78)9歳 9月20日 ボウアの誕生日
妻が俺より一足早く十代の大台に乗った。これから十年は村の働き手の中心として期待される。まあ、俺も三か月後にそうなるんだが。
で一桁最後の日という事で俺は前日にノーラ義姉さんを家に呼んで娘たちの面倒を見てもらった。その間俺たちは仕事を休んで、海辺で遊んだり、敷地の中をブラブラしたり、裏の小川で一緒に水浴びしたり、二人っきりの時間を楽しんだ。テメシスとセヴリナが生まれてからこんな時間は持てなかったからな。そして誕生日の前の夜はボウアと二人だけで過ごした。たまにはヤマトもいい提案をするな。
と思ってたらテメシスが夜遅く来たよ。今夜はノーラ義姉さんと寝るっていってたのに。まあ仕方がないな。
「大丈夫だよ、パパとママの所に来て」
寂しかったのかな。一日離れたことは無かったか。セヴリナは大丈夫なのか。
なんか無言で来てそのまま寝てるボウアの所に言って寝たよ。パパじゃだめか。
そして誕生日当日は皆が来て海鮮料理を楽しんだ。お義父さんとお義母さんにサヒットとイーヴにガヴィンとガレン。もうウチの定番になって来た麺料理を出したけど、俺が作ったからあんまり出来はよくないかもな。
そしてこの日の最後にまた衝撃的なことをサヒットから聞いたよ。
「またか」
ヤマトもそこまで笑う事はないだろう。
「なんだまたかって、ハッキリ言って俺はまだ信じられん。なんでお前はそんなすんなり受け入れらるんだ」
サヒットが頭を抱えながら話す。
「だってな」
ああ、この家から見える海はきれいだな。
「おい、こっちを向け」
「まあ、おめでとう」
「なんでこうなった?」
なんでそんな顔してんだ。喜べばいいだろ。
「さあ? 俺に聞かれてもな。義姉さんに聞けよ」
「無理だよ」
「まあ、そうだろうな」
「なんで新しく子供ができるんだよ。一体相手は誰なんだよ?」
頭抱えるよな。俺も母さんの妊娠を聞いた時は抱えたかったよ。
「だって義姉さんは昔からモテただろ?」
ああそうだな、アヴィンと似たセリフを今俺が言ってるな。ベビーブーム? なんだそりゃ。そうなのかもな。まあこれはハッキリ言って珍しいが、あり得ないって話でもないな。
サヒットの肩を叩いて。
「まあお前の姉さんも青春真っ最中ってことだな」
「おばさんの青春ってなんなんだ」
あとで妻と話したがなんでもすでに知ってたそうだ。しかも普通に受け止めていた。まあ、十四歳だもんな、女ざかりだしな。テメシスとセヴリナに年下の従姉妹がまた出来たが伯父さんは誰なのかな。
いやあそれにしてもヤマトの言うシングルマザーってやつだな。まあ出来ちゃったんだ仕方がない。
『みてみん』様にアップしていた挿絵を本文に入れることが出来ました。下手な絵ですが興味のある方はどうぞご覧ください。
4話(村の北側の地形)
11話と12話(丘と家の位置)
17話(アペルドナル王国全図、一マス百キロ四方)
18話と38話(家の間取り図)
39話(丘と家の図)
54話と65話(家の間取り図)
68話と76話(丘と家の図)