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第六話

本日は3話更新となっております。


第五話からどうぞ。

「婚約破棄、しかと承りました」




私は扇をピシャリと閉じ、一礼するように頷いた。

——それだけ。

泣き縋ることも、弁明することもない私の態度に、会場がざわりと揺れる。抵抗すると思っていたのだろう。フェリクス殿下は、予想外の展開に胡乱げな眼差しで私を見つめてきた。




「……なにを、企んでいる?」




その視線を私は正面から受け止める。




「僭越ながら、殿下」




声を張ることはしない。それでも不思議とホールの隅々まで言葉が届いていくのを感じた。




「元婚約者として、

一言申し上げます」




ざわめきが次第に静まっていく。




「私には――王家の影がついております」




その瞬間。

どよめきが一拍遅れて会場を包んだ。

貴族たちの顔色が変わる。その意味を知らぬ者などいない。フェリクス殿下の表情が目に見えて強張った。




「殿下が男爵令嬢と親密な関係だと噂が流れ始めてから」




私はあくまで淡々と続ける。




「冤罪で断罪されては家の名誉に関わりますので、――陛下にお願い申し上げたのでございます」




会場の視線が一斉に玉座へと集まる。逃げ場はもうない。




「殿下が先程おっしゃいました、いじめについてでございますが」




私は扇の先を反対の手で包み込み静かに言い切った。




「私が行っていないことは、王家の影がすでに証明してくださっております」




沈黙。

先程まで私を断罪する側だった視線が、今度はフェリクス殿下へと突き刺さる。




「……な、馬鹿な……」




フェリクス殿下はまるで理解が追いつかないとでもいうように言葉を失っていた。

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