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幻星記~第一部〈八の要〉編  作者: キヒロ
第一章〈ララ編〉
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〈テルアデス〉その3

〈テルアデス〉の宿で、食事を取る一行。

宿に、入ると、既に!食事の用意が、されていた。所狭しと、置かれた料理の数々。野菜料理七…肉料理三…の割合で、置かれている。ごくりー生唾を飲むリューン。ふらふらと、近づこうとして、エイナに止められる。「ちぇっ!!!。」舌打ちをするリューン。其処へ…〈シーナ〉が、ミリリアを連れ、階上から現れる。その後ろ…少し遅れて、店の看板娘が、続く。「〈紫銀の剣〉様!。ご案内が、遅れて申し訳御座いません!。」店の奥から女将が、現れるや否や平身低頭する。

「問答無用!。」カーンが、即答する。〈剣〉は、〈貴人〉。普通の人間が、直接、話しをする事など言語道断!。会話は、常に!〈刀〉を通して行われる。ただし…〈剣〉から話しかけた場合のみ、受け答え出来る。

「おはよう!〈三の剣〉…〈レリー〉…リューン…エイナ。」「おはようございます〈シーナ〉様。」〈三の剣〉が、言う。「おはようございます〈シーナ〉!。」カーンが、続く。「えーと…お、おはよう…です。」リューンが、ぎこちなく続く。「おはようございます。」最後にエイナが、言うと、お辞儀をする。慌てて…リューンとミリリアが、倣う。

「〈三の剣〉。席に着きましょう。」〈シーナ〉が、言う。「はい。〈シーナ〉様。」〈シーナ〉が、上座、〈三の剣〉が、右一番上、カーンが、左一番上、エイナが、右…リューンが、左…ミリリアが、右に…順に座る。女将が、〈三の剣〉の傍に来ると、〈三の剣〉が、料理を指し示し…取らせていく。〈シーナ〉の前には、五品…〈三の剣〉の前には、七品。「それだけで、良いのか?」カーンが、言う。「お勧めの物を一品。」〈三の剣〉が、答える。「畏まりました。」女将が、答えると、リューンの前に置かれた肉料理を一口分取ると、〈三の剣〉の前に置く。「ケラブの肉でございます。」ケラブは、生でも食べられる部位を持つ超高級魔獣だ。一切れ三金貨を下らない。魚形魔獣ケラブは、白身の肉が、特徴で、あっさりとした蛋白で口当たりの良い…口に入れるだけで、直ぐにとろけてしまうほど身は、柔らかい。体長は、五空以上。躰全体に大小二つの色鮮やかな青色の鱗が、びっしり交互に覆っている。また、躰の半分程も有る二本の長い尾びれが、特徴である。別名〈青銀魚〉と呼ばれている。看板娘が、小さな…火鉢を持って来ると、店の女将が、ケラブを軽く炙る。それを箸で、一口分に切り、〈三の剣〉の前に置く。

「〈シーナ〉様。〈シセリウス〉陛下。〈大地母神スフィア〉様に…感謝の意を申し上げます。」〈三の剣〉が、口上を述べると、手を組み…深々と、頭を垂れる。リューン、カーン、エイナ、ミリリアが、続く。

「では…頂きましょう!。」〈シーナ〉が、言う。だが、箸を付けるのは、〈シーナ〉と〈三の剣〉だけ。カーンとエイナが、リューンとミリリアを睨みつけている為、二人は、縮こまり…食事が、出来ない。「〈レリー〉!。」三品目の料理を食べ終えた〈シーナ〉が、手を置き、「構いませんよ!。」「はっ!!。」リューンとミリリアを睨みつけながら「静かに!食べろ!。」「へぇぇ!!。」「はぁぁーい!!。」縮こまったまま食べる二人。だが、直ぐに!「うめぇぇ!!。」「美味しい!!。」連発する二人。エイナは、素知らぬふり。カーンは、睨みつける。〈シーナ〉は、にこにこ…微笑む。〈三の剣〉は、まったく!無視!!。「お代わりしてもいいですよ!。」〈シーナ〉の一言に!満面の笑みを浮かべるリューンとミリリア。次の瞬間!空にした皿を女将に差し出すと、「お代わり!!!。」二人して、睨み合うと!次々と!皿を空にしていく。エイナは、呆れ果てる。カーンは、嘆息をつく。〈シーナ〉は、呆れつつ…「すごい…ですね。」一人…黙々と、ケラブの肉と格闘している〈三の剣〉。ひとかけら食べる毎に!倍の野菜料理を食べては、咀嚼している。


三、四十分過ぎた…。腹一杯に入れたリューンとミリリアが、人心地ついた。仰け反るリューン。うつ伏せになるミリリア。にこにこ顔の〈シーナ〉が、「二人共…満足しましたか?。」「うぇぇーす!!。」「はぁーい!!。」「こらっ!!。リューン!ミラ!。失礼だろう!。」エイナが、口を尖らせ、怒る。「へぇー!。」「はぁーい!!。」何とか…起き上がる。ふらふらの至福の二人。カーンが、間八入れず…「小遣いは、いらないなぁ!。」「へぇぇ!!。」「えぇっ!!。」息もぴったりに!カーンに詰め寄る。この後、小一時間程…自由時間がある。「二人共!まだ…食べるつもりじゃないだろうな!!。」エイナが、語気を強めて言う。ぶんぶん…首を振る二人。「三人共!。一銀貨を渡しておく。〈コーティアン〉までの分だ。」懐から小袋を取り出すと、それぞれに軽く放り投げて渡すカーン。必死のリューンとミリリア。両手で、摑むと覗き見る。エイナは、片手で、受け取ると、直ぐに!懐にしまう。にこにこ顔の〈シーナ〉は、「〈三の剣〉!。終わりましたか?。」「はい。〈シーナ〉様。」箸を置く〈三の剣〉。それを確認すると、カーンが、「車を手配します。」「車は、私がする。」立ち上がろうとするカーンを制した。「話は、ついてる。」懐から再び…小袋を取り出すと、金貨三枚を〈三の剣〉に手渡す。「〈シーナ〉様!。失礼します!。」「気をつけて!。」「はい!。」リューン達には、目もくれず…立ち去る。「リューン達もいいですよ!。」〈シーナ〉が、言う。「九時には戻れ!。いいな!!。」語気を強めて言うカーン。「うん!!。」「分かった!。」「はぁーい!!。」リューン達も去って行く。「〈レリー〉!。部屋に戻りましょう。」「はい。」立ち上がり、〈シーナ〉と、共に!階上に上がって行く。



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