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その101 金黒銀

「そもそもその効果に期限があるという話、一体いつまでなの?」


 コテンと首を倒しながら中々鋭い指摘をするイブン……くん。

 くん付けの方がいいのかな!? 呼称が分からないよ!

 と、とりあえず心中では敬称略で行きます……。


 そしてなるほど、確かに明日には治ってたりするのなら、ここまでの会話も思考も色々と無駄になりかねない。

 逆に一年続くという話なら、それは大事になる。


「検査して見ないと分からんが、うーむ、あの瓶の量と長命な存在の価値観を考えると、一か月と言ったところじゃろうか」

「長いですわね!?」

「むしろ長命種からすると短すぎるくらいじゃよ」

「寿命が長いと感覚も長くなるのですよ。困った話ですね」


 どうやらナタ学院長の推理によると、『真実の魔法』消去とそれに伴う記憶喪失のお試し期間は一か月ということらしい。

 ナタ学院長も長命な存在という話なので、そのおかげで湖の乙女さんの感覚も分かるのかもしれない。


 なんかお試しって一か月なイメージあるよね……なんでそんなイメージあるか謎だけど。

 いや、本当になんで!?


「待ってられん。やはり倒すしかないか」

「お手伝いいたします」

「何でそんなに倒す方向なのですか!?」


 なんだかお淑やかそうな少女……ジェーンまでやる気満々で、思わず突っ込んでしまう。

 気分は初対面なので突っ込みするのもすっごい胃が痛いよ!


 いや、一か月はまあ長いとは思うけど、そんな焦らなくても!

 多分、過ごしてみれば一瞬で過ぎていくと思うよ!?

 時間ってそういうもの!


「あくまで一か月は可能性の話じゃ。ともすれば三日で治る可能性もあるのじゃから、様子を見る方向で良いと思うがのう」

「ですが一か月以上の場合もあるわけですから」

「そもそも湖の乙女を倒せるかどうか怪しいものがあるんじゃねぇか?」

「辿り着くのも一苦労ですからね……」

「行き方は俺が調査しておいた。行くだけなら問題はない」

「まず倒したら記憶も戻るという考えが荒唐無稽と言わざるを得なくてじゃな──」


 火ぶたを切ったように喧々囂々と私の将来の方向性について語る一同。

 こんなに同世代の人達に心配されること普通ないよ?

 みんな私のお母さんなのかな……?

 いいのか? 甘えていいと言われたら私は存分に甘える所存だぞ?

 見たところ甘えるには丁度いいミニマムボディぞ?


 というか、こんなに親身になってくれるなんて、美男美女な上に心まで美しいのかこの人たちは……!

 パーフェクトヒューマンじゃん!


 ただ私が付いていけない領域まで話がすっ飛んで行ってしまったので、口を挟む余地がなく、私は手持無沙汰になってしまう。

 なんか空間がどうのこうのと話しているのですが!?

 SFの領域ではないですかそれは!


「ええっと、ラウラ様、話し合いが長引きそうなので、私と別室で夜食するのは如何でしょう?朝から何も食べていないのでお腹減っていますわよね?」


 困惑して石のように固まっている私の元に、如何にもお嬢様なローザがその容姿とは真逆に超家庭的なこと言いながら近付いてくる。

 そして指摘されてみれば、確かに私はお腹が減っているらしく、お腹をさするとなんの感触もありはしない。

 自覚を持つと増すのが空腹というもので──うわー! めっちゃお肉とか食いたい気分!


 と言うかずっと思ってたけど、私の体貧相すぎるでしょ!

 もっともっと食べて育っていかないと!

 もう手遅れだけどね?


「僕もお腹減った」

「イブンもそういえば試験続きでしたわね! 一緒に食堂へ行きましょう」


 ひょこっと話に入って来た銀ショタイブン。

 彼は今日一日試験漬けだったと聞くのでそれはもう腹ペコだろう。

 今すぐ疲労した彼の脳の為にブドウ糖を上げたい!

 ラムネとかが効率いいよ!


 こうして私は金髪の美少女と銀髪の美少年と共に部屋を出ることになった。

 両手に花ならぬ、右手に金! 左手に銀!

 あまりにも贅沢すぎる身分になってしまった……。

 木こりの泉の話かな?


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