8.一週間後。
塚本部長より、「南課長、質問要件や条件等は出来たか」と内線が来た。
「はい、出来ています。出す前、部長のチェックをお願いします」と伝えた。
「私のチェックは必要ないよーいつもの様にでいいじゃ〜ない。君を信用しているから」と告げられる。
「いつものとは、今回は若干違う故。営業に提出する前、是非部長に見て頂きたいです。もし、厳しそうならアドバイスを頂き。手直ししてから営業には提出します」
「そうか!今回の依頼は、これまでとは違うからなぁ〜分かった。今、私のデスク迄来られる?」
「はい、今すぐそちらに行きます」と電話切って部長室に急ぎ足で向かった。
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これは、南の部長の立場が悪くならない為の配慮でもあった。塚本部長がこの条件を提出した後に、厳しい状況に立たされると感じたら。手直しを求めて来るだろうと思ったからである。その時は新たな方法も含め考え直そうと思っていた。
塚本は南から渡された質問資料と対策とアイデアについての概要文の提案書を受け取り。沈黙のまま暫く目を通していた。
「これもまた、非常に驚かされる内容だねー!。南課長。私もこれに近い条件を色々考えていたよー。流石だねー正しくと言う内容だ」と告げられ。
「これで行こう!」
「いいですか?部長」
「うん。充分過ぎる内容にまとまっている。またもや!南課長の問題意識の高さに非常に驚かれたよー。これをたった一週間でまとめあげるとは…流石だ」
「ありがとうございます」
内線で木村部長に連絡をした。戦略企画部の会議室で、その打ち合わせをした。
様々な条件の質問が出来た。その条件は誰もが想像もしていなかった条件であった。
特に、政府関係者を騙す大胆な対策とアイデアで良いのか?と言う点である。
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その背景を彼なりに深く広い視点で深掘りした現実の数々を書き出し。当社が時間の無駄にならない事や政府関係者及び行政関係者の邪魔や妨害を出来るだけ、避ける実現性のある対策とアイデアにする事に同意出来るかであった。
特に、社長を始め上層部の役員達はその条件に同意出来るかである。
何故なら、この対策とアイデアでもし!トラブルが発生した時。我々現場にその責任を押し付ける事はしないと言う条件でもあった。それらを社長や上層部が飲む事が出来るなら、我々現場は明日からでもその企画書作成に取り掛かりますと言う内容であった。
慎重に事を運ぶとは…そう言う事だと示したのである。
この案は、「すなわち政府や行政を大胆に騙し。画期的で大胆な対策とアイデアであった」
これは、全てが国民の為だけに、考えられた対策とアイデアだとも言える…。
そこに行き着く。背景や理由と根拠がきめ細かに書き込んだ内容だった。南の先見力と洞察力に裏打ちされた。想像力溢れた様々な仮説と鋭い検証に基づく内容でもあった。
それを当社で出す事が出来るかである。その覚悟があるのか?
会議室で1時間に及ぶ時間が経過した。木村部長を始め田中主任と本郷は、この内容を読んだ時。
声が詰まる様に、呆気に取られた表情で…「まさに!その通りだねー」と木村部長が発した。
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「凄いよー南課長!。我々も実は我が身を守る為に、様々な条件を今回は付けるべきたと思っていた矢先だっただよー。この内容もしかり。もの凄い大胆な対策であり。ある意味!可能性のあるアイデアだと私は思った。早速、沢田局長にこれを提出するよ」と明けなく承諾された。
田中主任も本郷も呆気に取られた表情をし続けていた。やはり、この人は怪物?。それとも宇宙人?。と2人とも脳裏にその言葉が浮かんだ。
すかさず、田中から「たった一週間でこれを書いたのですか?。昨日は私の依頼による。企業提出の企画書を見せてもらったばかりなのに…良くこれをまとめる時間がありましたねー。南課長は、もしかして毎日徹夜をしているですか?」と不思議な顔で言われた。
「いや〜そんな事はないよ!。毎日、ちゃんと帰宅し寝ているよ。確かに、今回のこの依頼は、政府や行政に対する様々な思いの葛藤でイラつく場面が脳裏に過り。ちょっと疲れたけどね」
「営業でも、今の政府や行政内容にある意味!怒りが噴出していました。笑 南課長が書いた内容に私個人は大変賛同しています。部長も本郷君も同じ思いだと思います。」と締めくくり、部長と本郷の顔をチラッと見た。2人とも同じだと。頷くような素振りをした。
最後に、木村から
「社長を始め上層部はこれに賛同するかだけどねー。もし?賛同せずに、条件付きを拒絶する様なら、今度は私からこの依頼をすっぱっと断るよ」
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そうだ!木村部長。私もその時は部長を支持します。私の方でも中野常務にこの提案を直ぐにでも手渡し。根回しをして置きます」
