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その127 地獄はキューティクル皆無

 気付けば称号が魔王になってしまったが、ふふふ、意外と気分は悪くないぞよ。

 ……あれ? 力に呑まれかけているのでは!?

 このままでは悪役令嬢(真)になってしまう! 早く記憶を取り戻さないと!


「けれど、私も負けるわけにはいかないのよ~! たとえこの私の世界が滅びようとも、貴女たちの世界は何としても守らないといけないのだから~!」

「あれっ!? いつの間にかこちらが悪い感じに? 記憶を奪い取っているのに!」

「なりふり構わないタイプの正義よ~!」

「い、一番面倒くさいタイプだ……!」


 世界を救うべく活動しているニムエさんは自分の世界が地獄と化してなお抵抗を諦めない。

 その姿は実に気高い……気高いんだけどなぁ!


「ラストバトルよ~! 希望の未来を目指して~~~~~!」

「謎の主人公感……」

「私~、この戦いが終わったら結婚するわ~~~」

「誰と!?」


 露骨なフラグを立てながら宙に浮かび始めるニムエさん。言葉には緊張感も覇気もないが、世界を救わんとする意思だけは本物だった。

 だけど私の推しを思う気持ちも本物! これは世界と推しの戦いということになる……!


「さあ! かかってきなさ~い! 私はそう簡単には負けないわよ~!」

「うおおおおおおお! やってやります!」


 盛り上がる二人! 浮かび上がる魔法!

 ボルテージは最高潮! こうして始まってしまった私とニムエさんとの戦いは──二秒で決着が付いた。




 

「ぐえ~~~~! 負けたわ~~~~~!」

「普通に勝ちました!」


 かなり壮大に始まった私たちの大決戦は、なんとワンパンで終わってしまった。

 真っすぐ行って殴る! それだけの行為ですら今の私には魔力がつき纏い、必殺の一撃になってしまうのだった。

 私、強すぎる……。


「で、でもまだよ~、私が敗北を認めなければ~、永久に記憶を返さないことも可能~!」

「往生際の悪さがすごいです!」

「貴女がその力を保持しているのが一番世界救世の可能性が高いのよ~、それに~、いい子だし~、暴走の危険性も薄いわ~」

「今まさにこの世界が地獄になっているのですが!?」


 ニムエさんとしては私の人柄も鑑みて、この力を持ち続けるべきだと思っているようだが……私の考えは真逆!

 私のような浅はかな人間には明らかに過ぎた代物、この力はゆっくりと少しずつ引き出すくらいが丁度いいと思うのです。

 今の私の状態は子供に汎用人型決戦兵器を持たせているようなアンバランスさがある。

 

「でも心優しいラウラちゃんに私を拷問できるかしら~? うっふっふっふ~」

「ひ、開き直っている! プライドはないのですか!?」

「ないわ~~~~~~!」

「すっごい堂々と!」


 地面に転がり、衣服もボロボロになったニムエさんだが、もはや失うものはないと言わんばかりに倒れたまま腕を組んでいた。

 仁王立ちである。倒れた状態で、だけど。

 何処から出てくるんですかその自信は!


 しかし、実際、無理やりに記憶を返してもらうべく拷問するのは私には無理なわけで……。

 ど、どうしたものかな……足の裏とかくすぐっておく?

 くすぐりは割と本格的な拷問だしね?


「ラウラ、どうなったんだ」

「あっ、お兄様!」


 地獄と化した大地の上をエクシュのバリアーと共にやってくるお兄様。

 その凶悪なお顔は割とこの状況にお似合いかもしれなかった。

 デビルフェイス! エンジェルフェイスもいいけどやはり悪魔的魅力はいつだって私の心を惑わしてくる!


「えっと、とりあえずニムエさんを倒したのですが、記憶は返さないって駄々捏ねられてしまって」

「湖の乙女が駄々を捏ねているのか……」


 驚いたような呆れたような表情でひょっこりと顔を出し、ニムエさんの方を見ようとするお兄様だが──ニムエさんは何故か先ほどまでの堂々とした姿を崩し、顔を隠すように丸まっていた。

 仁王立ちから一転、ダンゴムシになる人は初めて見たかも!


「に、ニムエさん?」


 恐る恐る話しかけると、彼女は更に身を縮める。


「イケメンは近寄らないで~~~~~! 今ボロボロだから~~~~~!」


 恥ずかしがるように顔を赤くし、じたばたと暴れるニムエさん。

 あっ、そう言えばイケメンに弱いから霧とか出しているんだった。

 それが乙女的な事情だとすれば、確かに土煙で汚れ、熱気で干上がった己の肌を見せるのは彼女にとって羞恥の極みか……。


 ……もしやこれ、利用できるのでは?

 私の脳裏に、まさに悪魔的な発想が思い浮かんでしまう。

 乙女的拷問、それはイケメンの前で肌をボロボロにすること……!


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