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第五話
本日は3話更新となっております。
どうぞお楽しみ下さい。
「祝いの席です。これ以上はお控えなさい」
扇で口元を隠しながら、私へと視線を向ける。
「エリザベス嬢は、王国でも指折りの公爵家の令嬢。教養も品位も申し分ありません」
——その声音には、
穏やかさと同時に、
有無を言わせぬ圧があった。
「名家の令嬢が少々強く出るのは珍しいことではありません。そんな些細なことで声を荒げるなど……殿下、王族は狭量であってはなりません」
その言葉に、私はほんの一瞬だけ眉を上げそうになる。
——庇う、というより。
釘を刺す、に近い。
フェリクス殿下が、男爵令嬢を正妃に選ばぬように。
「殿下のお立場を思えば、
婚約者として、
これ以上ない存在でしょう」
だが。
「しかし、母上!」
フェリクス殿下の声が、
堪えきれぬ感情を帯びて跳ね上がる。
「私は、このような冷酷で、優しさの欠片もない女とは結ばれたくありません!」
次の瞬間。
「私は――真実の愛を選ぶ!エリザベス・ローゼンベルクとの婚約をここに破棄する!」
会場が、凍りついた。
それと同時に側妃殿下の顔からすっと血の気が引いたのを私は見逃さなかった。
——ああ。
ついに、
言ってはいけない言葉を、
言ってしまわれましたね。