塚本部長、よろしくお願いします。南課長の努力を無駄にしない様に2人で力を合わせましょう
何故か、今は木村部長及び営業の人達とは馬が合う。何事もスムーズに事が運ぶケースが非常に多い。これも南効果と塚本のリーダーシップと彼の判断能力の賜物なのかもしれない。
いい上司に恵まれると部下の能力とやる気は非常に高まるものである。それがこの5年間で、周りに強く示された結果となった。
その2日後。木村と塚本の上司である沢田局長と中野常務は承諾に漕ぎ着けた。後は、社長とその他の役員が承諾するかであった。
5日後。和田社長より、中野常務に内線が入った。
「中野常務、悪いがこれから私の所に来てくれないか。例の政府依頼の件で君と2人きりで話したい事があるので」
「かしこまりました。これから直ぐにそちらに行きます」
3分後、ノックをして社長室に入った。
南課長が書いた提案書と条件を、君は読んで承諾したと営業担当役員から聞いたのだが、それはホントなのか?」と聞いて来た。
ホントです。その後、直ぐに社長に報告しょうとしたら、秘書に現在出張中と聞いたので、帰って来た時にこの件を報告しょうと思っていました」と険しい顔で中野は応えた。
昨晩、九州支社から帰って来たんだ。昨日、営業よりメモと一緒にこの報告書を渡されたらしく。今朝、秘書からそれを渡されて読んで、君に電話をしたんだょー。君が承諾した理由も話してくれないか?」と切り出した。
「はい。その前に、社長の感想はどうでしょうか?」と返した。
「私は、条件付きはその通り!だと思うが…この構想案は危険ではないか?と反対を表明する役員が数人いる。それは専務を始め3人の役員だ…。後は社長の判断に任せる役員が3人。君と営業担当役員の賛成が2人と言う事だ。で、君の賛成する理由を聞いて…私は結論を出そうと思っている」
「そうでしたか。分かりました。私の結論はここに書いてある通り。賛成です。何故なら、戦略企画部の塚本部長から報告を聞いて、まさに!その通りだと思ったからです。つまり、政府関係者の依頼は、これまで散々振り回され。挙げ句の果ては延期や取り止めも多く。更に、雲行きや情勢が悪くなると当社の責任にされた事さえも多かったです。特に、国民ウケの悪い場合には政府関係者は手の平を返す様に、民間企業のせいにするのが常です。南課長が様々な仮説から考え出した。このトリックはある意味!騙しかもしれませんが…当然の騙しのトリックであり。また、この構想には夢と希望が詰まっている状況から、実現の可能性も非常に高いと思ったからです。私の感想は以上です。社長の感想もお聞かせ願いますか」と如何にも中野らしい率直な感想と意見で締め括った。
社長はじーと目を閉じてその感想を聞いた後。笑顔さえ浮かべながら…「全く同感だょ!。我々が今後、政府関係の依頼は全て断ると決めたのは、君が言う通り国や政府及び官僚は全く信用できないと思ったからに他ならない。
しかし、このご時世。代理店時代は半分位に売上と利益は下がり。社名を変え。業務内容も変更したにも関わらず。この5年間は君と塚本君や南君のお陰で、大分売上と利益は鰻登りだとしても!未だ全盛期とは差がある。君も知っている通り。時代は大きく変わり、今後何が起こるか分からない状況が続いている中。我が社の存在感や国民の為の使命感も含め、今回の政府依頼を条件付きでやってみようと君の同意で結論付けしたんだよね!。そう言う観点からも、この構想案はそれを全て満たしていると私もそう思うよ…中野君。素直な意見に感謝する」と感想を述べた。
更に、付け加えるように「よし、これで行こう!」と締めくくった。
すかさず!「かしこまりました!。でも反対意見もありますが…これでいいですか?」と念を押した。
「いいだよー。専務達の意見は最初から無視するつもりでいたから」と笑みを浮かべながら応えた。
「何かあれば、私の方でも社長を支援します。何かあればいつでも言って下さい」
「了解!。しかし、中野はいい部下を持ったなぁ〜。またもや!南課長には驚かされた。特に彼の先見力と洞察力には…。私も君の様な部下を持って安心だょ…。今後ともよろしく頼む」
「はい!。南課長がここまで凄いヤツとは…私もびっくりです。この先が非常に楽しみです」
「私も楽しみだ!」
2人向かい合って大笑いをした。
政府関係者及び官僚も含めた初回の打合せの叩き台として、これで行こうと社長と中野の間で決まった。
後日、和田社長から営業担当役員の沢田局長と他の役員には議案の役員会議後。この提案内容で行く事を伝えた。
また専務以下反対派の役員にも、これは社長命令として従わせる事にした。今の和田社長に逆らえる人はこの会社に誰一人いないからである。
何故なら、この会社をここまでしたのは、一重に和田社長の功績と実績だと言えるからである。それだけ、和田社長は社内外から人望は厚く。彼の先見力とリーダーシップは別格だと、彼に対する信頼が非常に高かったからである。以前の社長とは雲泥の差があった。
