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幻星記~第一部〈八の要〉編  作者: キヒロ
第一章〈ララ編〉
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〈コーティアン〉その3

食堂は、館の二階…向かって右側にある。30人位は、余裕で、座れる程の広さがある。一番上座…〈シーナ〉が、座り…左手の一番前にカーン。右手一番前は、〈三の剣〉用…居ないが。カーンの隣にリューンが、座り、〈三の剣〉の隣にエイナ…ミリリアが、座った。食事を取る必要の無い〈ララ〉は、居ない。後は、〈三の剣〉の到着を待つのみ。開始時刻を過ぎても…まだ、来ない。お腹の空いてるリューンは苛立つ。足をじたばたさせる。ミリリアは、きょろきょろ…見渡す。エイナは、恥ずかしくて、縮こまる。カーンと〈シーナ〉は、静かに待つ。こんこん!。扉を叩くと、〈盾〉と思われる男が、現れ…深々と頭を一度垂れ、口上を述べる。

「〈紫銀の剣〉様!お見えにございます!!。」すっくと立ち上がるエイナ。それに倣うミリリア。慌てて立ち上がるリューン。カーンは、立ち上がらない。深々とお辞儀をするリューン達三人。

しゅるり…しゅるり…衣擦れの音と共に現れる〈三の剣〉。裾の長い単の着物を着ている。〈剣色〉と呼ばれている色鮮やかな青色に銀色の大胆な刺繍。中は、藍色の着物。下は、足首までの深い紫の袴。明るい紫色の仮面の左右上下には銀細工の派手な飾り。それに加え、大きな髪飾りと耳飾りも付けている。〈剣色〉は、〈剣〉のみが、纏う事を許された特別な色。それに順じる青色は、めでたい席のみ纏う事を許されている。ただし…副飾などのアクセントや色々な色の一部としては、青色は、認められている。同じく…〈魔族〉のみが、纏う…紫色は、〈剣〉以外は、忌み日のみ纏う事が、許されている。

「遅くなりました。」〈シーナ〉に一礼する。〈シーナ〉は、にっこり、笑顔を見せると、「綺麗に出来ましたね。」「はい。」返答する。〈盾〉と思われる男二人…〈三の剣〉から単を取ると、部屋の隅の鴨居に掛ける。ゆっくり…着座する〈三の剣〉。と、同時にカーンが、左手を挙げ、食事の合図をする。入り口に居並んでいた使用人が、静かに退席すると、次々と料理を運んで来る。食卓の真ん中は、一段高くなっており、右から左に動く回転台が、置かれている。〈シーナ〉の前に置かれた料理の中から数点…カーンが、一口分、取り分け…〈シーナ〉の前に置くと、〈三の剣〉の方へ流す。〈三の剣〉も同じく…数点、一口分程取ると流す。野菜料理が、四点。肉料理が、三点。その他が、三点。エイナ、ミミリア、リューン、カーンの順に、取って行く。エイナは、野菜料理を多く取り…ミミリア、リューンは、肉料理をてんこ盛りに、取って行く。カーンは、余り…取らない。その代わりに、酒が、数点…置かれている。

「〈シーナ〉様!〈シセリウス〉陛下!〈大地母神スフィア〉様に、感謝の意を申し上げます。」〈三の剣〉の口上と共に…手を組むリューン達。

〈シーナ〉と〈三の剣〉が、料理に手を付ける。ゆっくり…食事を楽しむ〈シーナ〉。取った物を何とか…飲み下している〈三の剣〉。三口…食べ終えると、「無礼講で、構いませんよ!。」〈シーナ〉の声に!待ってましたとばかりに!!!。にぱり!!!。リューンと、ミリリアが、がつく。てんこ盛りに持った皿を…次々と、空にしては、お代わりを頼む。凄まじい食欲に目を丸くして、呆れ返る〈シーナ〉。エイナは、縮こまり、カーンは、素知らぬ振り…酒を、ゆっくり…嗜めている。〈三の剣〉は、全く…無視!。目の前の料理と、悪戦苦闘…何とか…飲み下している。

半時が、過ぎた。リューンとミリリアの食事も…ひと段落つき、ゆっくりとしたものになってきた。徐に…

「〈新年祭〉が終わるまで、ゆっくり…しなさい!。」〈シーナ〉の一言に…嬉しそうな顔をするリューンとミリリア。「羽目を外すなよ!。」エイナに釘を刺され、意気消沈…落胆する二人。「まぁー!ほどほどにな!。」カーンの言葉に…息を吹き返す二人。きっ!!!-睨みを利かすエイナ。素知らぬ振りでかわす二人。

「小遣いだ!。」懐から小袋を取り出し、リューン達それぞれに…一銀貨を放り投げるように渡す。はっしぃ!!!-必死な表情で、受け取るリューンとミリリア。手の中の一銀貨を覗き見ると、にんまり笑顔を見せる。片手で受け取ったエイナは、確認せずに懐にしまう。「〈三の剣〉!。」一金貨を手渡す。無言で、受け取ると、皿の横に置く。「食事は、もう…良いな!。」カーンの一言に!「えぇーー!!。」リューンとミリリアが、抗議の声を上げる。じろり!!!-エイナが、睨む。にこにこ顔の〈シーナ〉が、

「〈レリー〉!。」「はい!。」手を挙げ、「お茶の用意を!」控えていた使用人が、食器や皿を片付けるべく、近づく。リューンとミリリアは、食器にたんまりと、料理を乗せ…死守!!!。猛然と食べる。「リューン!ミラ!。」エイナの嗜める声もそっちのけ!食べまくる。使用人達は、素知らぬ顔で、〈シーナ〉、〈三の剣〉、〈エイナ〉の食器を下げる。「わしのも良いぞ!。」カーンの声に、使用人が、応える。リューンとミリリアの食器だけを残して、すべて下げ終わると、代わりに…手押し車に乗ったお茶一式が、運び込まれて来る。

ぽっとに入ったお茶を、茶器に入れ、配る使用人。リューンとミリリアの分は、端に置く。中央の台には、焼き菓子やけーきなどが、置かれる。それをちらちら見ながら…皿に持った肉料理を平らげるリューンとミリリア。すかさず…今度は、菓子の取り合い。カーンは呆れて、言葉を失う。エイナは、頭を抑えてしまう。〈三の剣〉は、全く…気にしていないーと言うか、全く…無視!。菓子には、手を付けず、お茶だけをゆっくり…嗜んでいる。〈シーナ〉は、目を丸くしながらも、相変わらず…にこにこ顔。此方も…お茶だけを、嗜んでいる。二杯…飲み終わった〈三の剣〉が、徐に…「〈シーナ〉様!。退席してもよろしいですか?!。」

「〈レリー〉。」「はっ!。リューン!…ついて来い!。」「!!!。」頬張った菓子を溜飲すると

「……えぇーー!!!。」抗議の声を上げるも…渋々立ち上がる。エイナが、「部屋に菓子を置いておく。」「う、うん!!ありがとう!エイナ!。」食堂を後にしようとする〈三の剣〉とカーンの後を足早に追いかけるリューン。


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