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晶の章 その四

晶「実はさ、この話で本編は終わりなのだよ、ネコさん」ネコ「成る程、それはご苦労だったな…………だが、まだ完結扱いはされてないぞ?」晶「そりゃ、まだ凪さんとの出会いが出てないからな……次回ぐらいに出るとおもうぞ?そこで、延命処置のための手段をとりたいとおもう」ネコ「どういう手段だ?」晶「評価とか感想とかメッセージとかが来たらちょっとだけでも話を進めたいんだよ」ネコ「成る程………読者しだいというわけだな?」晶「ま、次の話を更新する間だけってことでね………続くかどうかの発表は次の前書きで!」

二十八、

 寝ている間、俺は知らないはずの親父から、言われた。


「お前は犠牲になるんじゃない、晶子を助ける存在となるのだ」


 寝ている間、俺は知らないはずの母さんから、言われた。


「私たちはもういないけど、二人に家を用意しているわ………詳しくは私のお父さんにね」


 俺は走る………後ろからはしってついてきている三人に事情を説明しながら、あの廃工場へと…………

―――――

「ここは私がもういるべき場所じゃないってことはわかってるわ」

 私は今、何の変哲もない廃れた工場を眺めている。

 この工場を所有していたあの工場は私が潰した。

 私が所属していた組織も、関係している組織もすべて根絶やしにしてきた。

「おやおや、晶子さんじゃないか?弟さんがこの前ここに来ましたよ」

「…………もう、ここに来るような人は誰もいないと思いますよ?」

「ああ、そうだろうね………私もそうおもってるよ」

 警備員は私の言ったことに頷いて帽子を脱ぐ。

「だが…………私はここでずっと見張っていないといけないのさ。なぜだかわかるかい?」

 そんなものは考えるまでもない。

「…………黒田夏華、あなたがあちらの実験室に送り込んだ………もう二度とそんなことにならないようにでしょう?」

「さすが、晶子さんだ…………これからどうするんだい?」

 邪気のかけらもないような笑顔でそんなことを聞いてくる。

「さぁ?私がやってきたことは全部終わっちゃったから……………長かったこの人生………終わらせるのも面白いとおもってるわ」

「さぁて、それはどうかな?面白くはないとおもうけどねぇ?」

 警備員さんは意味深に笑うと工場外に視線を送ったのだった。

―――――

「ぜぇ………ぜぇ………姉さん!」

「晶………そう、薬に打ち勝ったのね?それは良かった…………というか、そうしないと私がしてたことが何一つとして意味なかったってことになってたわ」

 少しだけ影を落としたような表情を見せる自分の姉に俺は尋ねる。

「………父さん母さんが家があるって」

「あの二人、やっぱり出てきたのね………まったく、この世界に幽霊とかそういうものは存在しているのかしら?」

 知っているといわんばかりに手を上げ、近くにいた警備員さんはにこやかに微笑んでいる。

「…………警備員さん、ちょっと用事が出来たので終えるのはまた今度にします」

「そうでしょうね、そうしたほうがいいと私もおもいますよ………彼の結婚式に出ないといけませんからね」

「そうね、そうだったわ」

「…………」

 俺はきょとんとしてニヤニヤしている姉さんを見る。

「後ろの三人とはどこまで進んだの?お姉さんに教えなさい!」

 気がつけば後ろには藍、耒、凪さんが来ていた。

「え?あ、あれが晶様のお姉さん!?」

「うえ?あの黒スーツが!?」

「やっぱり、そうでしたか…………」

 三人とも苦虫を噛み潰したような表情をしている。

「あんたが倒れてる間、そこの三人はそれぞれが好きなことをしてたわよ?」

「え、え〜と?どんなことを?」

 なんとなく聞くのが恐かったのだが俺は姉さんに尋ねる。

「そうね………せっかく家があるんだからそこに越してから教えるわ………さ、今から洋子さんにこの子を引き取るっていいに行かないとね」

 姉さんはそういうとあっという間に見えなくなってしまった。

「あ、晶様………あの家からでてっちゃうんですか?」

「え、ああ………ずっと居候してたからな」

 さすがにこれからもずっと………というわけにもいかないだろう。

「じゃ、私たちはどうなるのよ?あんたがいないとあそこにいれそうにないわよ!」

「いや、それは大丈夫じゃないかと………」

 洋子さんは

「あの三人がいないと家事がはかどらないわ」と言っていたからな。

「晶君はどこに行ってしまうの?」

「え、え〜と、気にしなくてもいいとおもいますよ」

 俺が父さん母さんから聞いた場所………そこは、

―――――

「晶、朝よ〜」


どごす!!


「ぐふぅ………姉さん、かかと落としはさすがに危ない…………」

「何言ってんの、そろそろ迎えが来るわよ?まぁ、誰がくるかはわからないけど…………」

 姉さんは面白そうに笑って俺の部屋からいなくなってしまった。

「………っつ…………まったく、手加減なしだよ………」

 薬のおかげか知らないが、非常に体が丈夫になっていた。

「さて、おきるか…………」

ぴんぽーん♪

「はーい………」

 もう迎えが来たようだ…………こっちの家に引っ越して一週間となるが………これまで早く来た人なんて一人もいないな…………

 姉さんが俺の部屋に再び入ってくる。

「き、緊急事態よ!」

「へ?」

「早く準備しないとあんた、吊るされるわ!」

 俺の服を脱がし始め、俺はあわててそれを阻止しようとし始める………俺はふとおもう、俺にだって頼りにすることが出来る人はいるということを…………

「……あ、晶様!?」

「晶!あんた何してるのよ!」

「晶君………やっぱり年上が好きなのね?」

「あ、晶さん!」

「晶先生!そ、それって禁断の………」

「へ?う、わぁぁぁぁぁ!?」

 そこにいたのは藍、耒、凪さん、奈津美ちゃんに夏華ちゃん。

「ご、誤解だ!俺は姉さんに服を脱がされただけなんだ!」

「へぇ、その割には晶様………嬉しそうな顔をしていたような気がしてましたけど?」

「それは違う!あれはそういう意味で嬉しそうな顔をしてたわけじゃない!」

「へぇ、否定はしないのね?どういう意味でうれしそうな顔をしてたのよ?」

「あれは頼れる人がいたから嬉しかっただけだぁ!!」

「………晶君、やっぱり頼りになるようなお姉さんがすきなのね?」

「ちょっと!凪さん!乗ってこないで………学校に遅れる!」

「晶さん、だらしなさ過ぎです………」

「奈津美ちゃん……助けて………」

「晶先生なんてもう知らない!」

「あ、まって夏華ちゃん…………」

 俺はぐちゃぐちゃになりつつこの状況に困惑しながらも…………こんなに楽しいとおもう日が来るなんて思っていなかったのかもしれない。   〜END〜


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