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第七話
本日は3話更新となっております。
第五話からどうぞ。
「それから――」
私は、ほんの一拍だけ言葉を切った。そして殿下の横に視線を向ける。
「ビビ」
その名を呼ばれた瞬間。フェリクス殿下の腕に寄り添っていた銀髪の男爵令嬢の肩がぴくりと揺れた。
「ご苦労様」
伏せられていた視線がゆっくりと持ち上がり真っ直ぐに――私を捉える。会場が再び沈黙に包まれた。
「……ビビ?」
フェリクス殿下の声がかすかに裏返った。無意識に彼はその名を呼んでいたのだろう。先程まで“守るべき恋人”だった存在と、目の前で静かに微笑む私とを何度も何度も見比べる。
「な、なにを言っている……?エリザベス、どういう、意味だ……?」
その声には先程までの高慢さは欠片もなかった。
——ようやく、事態が自分の思い描いたものとは違うことに気づいた顔だ。会場は水を打ったように静まり返り、誰一人としてその続きを促す言葉を発する者はいない。
けれど。
私にはわかっていた。
次に動くのは――




