11.大学での教員
真壁が4年生の時。夏の私の授業を、彼は受けたのであった。また、1年前にまゆのお父さんに言われた東帝大学の非常勤講師も同じ条件でやる事にした。
南は母校の講義終了後。数人の居残り組がいた。その1人が彼であった。その時の彼の言葉が今でも記憶に残っている…
「南先生の講義は、私にとって衝撃と感動を与える程の講義でした。もっと早く、先生の講義を聞きたかったです。もし、早くにこの講義を聞いていれば…私の大学生活は変わっていたでしょう。特に、私は今以上に充実した学びをしていたと思います。先生が仰っていた、先見力や想像力を高める学びで、私の日々は常に何をどの様にすればいいかを考え実行していたと思います。それを思うと非常に残念で堪りません」と悔しそうに話してくれた。
その時の講義内容は、今の激動の時代はいつどこで災難や様々な難題にぶつかるかもしれませんと伝え。そんな時、どの様な能力と考えが必要か?。それは日々の問題意識による様々な問題を想像し。その想像を通してこうなれば、こうすると常日頃からの仮説検証を心掛ける姿勢が非常に大切になりますと伝えた。
更に、その心掛けは様々な問題や課題も含め。課題解決に繋がる考える力を育む事にもなると話した。
また、その考える力が更なる想像力を高め。その想像がより仮説検証の精度を高め、課題解決に繋がるとも伝えた。その想像の世界観がすぐれた先見力や洞察力を高める連鎖になると事も話した。
しかし、多くの人は想像の世界観を持っ為の問題意識を持たずに生活をしていると思うと付け加えた。特に、常日頃に於いて我々は広く深い問題意識がなければ、人は考え様とも想像しょうともしないのが人間だと思ってくださいと述べた。
要するに、普段の日常の過ごし方が大切で重要だと言っても過言ではない事を伝え。それと常に、自分自身の世界観を空想として描く習慣化も自分自身を守る事に繋がるとも述べた。
空想と言う想像が…自身の「リスクマネジメント」になる。そのリスクマネジメントは、こうなればこうなると言う仮説と言う予測と推測力を育むのである。そのリスクマネジメントと言う意識が仕事やあらゆる難題解決や又は、危険を察知し回避する先見力と洞察力にもなる事を示した。
それらの説明に、色々な場面を例え話しも交えながらの分かりやすい講義を心掛けたのである。講義の中では、その場面場面でそれに関する専門知識や様々な独自の視点で作った方程式なども惜しみ無く披露したのである。
例えば、円安になれば日本の輸出産業(車や電化製品などのメーカー等の大企業)は海外で物が売れやすくなると言う専門家は多い。しかしそうだろうか?。為替レートの恩恵を受け。ただの安売りではないのか。これはこれまでの安易なビジネスモデルや販売の方程式に過ぎない!。
要するに其処には技術革新も生まれなければ。尚且つ時代に合った新たなビジネスモデルや利益循環型方程式も生まれない!。
インバウンド(外国人観光客)も円安の恩恵で安い国だから来ているだけである。安売りの従来の方程式に時代と共に様々な要因が追加されている事に気付かずに悪循環がある故に我々国民の生活は益々酷くなる一方であると南は伝えた。
それらの現実に先を見る想像力や先見力があればこの様な事態に陥る事がないリスクマネジメントが働いたと南はその思いを伝えた。
ビジネスや販売も含めた様々な状況での発想の転換が今の日本人には必要不可欠だと学生達に伝えた!。
先程の彼の返答に…
南はすかさず「そう言ってくれてありがとう!。でも今からでも遅くないよ。人生は長いからね。今、確か4年生だよねー。就職先は何処かに決まったの?」と聞いたら。
「内定した銀行は断り。南先生がいる会社が今からでも遅くないなら、これからチャレンジしたいと思います」と言っていた。