中野は役員会議後に、塚本部長に社長と話し合った結果を伝えた。政府関係者と官僚には、初回の打合せとする叩き台は、これで行く方針を伝えた。
また、今後営業部長と話し合って、政府関係者との打合せの段取りをする様に伝えた。弊社からの出席は、社長と私に営業担当役員及び営業部長と担当者。戦略企画部からは塚本部長と南課長及び伊藤チーフ。先方は、経済産業担当副大臣に政務官。並びに官僚からは経済産業省事務次官か副事務次官クラスが出席する様に段取りをして欲しいと伝えられる。
今回の社長や各役員に提出された対策とアイデアの構想案には…騙しの画期的な内容が具体的に書かれていた。
それは…日本中の様々な地域での!「新たな国の誕生とする。未来都市-循環型社会のコンパクトシティー構想案」である。
循環型とかコンパクトシティーは、これまで良く使われて来た言葉である。しかし、これはただの都市計画の一環として使われ、未だにその実現には至ったいない。それは、行政や政府のご都合主義の一貫に過ぎないものでしかなかったからである。
この構想案には、人口減少と高齢化社会が進む地域では、今や空き家や廃棄だらけの過疎化があちらこちらで起こったいる。もはや!国や行政に任されない現況になっている。それは、国民が政府や官僚を全く信用出来ないからである。今の政府が国民に良く言う。「自助の精神」を逆手に取った構想案でもある。
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つまり、様々なNPO法人や団体の力も使い。「自分達(国民)の手で新たな様々な利便性と生活スタイルを作り、自然災害などから我が身を我が身で守る!。ある意味…自分達の国づくりとする未来都市-循環型社会のコンパクトシティー構想」だからである。
それを全国の過疎化地域や地方都市も含めた。希望が持てる!様々な国づくりだからである。以前、地方分権体制が話題になった事がある。中央は予算を作り。その予算は各地方の裁量で使う方式であった。しかし、いつのまにかその話しはなくなっている。
それは何故か?。それは国民主体ではなく。政治家間や行政間の話し合いで、国民は蚊帳の外だったからいつの間にこの話しは無くなったのである。
つまり、今回の案は今の政権や自由思想党の国家議員に対する国民の失望を取り戻す絶好の対策と方法になり得ると確信を持っている。
その失望とは、宗教団体への問題とか。政治資金の裏金問題などで、国民の批判は頂上まで登り。今や国民の不満は爆発寸前の現況だからこそ!。国民に新たな希望を与える未来構想が今、必要になっているのである。
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その希望を実現させる対策と方法論である。今や、SDGsも含めた地球温暖化策が各国に求められている最重要課題でもある。この未来都市には地熱エネルギーや風力エネルギーなどのクリーンエネルギーの実現と食糧問題の自給自足による農作物の確保。更に、川や湧き出る地下の自然水も活用した様々な持続化社会を目指す循環型都市・社会構想の実現化でもある。
この地方分権型未来都市には、その循環型社会で発生する様々な雇用や働き方。更に、新たな職業と産業が生まれる環境がある。それをこの地域・地方に集まる国民とNPO及び企業の手で作り上げるものでもある。
要するに、金は出すが口は出さない!日本経済の新たな可能性を創出する対策とアイデアと言えよう。
新たな日本経済の創出とは…日本中に「小さな日本の国」を作り。その国同士の循環型社会と様々に起こる自然災害の備えとする新たな防災システムなどが、新たな莫大な金を生む壮大で画期的な経済対策とも言える。
この構想が実現出来れば、この構想都市計画をソフトパッケージとして、海外に輸出し海外の国から莫大な金額が取れる様になる。ある意味!金の成る木になる可能性を強く秘めているとも言えるからである。
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しかし、この構想案にはこれを進めるに従って、様々な「課題と難題」が続出する裏がある。それを対処し解決するには、今の政治や行政の在り方では難しい事態に陥る。その一つが「権限と責任」の所在である。つまり、新たな政治改革と公務員改革が国民から突きつけられる結果となる…騙しの大胆なトリックが隠されているのである…。
一見、政府の様々な対策の成果が望めて、難題の社会福祉制度や医療・介護改善にも繋がり。お金の循環による経済発展になると思いがちだが、それをするには利権絡みを破る様々な制度改正や権限の分散化が必要不可欠な状況になるトリックが潜んでいるのである。
一方、この件で上層部が話し合っている間。久しぶりに南は学生時代から付き合っている恋人と待ちわせをした。場所は、西新宿の学生時代からよく行く焼き鳥居酒屋「憩い」である。




