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19.南は講義後、ある日課を課していた…

月曜日の午前中に、南が学部3年生を対象とした講義を行った。テーマは「人の役割と導き。」について話した…


 授業終了後。3人の学生から!


「南先生、役割と導きの講義内容に非常に感銘を受けました。もう少し…具体的にその件で討論をしたいのですが!。よろしいでしょうか?」

「勿論だょ。此処では何だから、私の研究室でその続きをしょうか」

 といつもの様に…今回は女子学生2名と男子学生1名の計3人が南の研究室に導かれた…

 ソファに腰掛けるいなや突然、1人の女子学生が深刻な顔付きで…

「南先生!3年生の宮沢芳子みやざわ ひでこと言います。私はこれまで親の期待を背負って生きて来ました。この大学に進学したのも…親から此処へ進学したら将来保証されたものだからとも言われ、私の希望でこの大学に来たのでありません!。そのせいか、入学しから全くやる気が見出せないのです。

 つまり、私は何のために生きているのか?さえ…最近は思っています。


このまま大学に在学して何の意味があるのか?。それとも退学して…先生が言う私の役割と誰かの為になるやり甲斐を見つけ誰かを導ける人になれないかを。今日の授業を聞いていてそう思っているのですが…南先生はどうした方がいいと思いますか?」と質問して来た。

「えー秀子、そうなの!。そんな事を考えていたとは知らなかった」と一緒に来た女子学生がびっくりした顔で彼女を見ながら発した。

「うん、入学してからその事を考えていたんだ…実は。正子にその事を相談しなかったけど!。先生の講義を聞いて…私の役割は何なのか?と思った。私は親の操り人形?なのと思ったの…」

「私だって、ある意味!親の言いなりで生きて来たものよー。毎日毎日、勉強しなさい!と親に言われて…何とか此処に合格出来たけど…ね」と工藤正子くどう まさこが言い放った。


 2人の突然の会話に、南は圧倒された。もう1人の男子学生は無表情で2人の会話を静かに聞いていた…。


「2人とも!親に言われてこの大学に進学したんだねー」と南は静かに呟く様に言った。

「私は秀子とは多少異なり。自分の意志も多少あってこの大学を選びましたけどねー先生」

「そうなんだ。ある意味!教育熱心だっただねーお二人の親は!」

「教育熱心なのか?それとも親のエゴを押しつけられた様な気がします!。私の場合には…」と宮沢は多少怒りが滲み出っていた。

「そうなんだ。ある意味!教育熱心だっただねーお二人の親は!」

「教育熱心なのか?それとも親のエゴを押しつけられた様な気がします!。私の場合には…」と宮沢は多少怒りが滲み出っていた。

「そうなんだ!親のエゴか…」

「はい!親のエゴだと思います。この世は学歴社会だから、いい大学に貴方は行くのよーと小学生の頃から、毎日塾に通わされて。貴方にはこれと言うものがないから、貴方には勉強しかないのよーと良く言われました」

「酷い!そんなことを言われて来たのねー。私ならそんな親なら!反抗してグレたかもしれないわー」と正子は突き放す様に言い放った。

「母親にそう言われて来たの?」

「はい!母親です…」

「私は、三年の山本哲二やまもと てつじと言いますが…高校の時にアメリカの高校にホームステイをしたのですが、向こうの親は勉強をしなさい!と聞いた事がなかったです。何でも親は親。子は子。と言う1人の人格として尊重しているらしいです。その事を聞かされて…羨ましかったです!。

 内の親も自分の好きなことをしなさいと父親は良く言うので…今の話を聞いて可哀想だと思いました。受験を東帝大学かアメリカの大学にするか?迷いましたが…向こうは学費が非常に高いので此処に決めましたけど。機会があれば…大学院は向こうに行ければと思っています!」と割り込む様に山本が言った。

「日本は競争社会故、学歴がなければ後々後悔すると。親は子の為に勉強勉強と言う人が多いけど。確かにそれも一理はあるかもしれない。企業や世間は学歴で評価する場合が多いからである。

ただ、子の人生は親のものではない。それを履き違えている親が多いのも現実だろうねー日本は!。ある意味…過度になり過ぎると教育虐待!とも言える。


つまり、親の夢を子供に押し付けてはならないと先生は思う。人にはそれぞれの役割で社会に貢献出来るからである。最も大切な事は自分自身が何をしたいか?何を目指すかでその人は幸せになれるからである。

 今の話を聞いていると!大学に進学する事が目標となり。その先の方が人生は長いのに入ってから目標・目的を失っている学生は多いのが…残念だと言えよう。大学生活で自分自身は何がやりたいのか?。自身の役割は何なのかを見つけ、何を(他人を)導く事が出来るのかを発見する場が…ある意味!大学かもしれないねー!。日本の場合には、特にそうだと言えるのかもしれない…ね。

