表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オークの賢者: 異世界転生されたけど、転生者が俺を受け付けないので二重人格みたいになりました  作者: リチャード江藤
第六章 一年は雨季、長い乾季、大雨の雨季、短い乾季
41/97

41)8歳 21月30日 海の幸

 なんかヤマトに馬鹿にされている気がする。あの野郎、この前から貧乏は嫌だってずっと言ってやがる。まあ、だからうるさいヤマトを黙らせるのもあって、現在妻と海辺に来てます。


「やっぱり素足に砂って気持ちいいな」


「だからって、腰布一丁にならなくても」


 シャツとズボンは砂浜の前にある草のところで脱いじゃった。


「まあ、いいじゃん暑くなってきてるし」


 お、砂浜に海藻の塊が落ちてるな。


「ボウア」


「もう、何やってんのよ」


「どう、私キレイかしら~」


 とまあ手で、黒い海藻のかつらをかき上げる。


 そして、今度は頭に乗っけた海藻を股間に持って行きちょっとブラブラさせる。


「ほれほれ~」


「アハハハハ」


 あ、ヤマトがあきれてる。いいじゃんたまには。海藻を捨てて歩くと、着いたな。


「やった、いっぱい取れてるわよ」


「おお、これはなかなか」


 裏の川で淡水魚を取ったあとは、あの仕掛けの網目をもうちょっと細かくして、現在海で使っている。干満の差が激しいから引き潮の時に行って、仕掛けてから、次の引き潮の時に戻るって感じだな。で、なぜ網目を細かくしてるかというと


「おうおう、ピチピチしてんな」


「生きのよさそうなエビたちね」


「我が妻もピチピチしておいしそうだぞ」


「なにさっきから変なことばっか言ってるのよ」


 とはいいつつまんざらでもないなこの様子は。


 そう、最近は食事に海の幸を積極的に取り入れているのだ。これにはヤマトも大喜びで我が家は皆が嬉しい。あと網でも作れば魚も楽に取れると思うが、いかんせん網を使った漁なんてしたことがないから網を作っても使いこなせない気がする。こう考えると網を作ろうと思わないんだよな。やることいっぱいあるし。しかしこれでなんでアイツがウチを貧乏だと思えるのか本当にわからん。


「じゃあ、私はこれを持って帰って今日のご飯の準備をしておくわね」


「ああ、わかった、俺はあとで海水を持って行くから」


「はいはい」


 と妻が仕掛けを持って家に帰っていった。


 でだ、ヤマト。海水で塩ってどう作るつもりだったんだ? 海水を集めて火で焼くだと。おい、だから前にも言ったがそれだと苦すぎて塩が使えないんだよ。おう、俺はやったことがないぞ。でもそんなの常識だぞ。


 結局色々と試してみるしかない、と言う結論になり。一回は海水を火で焚くこと。もう一回はただ単に自然乾燥に任せること。まあこれは絶対に乾季でやったほうがいいが。もう一回は何かヤマトがどっかで聞いたことがあるといった塩田ってのをやろうという話になった。塩田ってのがよくわからないし、ヤマトも良くわからないというので、とりあえず乾季になるまでそれも待とうと言うことになった。


 なので、ざぶっと一回海に潜って頭に着いた砂とかを落としてから、大きな革袋二つに海水を入れた。服はあとで取りに戻ればいいか。しっかし水って重いな。本当ここでの生活は水と穴を掘ることばっかだなと思いながら帰った。


「ただいま」


 よっこいしょっと。うーん、新型とは言え、樽が二つに大きな革袋二つ、さらに常駐の煮炊き用の薪に農具とか穴掘りのスコップとか土間にこんだけあるとさすがに狭くなるな。そろそろ農具を入れる小屋も作るか。


「お帰りって、そんなに海水必要?」


「まあ、水が多い方がエビの鮮度も保たれるだろ? あともう一個の方はこれで塩を作ろうと思って」


「あー、まあそうね。あ、でも海水で作った塩って苦くて使えないと聞いてるわよ」


 ほらな、常識だぞ。はいはい、わかってるよ、とりあえず試してみるんだよな。


「まあ、試してみようぜ、ここで塩が作れるんなら塩を買わなくて済むしな」


「じゃああなたはかまどを使う予定なの?」


「いやどれだけかかるかわからないから、外でやるよ。料理の邪魔はしたくないよ」


「わかったわ、頑張ってね」


「おう」


 と四角い金盥に海水を入れて、まあ浅いが、そこにまだ仕掛けに入るエビを放り込む。あと、跳ねて逃げないように上にかごをかぶせる。


 こういうかごは重宝するわ。たまにご飯を二人分作っても一人で食べるときもあるので、そのときはもう一人分のご飯の上にこのようにかごをかぶせると虫が入ってこれない。だからそういう時にかごを使ったり。今みたいにも使えるからこういうのがあると結構便利だぞ。なに、お前の所では食事を冷やして置ける箱があるのか! しかも虫も入らないと。それは素直に羨ましいな。だからなんでお前が自慢するんだ。


