その136 【続報】ラウラ・メーリアン、やっぱり巨悪だった!?
これまでのあらすじ!
現代日本で普通の女子高生をしていた私は車に轢かれてあえなく死亡してしまったのだけど、テンプレ的異世界転生を果たし、乙女ゲーム『TRUE DESTINY』の世界の悪役令嬢こと『ラウラ・メーリアン』に転生してしまった!
勧善懲悪が世の習い、悪役令嬢たる自分に悲惨な末路が降りかかることは明らかであったが、しかし生来の無口とコミュ力不足により満足に対策も行えず、気が付けばバッドエンド当日を迎えてしまった私はヒロインの親友『ローザ・アワーバック』により『真実の魔法』という嘘が付けなくなる魔法を掛けられてしまう!
そうして表に出た私の本性は──ただのオタクであり、うるさい以上の害はなく、ただただ己の阿呆が世に知れ渡っただけだった。
『真実の魔法』って言うか『真実の阿呆』だよこれじゃあ! なんて笑っている暇もなく、私のお兄様こと『ジョセフ・メーリアン』の計らいによって、『真実の魔法』対策に私は自分の推しだった面々とどんどん邂逅していくことになり、何故かヒロインの『ジェーン・メニンガー』とルームメイトになったりローザがメイドになったり学園の王子様の『ヘンリー・ハークネス』にからかわれたりワイルドで不良なイケメン『グレン・キュブラー』の恋を応援する立場になったりと色々あった。
その後も旅をしたり夢の世界に行ったり湖から人が出てきて落書きみたいなビジュアルの聖剣を渡されたりとなんやかんやありつつ、最後のヒーロー役だった『イブン』の入学試験対策も万全に終えたところ、一度記憶喪失になりつつ同時にチートパワーを手に入れて夢の世界を地獄に変えたりして、そして現在!
私は猫になっていた。
比喩かと思うでしょ? 事実なんですよこれが。
「にゃ……にゃんにゃにゃんにゃにゃにゃに」
学院の整えられた庭の芝生の上を、私は何故か猫の姿で転がっていた。
私のもじゃもじゃした黒髪がそのまま反映されたのか、真っ黒な黒猫になってしまっている。
そしてご覧の通り言語も完全に猫である。
……………………こんなことある?
じぇ、ジェーンの恋のお手伝いを早くしないといけないのにどうしてこんなことに!
いやマジでどういうことですか??????
うう、落ち着こう! 落ち着いてラウラ・メーリアン! 貴女は人間! 落ち着きは人間の最大の武器のはずにゃ!
……ちょっと思考が寝食されてるー!?
私は混乱する頭を冷やすように、或いは猫っぽくなりつつある思考から逃げるように、昨夜のことを思い出す。
そう、確か湖の乙女こと『ニムエ』さんが部屋にお邪魔してきていて……。
★
少女となったニムエさんと今後の方針について話していたところ、こんな議題が浮上してきた。
「そういえば世界を滅ぼす存在について話さないといけないわね~」
「そういえばそれって誰なんですか?」
そう、私はこの世界の敵となる巨悪の存在に思い当たるところがまるでなかった。
『TRUE DESTINY』は学園ものであり、同時に青春ものでもあるので、露骨に戦闘力が超高いような人はあまりいないのである。
そもそも悪っぽい人も少ない。
強いて言えば悪役令嬢こと私、ラウラ・メーリアンこそが悪の権化なのだけど、勿論世界を滅ぼすほどの力は有していない。
……あれ? でも夢の世界は滅ぼしていたよね?
地獄を作り上げたあの力を現実でも駆使すれば、かなりの被害が出ることは間違いない。それこそ、世界が滅ぶほどに。
ということは私……世界を滅ぼす巨悪に該当する!?
「もしかして私ですか!? そういうオチですか!? 実は私こそがずっと一番の巨悪だったという! ラウラ・メーリアン巨悪説が正解ですか!?」




