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その199 秘密の蜜


 そういえば子供の想像力故みたいな話をトラコさんもしていた。

 つまり限定的だったのか……というか、むしろ限定的だからこそ強いのだろうか。


「あと攻撃的に無力と言うのはおかしな話です。そんなどちらかを立てるとどちらかが立たない、みたいなものではありませんから。実際私は、その、は、破壊の限りを尽くしていましたし……」


 魔王かな?

 とはいえ確かにそれはおかしな話だった。

 どうして攻撃方面では妹様の『信じる魔法』の効果が発揮されていないのだろう。


「トラコさんは誰かを傷つけたことがないからだって言ってたけど」

「ラウラ様……人は何も壊さずに生きられるものではありません」

「ごもっともすぎる……!」

「そうじゃなくても普通は物心つく頃には実行していなくても、それを想像する能力は獲得しているはずです。という事はつまり──」

「つ、つまり?」


 続きの言葉を言いかけたところで、ジェーンは自分の口を突然押さえつけた。

 そしてやってしまったと言わんばかりに、顔色が青ざめていく。

 

「──もしかしてトラコに秘密にされてましたか?」

「えっ、う、うん、私が『真実の魔法』かけられてるから仕方ないんだけど」

「ごめんなさい、あの、私も話せません……」

「いやいや! それが正しいと思う! 私は大丈夫だからさ!」


 一体ジェーンが何に気付いたのか分からないけれど、それを私に秘密にするのは至極正しいことだった。

 危ない危ない! 妹様の秘密を言い広めてしまうところだった!

 ラウラ・メーリアン、この人間拡声器め!

 

「ありがとうジェーン、ファインプレーだよ」

「いえ、あの、本当に、ごめんなさい……」

「ジェーン! そんな悲しい顔しないで!」


 思わぬ暗いトーンの声に、私はジェーンの手を握ってしまう。

 『真実の魔法』の少しの不便さを見て、また罪の意識が戻ってきてしまったのだろうか。

 これくらいなんてことはないのに!

 

「それよりもさ、実はうちのエクシュが喋らなくなっちゃって」

「えっ……それは心配ですね」

「超心配。だからニムエさんに色々聞きたいんだけど、今どこにいるんだろう……」

「ナタ学院長と言い、どうして皆さん良く消えるのでしょうか」

「ここよ~」


 おや、2人で首を捻っていると何処からともなく幼い声が。

 ジェーンと2人で部屋を見渡すけれど、ニムエさんの姿は見えない。

 一体何処に……?


「よいしょ~」

「うわああああああああああああああああ!?」


 なんとニムエさんが潜んでいたのはベッドの下だった!

 思いもしないところから現れた幼女の姿に思わず叫んでしまう。

 斧男の都市伝説じゃないんだから!


「なんでそんなところにいるんですか!」

「ちょっとこのベッドを通して夢の方にね~」

「ああ、そういうことなら……いや上の方に寝てくださいよ! 何故下!? 何故アンダーグランド!?」

「まあまあ~、細かい事気にしないで~」


 まるで細かくないしむしろ大雑把な疑問だとすら思うのだけど、彼女の行動にいちいち疑問を覚えていたら身が持たないのも事実だった。

 でもジェーンなんて驚きすぎて声が出てないんですよ! ほら! お口をパクパクさせちゃって! 可愛いなぁ~~~!


「えくしゅかりばーは今~、記憶を探っているところなの~。どうやら屋敷でドラゴンを見て何か引っかかるものがあったみたいね~」

「記憶を? それにドラゴンを見て?」

「そもそもエクシュはドラゴンを討つための剣だからね~」

「そうなんですか!?」


 そんな素晴らしい剣を落書き同然にして私が持っている理由って一体……。

 今更ながらエクシュを所持していることに滅茶苦茶罪悪感を覚える私だった。

 か、描きなおしたいな~~~~~! でも本人が気に入っちゃってるんだよな~~~~~!


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