「この鉄の桶借りるよ」


「はーい」


 さてとちょっと家から離れたし簡易のかまどでも作るか。え? レンガでできる? ほう良し、やってみよう。


 まずレンガをコの字がたに並べる。あ、これは半分の正四角形のレンガが一つ必要だな。よし、三つ半と。で、このうえに九十度に互い違いになるようにまたコの字型に並べると。なんでだ? 今にわかる。ああ、はいはい。おい、このレンガはみ出してるからブラブラしてるぞ。大丈夫なのか? まあいいか。で、この上には普通にロの字型にレンガを載せると。ああ、ブラブラしなくなったな。これで一番下の段に三つ半、次の段にも三つ半、そしてその上にレンガ四つか。またレンガを重ねるのか、ほい、またロの字型に四つな。レンガ二十五個分積み上げるだけで終わったな。本当に簡単だなこれは。すごいじゃないか。


 え、こういうのはどうでもいい? いやこういう風にレンガでかまどが簡単にできたら野外で食事するとき、便利だろうが。ああ、ヤマトはキャンプがあんまり好きじゃないのか。でもそのキャンプは楽しそうだぞ。お、お前はなんか楽しめてないな、なんで記憶のお前はそんなノリが悪いの? 痛い痛い痛い。わかったもう聞かないって。


 で燃料を入れるのは下から二段目の穴? なんでだ? ああ、そういうことか、一番下のコの字で出来た穴から空気が入って燃えるのか。なるほど、改めて言おう、簡単だけどすごいな。これなら空気のことを心配しなくてもいいわけか。よし、このレンガの上に鉄の桶を置いて、海水を入れて、と。家のかまどから火を取ってこよう。


「火貰うね」


「いいわよ」


 おお、すごい燃えるな。大雨が降ったから土間に置いてある細枝の薪とかが湿気ているかもしれないと思ったが、大丈夫だな。よしよし、じゃあ。あとはこの火の番をして水を飛ばすだけか。


「ご飯よ~」


「ちょっと待っててー」


「はーい」


 なんか全然水が減らないぞ、おい。え、知らない? なんでだよ? う、そういえばお前もやったことないっていってたな。


「何してんの? あれ、まだ腰布一丁?」


 あ、こっちに来た。しかもちょっぴり怒ってるのか。


「いや、火を付けたから見てようと思って」


「あきれた、この桶いっぱいに水を入れたら水が飛ぶのに時間がすごいかかるわよ」


「え、そうなのか」


「そうなのかって、あなたも料理してるじゃない。火を焚いたら水は確かになくなるけどそんなに早くはなくならないわよ」


「うーん、じゃあ、これは放っておいて先に食べるか」


「まあ、この辺には燃えるものもないし大丈夫、かなあ?」


 ちょっと不安そうだな。と、いうか俺も不安だよ。なんかないか? え、上の穴から薪をなるべく出して、下の穴と上の穴を余ったレンガでふさぐ? ああ、そうか燃料を減らして、空気を遮断すればいいのか。おい、これ本当に。


「これ凄いわね」


 あ、ボウアも思ったか。


「ああ、うん、いつもかまどに空気を吹き込んでいるだろ。だからこっちの下の方の穴から空気が勝手に入るように作った」


「ふーん。ねえウチのかまどってかなり大きいじゃない」


「まあそうだな」


「じゃあさ、家のかまどにもこれと似たようなことできないかな」


「え」


「こんな感じでレンガでも使ってちょっと高くして」


 その手の動きがちょっとわからないが、まあ、頷いておこう。


「その上に金網を載せるのよ。で、火を使うときは金網の上で薪を焼くの」


「それだと最後には火が落ちないか?」


「かまどは三つあるから一つはそのままにして、そこでは火が絶えないようにすればいいんじゃないかな。ってそんなこと言ってる場合じゃないわ、ご飯が冷めるでしょうが」


「あ、悪い悪い」


 お昼ご飯はエビ料理でした、海の幸なので塩味が十分効いていたので美味しかったです。こんなに美味しいものを毎日腹いっぱい食べて貧乏ってことはないだろ。あれ、これ塩作る意味あるのか? ああ、そうか悪かったなヤマト、鳥料理のときには必要になるな。よしお昼食べたら服を取りに行って、また塩作りだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