマン


 ……何がですかジェーンさん!?

 何の何が何で可能なんですか!!!!?

 状況をまるで飲み込めない私だけれど、おじ様は全てを把握しているらしく、何やら興味深そうな表情でニヤリと笑う。


「勿論可能だ、性別は関係ない。なるほどなぁ……うちの妹がお前を気に入るわけだ」

「そ、そういう意味で気に入られたのかは分かりませんが、その場合、見込みがあると言う事でしょうか?」

「それは吾輩の知るところではないが、しかし応援はしたいところだな。どこの馬の骨かも分からん奴よりは安心出来る」

「完全にお父さんですね……」


 話の流れはよく分からないけれど……しかし、一つ分かったこともある。

 どうやらおじ様は──私のパパ的立ち位置を確立しつつあるらしい!

 いや、実の父の立つ瀬が無さ過ぎる気がするけれども!?

 いますからね? この世界にも、ラウラ・メーリアンにも父がいますからね?

 超放任主義なので関わりは薄いですが……!

 

「うちのお父様は子供たちに全然興味がない風な人ではありますが、滅茶苦茶悪人というわけでもありませんので!」

「ん? ああ、知っているぞ」

「知っているのですか!?」

「メーリアン家の人間は全て把握している。ラウラの父は確かクイズ好きのあいつだろう」

「その情報は娘の私でも初耳ですが……!?」


 何となく実の父のことを擁護してしまう私だけど、その結果、父の知られざる趣味を知ってしまった。

 おかしいな……結構厳格で怖そうな人なんだけどクイズとかするんだ……。

 ピンポーン!とか鳴らしてるのかな……。


「ラウラ様……」

「あっ、ごめん話に割り込んじゃって」

「いずれ実家にお伺いします」

「なんの宣言!? そして何故そんなに力強い態度で!?」


 謎の強い意志を持ってとんでもないことを言われてしまった。

 何故だろう、どこか自信を持っているようにすら見える。

 おじ様との会話でなにか見出したのだろうか。


 とは言っても、あんまり人に誇れる実家でもないからお伺いされても困っちゃうけどなぁ!?

 でも一度は帰らないといけないとは思っているんだよね……お兄様はたまに帰省しているらしいんだけど、私はもうずっと顔を出していないから。


 その時にジェーンも行きたいというのなら、一緒に行くのも悪くないかもしれない。

 いやむしろ良い! お兄様とジェーンとの距離が縮まりそうな気がするし!

 ……うーん、で、でもなぁ……それでもなお帰りたくはないなぁ……。


「駄目ですか……?」

「うっ……その上目遣いは反則……いや、ま、まあ、いいよ? 気が乗らないところもあるけれど、まあ、ジェーンと一緒に行くならありかな……」

「ほう、メーリアン家に行くのか。それならおすすめのスポットが」

「当家を観光スポットみたいに言うのはやめてくださいおじ様! わ、私はちょっと観光気分で彷徨ったこともありますけど!」


 オタクとして家中を見て回った過去があるのであんまり強くはツッコめなかった。

 その後は何故かメーリアンのお屋敷についての話題で盛り上がってしまった。

 まあ、割と面白い屋敷なので仕方ない。

 絵とか普通に動くもんね。甲冑も気付いたらポーズ変わってるし。振り返ったらダブルピースしていた時は流石に噴き出してしまった。


「ああ、ところでドラゴンについてだが……恐らくそいつが重要なのではなく、妹様と呼ばれている方が問題だろう」


 色々と楽しく話した後、もうそろそろ帰る頃合いかと思ったところで、おじ様はそんな話を持ち出した。

 

「どういうことですか……?」

「つまり、ドラゴン単体で世界を滅ぼすことはないが──その主従が共に同じ方向を目指せば、恐らく滅ぼせるという話だ」


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