 今、やる事がないとか。目標がなくつまらないと思っている学生に言いたい事は。大学を辞めたからと言って!やりたい事が見つかる保証もないし。又は、幸せな人生になれるかと言う保証もない。

 更に言えば…勉強勉強で支配した親へ復讐の為に、大学を辞めるのも!愚かな行為であり。それによって何が得られるかを想像すると!何も得られるどころか、後悔だけが残るだけだと先生は思う。

 親から解放されてやっと自由になれた!と本人はそう思いたいだろうが…目先の事に囚われずに!長い人生を想像し、自身の未来を描いて欲しい!。今、ではなく。将来を想像する事である。そして、親ではなく。あなた自身の将来への役割と導きを思い描く時間に大学生活を使ったらどうかと思う…」

「今、出来る事を想像し自身の将来を描く事が大学生活では、大切な時間だと言う事ですね!」と山本が呟く様に言った。

「そうだねー!先生ならそうするねー。高い学費を払って、尚且つ時間も沢山費やしているからねー。自身の将来への投資だと思う事だよー」

「自身への投資ですか…」と宮沢は言い放った。


「そう!自己への投資だねー」

「大学は…自己投資だと思えばいいだ!」と工藤は言いながら頷いた。

「先生の様な大人になるには…どうすればいいのでしょうか?」と山本が真剣な眼差しで質問をして来た。

「いい大人かどうか!分からないけど…私は興味ある事を見つけて。それに熱心に取り組んで来たように思う。今、思えば…だけどねー。それと!社会人になってからは…特に、何事にも一生懸命にやって来たかもしれないねー」と南は穏やかに話した。

「興味ある事を見つけ。それに熱心になる。何事にも一生懸命になるか!ですか…」と宮沢が俯きながら呟いた。

「そう!。そのように心掛けて来たねー。今も、その気持ちは変わらない!」

「それと!能力と技術だけでなく。最も大切な事は…思想と哲学だと思う。この国を何処に何処へ導く必要があるか?の思想と哲学を持つ事ではないだろか。その思想と哲学は…明確な目標や目的の軸だとも言える。それは、国や行政だけでなく。産業やあらゆる分野でも!同じ事が言える。

 何故?日本はここまで堕落したのか?。それはこうあるべきと言う。思想や哲学が今の日本人は欠落したからだと先生は思う。役割も導きも!その思想と哲学が重要になると私は思っている」

「思想と哲学!ですか…」と3人の学生が呟く様に言い放った。

「そう!思想と哲学だ。特に、リーダーになる人はよりそれが求められる要素だと肝に銘じて欲しいねー」と南は3人の顔を見ながら言った。


3人とも…


「はい!肝に銘じます」と返事をした。


3人とも晴れ晴れした顔で…


「先生!貴重なお時間ありがとうございました」と3人とも深々とお辞儀をしながら感謝の言葉を発した。


宮沢が最後に…


「南先生!何か悩んだ場合には、またここに来てもよろしいでしょうか」と神妙な表情で言った。

「いつでも遠慮なく来なさい!。歓迎します」と笑顔で南が返した。

「はい!ありがとうございます」

後の2人も…


「私もそうします!」

「僕もそうします!」と言って研究室のドアを閉めた。


 南は1人になった研究室で、いつもの様に目を閉じて物思いに深けていた…


 今の日本の受験勉強は、もはや!時代錯誤なのかもしれない。何故なら、此処を出た私の同僚のケースを見れば…彼は企業に入ってから苦労していたからである。

 社会は問いへの答えを出す状況ではなく。自らの問いを考え答えを導くのが社会の現実だからである。日本の学歴社会や過度の競争社会は若者の自信や居場所さえも奪う結果になっている。

 この状況を変えることが出来ないだろうかと南は考えていた…。

 特に、教育や社会及び産業も含め。今の常識や在り方を抜本的な改革や変革をしなければならないと!改めてその思いに深けていた。


疑問や興味だけでなく。何かに悩んでいる人や自信喪失している人の力になりたいと南は常日頃からそう思っていた…

 何故なら南は、小中高時代は人に頼られる存在ではなかった。寧ろ一部の人以外は変わり者(変人)としか思われていなかったからである。

しかし、高校の数学担当教師や大学時代の恩師に巡り合い。社会人になり、自分を頼りにする人達がいて頼られる事がどれだけ幸せなのかを南は知った…。

 その経験から特に学校や社会で、世の中の常識から自分はダメな人間だと思わなくてもいいだょと叫んでいた。何故なら、人にはその人に備わった「才能(能力)や役割」が必ずあると…南は常に言い続けて来た。

 だから周りを見ずに、自分を信じなさい!と心の中で…いつも叫んでいたのである.


その心の叫びから…


「あなたは、今のままでいいだょ!」と南は、日頃から学生や周りの人にそう言ってきたのである…

 人は絶望の淵に立たされた者は強くなれると南は思っていた。何故なら、自分自身もそうだったからである…。




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