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その207 ララララーララララー、懸念点腸捻転


「ええっと、私にかけられた魔法の簡易版の様なものがありまして、実際はそちらがオリジナルであり私にかけられている方が模倣品という少々ややこしい代物なのですが、その魔法にかけられたものは素直に言葉を紡げるようになるのです。しかも短期の間」

「すごーい! 都合が良い魔法だ!」


 まさに今この時の為にあるような魔法に妹様は飛び跳ねて喜ぶ。

 ただ、これは良い面ばかりじゃないのです。

 私はローザの顔を思い浮かべる。

 あの時のローザ、まさに薔薇だったなぁ。


「ただし羞恥心はそのままですから、素直になった己への恥ずかしさに耐え切れず猫の様な叫び声を上げてしまうリスクもあります。私の友人はこれで卒倒しかけました」

「思ったより都合良くない!」


 人生は試練の連続なので仕方がないのです。

 とはいえ本当に全てが全て都合が良いもので解決してしまっても妹様の為にならない気がするので、こう言った多少の問題がある方が、逆に都合が良いとさえ言える。

 都合が悪いからこそ都合が良い。そんなこともある。

 

「『素直の魔法』はそもそも子供へのしつけのために開発された魔法なので、状況には即していると思う」


 横からイブンが補足してくれる。

 そういえば由来はそんな感じだったっけ?


「遠回しに私にしつけが必要だって言ってない?」

「けれど懸念点もいくつか」

「何かあるの、イブン」

「その前に……懸念点と腸捻転ってちょっと似てる気がする」

「すぐに他のことに気を取られないでイブン! 似てると思うし急なその発想が可愛いけど!」


 イブンの気がそぞろすぎた。

 この自由過ぎるところがイブンのいいところなんだけどね。


「まず妹様は無敵だから、『素直の魔法』にかかるのか問題がある」

「あっ、確かに」


 無敵の範囲が広ければなるほど、他の魔法が効かない可能性は空の様に高い。

 気になって二人して視線を妹様に向ける。


「私が受け入れれば問題ないよ」

「へー、そういうものなんですね」


 なんとも便利な無敵だった。

 いや、むしろ便利だからこそ無敵なのかもしれない。

 不便な無敵は敵有りまくりだもんね。


「次に、根本的な解決につながるか疑問」

「まあ、そうだね……魔法に頼る姿勢も良くないのかな」

「それは悪くない。魔法に頼る姿勢が良くないというのは、新しい発明や楽をすることに対して忌避感を覚えている面が大きい。人は苦労をするべきという考え方があるけれど、それは部分的には正しく、しかし過剰にとらえるのは間違っている。効率は常に求めるべきであり、苦労したいのならそれは次につながるように極力無駄なく苦労するべき」

「な、なんだか大人なこと言ってるんだけど……前から思ってたんだけど、この子、変よね」


 持論を語るイブンに対して、妹様は驚いたように後退りをする。

 妹様に変と言われてはイブンも形無しである。お互い様ですよ、妹様。


 ちなみに私から見ると、私以外の全ての人は変人です。

 そしてだからこそ好きです。あいらぶゆー、変人。

 

「話し方も男の子みたいだし……」

「えっ、あれ? 妹様、ご存じなかったんですか!?」

「なにが?」

「イブンは正真正銘男の子ですよ。多分」

「ええええええええええええええ!? 男! この子が!? そうなの!? ぜ、全然そうは見えない……いや、ていうか、なんで最後に多分入れたの!?」


 イブンの性別に驚きのあまり目ん玉ひん剥いている妹様だけど、そういえばずっとメイド服着て作業してるから勘違いして当たり前だった。

 あと多分なのは、もう本当に多分としか言えないからです。

 大丈夫? イブンは男の子であってる? そんな疑問が私の脳を支配してやまないのです。

 前にも言ったけどイブンの性別はシュレディンガーなところあるから……。

 


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― 新着の感想 ―
[一言] えっ…?私以外の全ての人は変人…!? あれ、目おかしくなったかな…
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