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告白(1)

 ネット上で見つけた、文字を入力するとランダムにお題を三つとジャンルを提示してくれるプログラムに「ray」と入力して出てきたものを使って作った三題噺です。

 文字数を考えずに作ると、三題噺というには幾分長くなってしまいました。ですので連載にしました。


 ちなみに、ジャンルはキーワードにもある通り「邪道ファンタジー」です。

 いかにしてファンタジーがヨコシマな道に逸れていくか、乞うご期待でお願いしますm(__)m

 俺はバーン王国の王子だ。まぁ、厳密には第二王子なわけで、第一王子の兄が失踪中とはいえ将来王の位を継ぐなんて保証はどこにもなかったがな。


 ひょっとするとそんなこと語る必要はないのかな。大事なのは俺に何があったかって事か。俺が何であったかってのも少しは大事だとは思うんだが。


 思うんだが、まぁ……。


 そんな肩書きどのみち関係のない話か。はは、世界が違えばこんな肩書き何にもならないよな。




 実際、魔界からやって来た奴らにはどうにもならなかったからな。本当になすがまま、バーン王国が蹂躙の限りを尽くされるのを命からがらの逃走の中で見届けるだけだった。


 あいつらは、普段は俺たちが魔界と呼んでいる別の世界に住んでいる。それで、決まって月のない曇りの日にやって来ては、バーンや周辺の国に攻撃を仕掛けてくるんだ。


 奴ら、あぁ、俺たちの世界の人間は皆魔人て呼んでんだが、こいつらについては、初めての接触からそんなに日が経ってないってこともあって、曇りの日に灰色の雲の中からやってくるってことぐらいしかわかってない。


 これまでは数えるほどでしかやってこなかったんだ。だから、いくらあいつらが個々の戦闘能力でバーン王国騎士団より多少優れていても何ともかなった。


 毎回がこうだったから、俺たちの心のどこかに少しずつ、でも確実に油断が生まれ始めたんだろう。もしかするとそれすらも奴らの作戦なのかもしれない。とにかく今回の数は完全に予想外だった。


 今回はいつもと違って数がけた違いだったよ。


 大陸でも有数の力を持つといわれていた騎士団も数にはかなわず、城は破壊され町は火の海だ。そんな悲惨な状況でもあきらめずに戦う彼らを尻目に、俺は逃げるのにほとんど精一杯だった。


 そして気が付いたら、俺はみんなとはぐれてたんだ。


 必死で戦う彼らの事を思うと心苦しいが、その時既に「もうダメだな」っていう絶望感みたいなのが、自然と心の底から沸いてきてたんだよ。実際、同盟国の援軍が駆けつける前には結果は出てたよ。ほんの一時間足らずで一つの国が焼野原さ。



 でも、不幸なのは俺たちだけじゃなかった。そいつらが襲ってきたのは知ってか知らずか、ちょうど同盟国であるパンゼル王国から王様と、王女ダリア様が挨拶に来てた日だったんだよ。





 一人になった俺はみんなを探した。探しても探しても見つからなくて途方に暮れてたら、ダリア王女が遠くにいるのを見つけたよ。それで、名前を呼んで彼女の方まで駆けていったんだ。


 彼女は俺に気付くと、それまでの不安そうな表情をほんの少し和らげたよ。たぶん、そう思う。



 他には誰もいない。俺と彼女、二人きりだ。



 ドレスはボロボロで、脱ぎ捨てたんだろうか、踵の高い靴ははいてなかったよ。それでも魔人に襲われたような形跡もなく彼女自身はほとんど無事だったみたいだ。


 それが確認できたと思うと、惨状が収まったわけでもないのにそんなことも忘れて、ただただ安心したよ。



 俺はバーン王国第二王子で、将来この国を治めることなんてきっとないだろう。だからといって、この国やこの国の民が嫌いになどなるはずがない。 


 むしろ、俺ははっきりとこの国を愛していると断言できる。



 だからあいつら魔人は絶対に許せない。



 それでも。それでも、だ……。


 この時不覚にもバーンを襲った魔人に感謝しようとしてた自分がいたよ。




 ああ、そうさ。俺は彼女に惚れてるんだよ。




 彼女はバーン王国第一王子である兄貴との結婚が約束されてる。いつ戻ってくるか、いや、生死すらわかっていない兄貴とだ。いなくなってもう10年以上になるんだぜ?


 いっそ兄貴なんて放っておいて俺が彼女と結婚すれば、彼女が抱えてるあてもなく待つということの不安から救ってやれるんじゃないのか。


 そんな偽善じみたことを本気で考えることすらあるんだ。






 でも、今は偽善でも何でもいい、とにかく彼女を守りたい。そう思った。

 既に完成している作品ですが、読み返してみると直さねばならぬ箇所が散見されたので手直しをする必要がありそうです。


 次回は明日中に上げられればいいなあと思います。

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