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72)9歳 21月9日 機械化とは?

 踏み踏み踏み。ただひたすらに踏み踏みしてるが俺の頭の中は今すごいことになってる。


 千歯扱きで脱穀が早く終わった。すごい早い。あとこの調子で精米していったらあの棚田八枚で白いコメが九袋取れるぞ。すごい。ナニコレ。ヤマトの農法滅茶苦茶すごいわ。


 おい、なんで驚いてないんだヤマト! コメがどれだけ取れたか知りたかったから思い切って今回の収穫を全部精米したがこんなに取れるとは。コメが十袋取れたら人が一人一年暮らせる分のコメだよ。それがたった八枚の棚田で九袋だぞ! 予定ではあと三十二枚も棚田を作るんだぞ。これどう考えてもおかしいわ。ああ、まずは袋二個をサヒットに渡して、屋根代の返済だ。残りの八袋はとりあえずウチの家族の食べるぶんだ。これで来年の最初の収穫までコメは余裕である。実家からコメを持ってくる必要がなくなったぞ。なにが「へー」だ。なんでこれのすごさがわからないんだお前は!


 踏み踏み踏み。


 まあいい大雨も降りだした。今はどうせなにも出来ないからこれからの展望を考えよう。とりあえず俺は大雨の合間にでもあのドーナッツを完成させる。多分出来ると思う。雨で土が重くなってるがしようがない。


 踏み踏み踏み。


 ちなみに大雨で早くもアヴィン式は両方とも満タンになったわ。俺の乾季の苦労はなんだったんだろう。


 まあいい。で、次に来る乾季には塩を作り、まあこれは簡単だな、にがりも取る。そして棚田を作る。大雨が終わってから来年までに出来るだけ作る。三か月あるからな、がんばろう。そして、二十四月にはまた苗を作るか。もう種を一つ一つ入れるの無理だからそれについては新しい方法を考えるしかないな。うおおお、やる気が出てきたわ。


 踏み踏み踏み。


 で、今コナーさんとシヴォーンさんの所で足踏み精米してる。うーん。脳内のテンションとやってることが違い過ぎる。なあ、なんかないか? え、精米に関しては知らないか。なるほど、機械てやってるのか、あんなのはここではむりだな。じゃあ、これの改良を考えないといけないのか。


 踏み踏み踏み。


 俺この動き知ってるよな。足を上下だけだじゃなくて足の回転。この単調な動きは、水車だ! おおお、俺もすごい! 今頭がスゴイさえてるぞ! ヤマトも水車は知ってるよな? ああ、別に馬鹿にしてはないぞ。ただ今思いついたわけだ。あれ車輪が回転するだろ、だからそこの回転とこの上下に動く回転するのをくっつければいいんだよ。絶対に上手くいくわ早く家に帰らないと。この案をロウ板に書きたい。


 踏み踏み。


 はいこれで終わりだ。これで全部だ。本当に九袋目だな。早くコナーさんにお礼言って帰ろう。あとで鶏か兎を持ってくればいいだろう。ポチとシロ行くぞ。


 そして家に帰りお昼ご飯を食べて、娘たちを昼寝させたら、妻が機織りの部屋に向かった。俺が今回取れたコメを一気に全部精米したからちょっと怒ってる。そりゃそうだ白いコメのまま置いておいたら味が落ちるからな。美味しいコメは黒いままとっておいて、食べる前に精米したほうが美味しいし、長持ちもする。まあ、一人だ。ちょっと薄暗い居間でロウ板に色々と書くか。


 うーん、水車が回るからその回る所になにか付けてもグルングルン回って大きすぎるな。ということは中心の所を伸ばすのか。でもこの棒がクルクル回るだけで足踏みの動きはなあ。うーん、この棒から足を伸ばすとそれも一回転するんだよな。ああ、足踏みのように下に踏む動きはだめだな。コメが潰れる。お、という事は逆か、上がる力を利用して。


