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第八話

本日も3話更新です。

よろしくお願いします。

ビビは何も言わずにフェリクス殿下の腕から身を離した。その動きは静かでけれど迷いがない。




「……ビビ?」




フェリクス殿下が信じられないものを見るような目でその背を追う。

彼女――ビビは、壇上から一歩また一歩と降り私の前で立ち止まった。


そして。


迷いなくその場に跪く。




「――ご命令通りに」




その一言で会場の空気が変わった。ざわめきが

囁きが一斉に凍りつく。




「な……にを、している……?」




フェリクス殿下の声はもはや震えを隠せていなかった。私はビビに視線を落とし静かに頷く。




「説明いたしましょう、殿下。お立ちなさい、ビビ」




扇を胸元に添え、ビビを立ち上がらせると私はゆっくりと口を開いた。




「彼女は――私の駒でございます」




会場が息を呑む。




「殿下の女癖については、以前より噂を耳にしておりましたので」




何でもないことのように私は続ける。




「万が一の保険として、殿下の側に侍る者を配置させていただきました」




フェリクス殿下の顔色が目に見えて悪くなっていく。




「……そんな、馬鹿な……」




乾いた呟きを漏らし、彼は一歩前に出た。




「嘘だよな、ビビ……?」




その声は、怒号でもなく、甘さが含まれるわけでもなく。——縋るような、弱い声だった。私の横に立っているビビは、何の感情も映さずただ前を見据えている。


返答はない。

それが何よりの答えだった。

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