67)9歳 17月1日 三度目の苗作りと水対策
で今回もまず苗を作るゼロ段の田んぼに水を入れ、泥にした。そして前回使った割った竹を入れ、ひっくり返して、一気に一本の竹の中に泥を入れる。そしてまた海水に沈んだ種を選び、水で洗ってから、芽が出たのをちまちまと入れましたよ。
だめだ、これ頭がおかしくなる。前回なんでこんなの出来たんだ。もしかして今回は何本これをやらないといけないとわかってるからダメなのか? あと何本あと何本と考えてるとダメなのか。三十三センチ間隔で五本ずつ植えて、一万一千二百五十本、これが八枚の棚田なので九万本の苗。一応鳥とかにも食べられるかもしれないから一割多くして、十万本。そしたらなんと前回と同じ四百本の竹の器に種を植えるだけ。前回と同じだぞなんでダメなんだ。
ブツブツ言いながらなんとか終えた。これ苗の本数が増えたら無理だ、もう出来ない。どうしよう。なんか案はないか? え、農業は俺の分野。ああ、はいはい、わかったよ。
この日はこれを一日やって過ごしたが次の日からは早速敷地の中をもう一回見回りに行ったよ。ポチとシロはいいな。すくすくと育ってくれた。アヴィンとサヒットが協力して作る二個目の樽の場所の選定が終わったら、ワンちゃんと一緒に植えた木がどうなったか見に行こう。
まあ、場所の選定は簡単だったな。家の北西だ。まあ、最初からここしかないだろうなとは思っていたよ。だって、東側にしたら人が来るとき、先にこの樽を見てから家に入ることになる。なんかそれは避けたいんだよ。なにしろヤマトが一つとは言わずさっさと二つ三つ買って風呂作ろうとか言ってるからな。客に俺たちの風呂姿は見せたくはないしな。と言うか、もっと根本的な問題があるだろ。おいわかってるのかヤマト、今回の乾季もまた失敗したんだぞ。よく風呂とか言えるわ。それに金が無いだろうが。はあ。
で、なぜこの北西の場所にするのを躊躇するかと言うと、家の西に雪隠があるからだよ。どうしよう。直線距離で八メートルから十メートルくらいは離すことが出来ると思うんだが。間になにもないってのが引っかかるんだよなあ。え、樽を壁にする? ああ、樽を東西に並べるのか、そして蛇口を雪隠の方に向けない。うーむ、それしかないのかな。
次は木だな。で、ポチとシロとで見て回ったところ大丈夫そうだ。やっぱり乾季に強い木を植えた甲斐があったな。面白いことにドーナッツ状の丸い盛り上がりを作った木ほど元気そうだった。で、それを見て思ったね。これ丘全体を段々畑見たいにドーナッツで囲んじゃえばいいんじゃないかって。
いやいや、わかってる、一人でやろうと思ったから何年かかるかわからない。でもな、やってみなければ何年かかるかわからないぞ。あ、こら呆れるな。俺はとりあえず家の裏の西側の丘から見てみるからな。まあ、上からやるほうが範囲が狭いからそっちからだよな。
と見にいったら気付いたよ。あの丘のは隣の敷地との境だ。だから勝手に弄っても次に入居する人になに言われるかわからないから半分は放置するしかない。なので丘の上の半分だけが俺が弄れる場所。うん、この範囲ならなんか出来そうな気がしてきた。そんで、少し土地を盛り上げたらその上に木を植えよう。まあ、こっちにはモリンガとかマンゴーとか適当に植えたからそれとかかな。あ、でもサヒットが木を切るよな。こっちにも木材として使う木を植えるか。なんだっけ、チークとか言ったような。アイツに聞けばいいか。
そして俺は苗が育つのを待つ間、動物たちの世話をしながら丘の頂上からちょっと下のとこらに地形に沿って土地を盛り上げた。棚田造りはこの大雨が終わるまで一旦中止だ。はっきり言って水のほうが重要だよ。あとサヒットに聞いたところこの辺の木材ならチークとかバラの木とかタマリンドとからしい。豆の木とかも植えるか、あれなら鶏たちのエサにもなるし、タマリンドと一緒で俺たちも食えるしな。これでいいだろヤマト。お前が全部一緒の木を植えると花粉症になるとか言うからなるだけ色んな種類の木を植えるぞ。花粉症なんて聞いたことがないわ。あと驚くなよ木を植えて、大事に育てても、木材としての収穫は二十年後らしい。信じられんわ。
これで家のところまであと二段と三段のドーナッツを作ればいいな。まあ、こっちはコメが育つ間にやろう。ウチは竹を沢山使うから次は竹でも植えるか? そんで三段はまた一段目みたいな木でいいだろう。あ、もしくは柑橘系の果樹にするか? あのジュースってのを俺以外にも飲みたい人が結構いそうだしな。
よっしゃ。あとは田植えまでに田んぼに水を入れて、肥料を入れて、耕してから、土を均すだけだな。うん、やっぱり馬が欲しい。八枚を人力でやったら時間がかかるし何よりも疲れた。