母校からその年。彼を含めて10人応募して彼1人が入社する事が出来た。恩師から聞いたら、恩師のゼミで1番優秀な子だと聞かされた。君の足元にも及ばないけど。なかなか見込みのある子だと思うよと太鼓判を押された教え子だった。今は私の部下として働いている。これも縁なのかと思っていた。
南は、教育は私の役割の1つかもしれないとその時…思った。
恩師やまゆのお父さんが私に向いている研究の世界を改めて考えていた。今回の政府依頼で進めたコンパクトシティ構想の様々なシステム開発のイノベーション研究が、今後の課題解決として取り組まなければと思っていたからである。
南は、日本社会への自分自身の役割を考え続けていた
「まゆ!今、この国に足りない事やどんな役割が必要だと思う」と恋人の彼女に問いかけた。
「どうしたの?いきなりそんな質問をして。新たな問題が出たの?」
「いや!そう言う事ではなく。何となく考えていただけなんだけどね」
「鼓太郎らしいねー。そうね…この国は今、導く人が必ゃない。又は気づかせる人は貴重だと思う。私はいつも!鼓太郎に気付かされているけどね。何が必要かと!」微笑を浮かべながら応えた。
「ふう〜ん。導く人。気づかせる人か?。僕は、その役割が出来るのかなぁ〜」
「出来るわよー!貴方は導く人なのよ。例えば、研究だとか。教育もそうねー。貴方の講義は非常に評判がいいだってよー。お父さんが東帝大学の知人教授からそう聞かされたそうよ。いい人を紹介してくれて非常に感謝されただって。やはり、私の目に狂いはなかったと自慢していたわー」
「私もそう思うもん。1つの企業で業務をする人ではないわ。例え、年収が良くても。人生はお金が全てではないと思うわ。やり甲斐と多くの人に正しい事を伝えたり、未来に導く人よ!貴方は…。それが貴方の今後の役割だと私は思う」と伝えられた。
「僕はその役割が出来るのかなぁ〜。そんな大層な人なのかなぁ〜」
「そう言う人よ。貴方は。もっと自分に自信を持ちなさい!」
南は身近で自分をいつも見ている彼女から背中を押された様な気がした。今後の事を考え様と思った。
まゆは、雑誌のコラムを自身で書く担当になり。最近、楽しそうである。今後は書籍の編集と自分自身のエッセイも出版する二足のわらじをするつもりでいた。
結婚はもう少し先にしょうと2人で決めた。南はその間に今後の行く末を決めて進もうと考えていた。まゆも結婚する前に、鼓太郎外と気づかないものである。周りや信頼する人がある事を強く勧めたり。その人の才能や能力を強く言う人がいたら、それを素直に聞いた方が…幸せな人生になる場合がある。
南は自分のデスクで仕事をこなしていたら、塚本部長から突然、内線が入った。
「今、南課長ちょっといいですか?」
「はい、何でしょう」
「今、中野常務が来ているんだ。常務から南課長を呼んでくれと言っているけど…時間作れる?」
「はい。大丈夫ですよー。これから其方に行きます」と伝え、部長室に急いで向かった。
「今、中野常務からイノベーション研究所の新田所長が南課長を研究所の所長代理で誘っている話しを聞いただけど…その話しは知っていたの?」
「内に来ないか?と新田所長から何度か誘われた事はあります。ただ、その度に返事はしていませんが…所長から中野常務にその話しがあったのでしょうか」
「いや。所長から直接来たのではなく。その話しは社長からなんだ。何でも南課長を新田所長は所長代理で迎えたいらしいんだ。私は、反対したんだが…本人にが其処に行く意志があるかどうかを確認して欲しいとのことだ。今、塚本部長にその件を話した所なんだけどね」
「私は反対です!。南課長は内になくてはならない存在なのです。私だけでなく。彼の部下も全員反対すると思います。また、内だけでなく営業からも猛反対されると予想されます。社長は研究所に彼を行かしたいですか?…これだけ功績と実績を上げている人を…」非常に不満げに言い放った。
