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その151 歪みたくないもの、心と骨盤

「そんなわけで、ラウラを外に出してやるとしよう」

「いや、あの、う、嬉しいんですけども、何故か申し訳なくなってきました」


 罰とはいえ私たち一族の為にこうして長きに渡る封印の刑に処されていると思うと、どうにも心が痛むところがある。

 悪い人なんだけどね! 悪い人なんだけどね!!!!!!!

 メーリアン以外にも優しい人ならなぁ~!


「そう思うのなら、ちょくちょく吾輩に会いにくればいい。吾輩は暇つぶしになるし、ラウラは罪悪感が薄まる」

「あっ、なるほど! そうします! ……なんだか乗せられているような気もするのですが」

「深く考えるな!」


 は、話の流れでこの封印地に通い詰めることになってしまった。

 いや、まあ、滅茶苦茶遠い場所と言うわけでもないのだし、クロウムさんと話すのは楽しいので全然問題ないのだけど、謎の釈然としなさが。

 なんだか私、完全に見透かされている気がする!

 見透かされるの……嫌いじゃないけどさ!


「とはいえ、ラウラがここから出るのは容易であると言わざるを得ない」

「簡単なんですか?」

「入って来られたのなら出られるのは自然な話だ。しかも吾輩はこの空間を知り尽くしているからな! ちょちょいのちょいで出してやろうではないか!」

「大丈夫ですか? ちょちょいのちょいがちょいちょちょーい!になったりしませんよね?」

「なぁに、失敗しても少し骨盤が歪む程度である」

「ちょいちょいちょーい! 一番歪みたくないやつですよそれは!」


 老後に腰痛で苦しめられちゃう! 若いうちからちゃんとしておかないと!

 

「あっ、というか、あの、おじ様は『真実の魔法』の解き方を知っているんですよね?」


 危なく最も重要なことを聞きそびれるところだった。

 そう、クロウムさんは『真実の魔法』の製作者であり、その解き方も知っているはずなのだ。


「勿論、製作者だからな。無論、知っている」

「では教えていただくと言うのは……」

「うーむ、教えてやっても良いのだが……ラウラ、お前にこの解き方は不可能かもしれん」

「そんな高難易度なんですか!?」


 私がポンのコツなばかりに解除できないのだとしたら、不甲斐なさ過ぎて鼻息でフガフガになってしまう。

 それほどまでの情けなさ!

 しかし、どうやら難易度の問題でもないようで、クロウムさんは少し苦笑いでこちらを見ている。


「いや、方法は容易だ。そもそも『真実の魔法』の解き方は吾輩が埋め込んだものではなく、吾輩の妹が設定したものなのでな、故に複雑な面はない」

「妹さんがですか?」


 私に似ているという妹さんも魔法の開発に携わっていたと言うことだろうか?

 だとすれば顔は似ていても、私とは優秀さの点で雲泥の差がありそうである。

 それにしても解き方が容易……? こんなに試行錯誤して未だに解除できていない『真実の魔法』の解き方が容易だなんて、そんな話あるだろうか。


「出来る者なら今すぐにでも可能な解除方法なのだが、出来ないものは一生かけても不可能……そんなロマンある解き方になっている」

「何故そこでロマンが!?」

「妹はロマンチストなのでな! ハッハッハ!」


 何処か自慢げに語るクロウムさんだけど、間違いなくロマンは不必要だったと思うなぁ!

 

「そのロマン要素のせいで、私は一生かけても不可能な側に入るってことですか!?」

「まあ、それは今後のラウラ次第である」

「それで、その解き方と言うのは……?」

「それはだな──」


 溜めるような一瞬の静寂に、私は思わず生唾を飲み込む。

 こ、これで『友達百人作る』とかだったらどうしよう。

 その場合、期せずしてお兄様の最初の最初の最初の発言が正解だったことに……。


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