 と、少しかかったがなんとなくわかった気がする。


 ギッタン。


「ボウア」


 バッタン。


「なあに」


 ギッタン。


 娘たちもこの音に慣れたな。問題なく寝れてるわ。


 バッタン。


「ちょっと忙しいのわかってるがこれを見てくれ


 ギッタン。


「うーん」


 バッタン。


 ちょっと、ヤマト後にしてくれ。ああ、手を止めたな。


「あのな、さっきコナーさんとシヴォーンさんのところで精米してて思ったんだが、水車を使って精米できないか考えてみた。ちょっとこの図面みてくれ」


「まあ、いいわよ」


 とロウ板の出来たほうを見せる。


「水車のここが回ると中心の棒も回るだろ。だからの中心の棒を長くして、そこに足を付ければさあ、ここが回るとき足も上がるだろ。で足が上がるときにこっちのほうの臼に入ってる杵に手を付ければ、杵の手が持ち上がる。そして、回り続けると、杵の手と棒の足が離れて、今度は杵が自然に臼に落ちて、下の臼の中にあるコメを精米する。これ、どう思う?」


「これはいけるんじゃない?」


「おお、そう思うか」


「うん、これはいいわよ、これなら水車が精米してくれるわ。その間あなたは洗濯でもしてればいいじゃない」


 あ、そっちは考えてなかった。なに笑ってんだヤマト。まあいいこれなら籾を取るのと精米は格段に楽になるは。よし、さっそく紙に清書してサヒットと親方に相談しよう。


「うん、いいわね」


 ギッタン。


 あ、早速機織りに戻った。よし俺も居間に戻ろう。


 バッタン。


 なんだヤマト? え、もう少し機織りを見ていたい?


 ギッタン。


 なんで? なんか思い出しそうな気がする。ああ、いいけど。


 バッタン。


 うあ、頭の中で叫ぶな。わかった、思い出したんだな。何を思い出したんた。え、フライングシャトル? 飛び杼? なんだそりゃ。ほー、片手でこの横糸を通す? 最初に出来たのは十八世紀って、お前のそれがいつの時かはわからんが。ああ産業革命の始めね。ほうほう、この横糸を通す木のヤツに小さな車輪を下に付けると縦糸の上をすべるように走るのか。なるほど。で、どうやってそれを片手で交互に動かすんだよ? あ、それはわからない? なんだだめじゃないか。ああ、紐を使ってたところまではわかるのか。うーん。まあこれは伝えようか。


 とまあ俺がヤマトと会話している間もボウアがずっと機織りしてたが、ふとこっちを見た。


「なあに?」


 ギッタン。


「ああ、いや凄いなと思って見入ってた」


 バッタン。あ、手を止めたな。でバッタンしてる棒をぺちぺちとたたきながら。


「機織り機を横にしたのもいいわね、これを持ち上げないからその分楽だわ。もっともぐっと押し付けないといけないけどね」


「ああ、そうか前のは棒の重さも使って押し付けてたのか」


「そうそう。で、なあに?」


「いやな、その糸がこうするのな」


 と俺は右手を空中で左右に動かした。


「これが?」


「その糸の入ってるのに小さなな車輪を下に付ければこう縦糸の糸の上をザーっと走るんじゃないかと思って」


「あ」


「そしたら横に糸通すの楽になるだろ?」


「ちょっと居間に行くわよ」


 で、この後俺たちは二人で居間に行き、俺は水車で動かす精米器を紙に清書して、ボウアは横糸を通すシャトル、杼、にどう車輪をつけるか考えてロウ板で下書きしてから、その後に紙に清書した。


「なんか屋根の分の返済が終わるから一安心してたら、サヒットにまた頼むものができたな」


「まあ、私の分はタダにしてもらうわ。この前のお礼をしてもらってないし」


「へ、何のことだ?」


「あなたは、知らなくてもいいのよ」


「あ、はい」


 あ、娘たちが昼寝から起きた。

水車で動かす精米機は江戸時代から日本でもあります。


そしてこれから第十二章がはじまります。

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