「誤解しないで欲しい。社長も私も南課長は我が社にとって無くてはならない非常に重要な人材だと思っている。ただ、社長はこれからはイノベーション研究所の存在感や役割は非常に高まると予測している。南課長が其処で更なる存在感を高めるのではないかと思ってもいる。また、新田所長も南課長の才能と能力を凄くかっている。所長は彼の才能と人間力は此処で発揮されるべきだと強く言っている。其処で本人に確認した方がいいのでは?となった訳である」
「そうなですか?で…常務の考えは?」
「私も勿論此処でより活躍をして欲しいけど。彼の人生だから彼の意志を尊重したいと思っている。南課長はどうですか?行きたいですか?」
昨日のまゆとのやり取りを思い出していた…
「中野常務や塚本部長のお心遣いは大変嬉しく有り難く思っています。社長の考えも良く分かります。私自身、今後の役割はなんだろうと考えてた所でした。
研究で様々な成果を上げる事が、今の私の役割ではないのか?と最近そう感じています。ただ、今すぐ返事をする事は出来ません。何故なら、迷っているからです。もう少し返事を待って頂けないでしょうか?」
「勿論だよ。ゆっくりと考えて返事をしても構わないから。南課長がやりたい事を、私はやらせたいと思っているので!」と南の顔を見て常務が言った。
「私も中野常務と同じです。最も大切な事は、本人が何をやりたいかに尽きると私は思います。社長も常務も、きっとそう思っているのでしょう。何故なら、君は逸材だから我が社にとって手放したくないと思うからだ。南課長、良く考えて返事していいと思います」
「はい!ありがとうございます。私如きでこんな配慮をして頂き。非常に感謝しています。2、3日で返事をします」
南は自分のデスクに戻り。様々な事を考えていた。大学の非常勤講師をする事が出来たのも中野常務と塚本部長の配慮があったからこそ!出来たのだ…私は本当に恵まれているとつくづく思っていた。
婚約者のまゆにこの件を聞いたら、「鼓太郎がやりたい事をしたらいい。人生、一度ならそうすべきよ」と言っていた。
明日、イノベーション研究所の新田所長に電話で確認したい事があった。
「新田所長でしょうか。戦略企画部の南です。今、お時間宜しいでしょうか」
「南課長ですか。はい!どうぞ」
「この度はお誘い頂き。誠にありがとうございます。1つ確認したい事があります。実は、現在2つの大学で非常勤講師を各年2回の授業を持っていますが…其方に行って際。大学での授業をこのまま続けても宜しいのでしょうか」と確認した。
「勿論だよ!南課長。寧ろ様々な大学や研究所で関わって欲しいので、特別研究員なども奨励します。現に私も幾つかの大学で客員教授をしています。また、大学研究所でも特別研究員をしています。内の研究所は研究や又は教育が仕事ですから、多いにやって構いません。二足のわらじも奨励しています。例えば、週に2日は大学で、残りの日は当研究所で働いても構いません。重要な事は、研究の成果を上げる事ですから。状況によては、様々なタイアップをして課題のテーマや難題を解決しても宜しいのです。全く心配はありません。南課長の事は、既に私も知っていますので。逆に、私の方から大学や研究所を新たに紹介してもいいですよー。既に知っているかと思いますが…南課長には、私の右腕として所長代理の役員待遇のポストを準備しています。是非、私と一緒に仕事をしませんか?。せっかくの才能と人間力を此処で生かして欲しいです!」
「ありがとうございます!。前向きに考えたいと思います。その時は、よろしくお願いします」
「了解しました。良い返事を期待して待っています!」
新田所長は長年米国で生活をしていたせいなのか。とてもフレンドリーで気さく方であった。話していて、とても楽しい人だと南は度々思っていた…。
よし、決めた。イノベーション研究所に行こう!。人生は一度きり。何事もチャレンジだと改めてそう思った。
南は塚本部長や中野常務及び和田社長に、自ら今後やるべき事を伝え。自らの意志表示でイノベーション研究所に4月から移動する事が決まった。




