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(後編)14.第二の人生…道

朝起きて、昨晩まゆに掻い摘んで飲んだ時の内容を今日話し合う事になっていた。

「ねー鼓太郎、昨晩の事をクラッシック喫茶-たんぽぽで、モーニングを食べながら話さない」

「いいねー!大分行っていないし、あそこのモーニングセットは美味しいからねー。そうしょう!」

 いつもは、まゆの洋食手料理で済ませるけど…今日は鼓太郎の第二の人生について聞かされるので、たんぽぽでゆっくり朝食を取りながらまゆは聞きたかった。それに、結婚して西荻窪に引っ越してから、遠くになった事もあり。中々前の様には行けなくなった事もあったので、より行きたくなった。

いつもの様にマスターは笑顔で迎えてくれた。どんなに久しぶりでも!彼は変わらずにいつものの様に接してくれる事が、2人には嬉しかった。

「でー昨晩の続きどうなったの?。鼓太郎の気持ちを教えて」とモーニングセットを食べながら切り出された。


 かくしか…と長いこと聞き。鼓太郎の心境を聞いた後。まゆは…

「お金や年収の事など…どうでもいいわ。そんな事より、鼓太郎がやりたい事や役割の方がずーと大切だと思うの。何故なら、前にも話したと思うけど…人生は一度しかないのよ。また、企業なんて当てにならないわ。今回のケースで、大切な人や信頼していた人達が突然居なくなって。鼓太郎自身が良く認識出来たんじゃ〜ない。私は、鼓太郎がやりたい事を全面的に支持して応援するつもりです。周りからもよく言われている通り。あなたをよく知る人は、大学教員と独自の研究があなたの才能を生かす事が出来るのよ!。また、その道があなたには向いているのよ。要するに、純粋な面で!人や社会を正しい所に導く貴重な人だと思うわ。前にもその様な話をしたかと思うけど。第二の人生を歩んだら…私もそう思う」と久しぶりにまゆの真剣な眼差しで言われた。

 南は内心、まゆはそう言うと読んでいた。以前もその事を淡々と話していたからである。

 しかしそうは言っても!現実問題として年収は半分近くも下がる。これは南にとって初めての経験である。半分も減る!これには…流石に南はためらってもいた。

 既に結婚しそろそろ子供もと考えている所だった故に…


「そうだけど…今の年収の半分以下になるだよー。それでも良いのか?と思うだよね…」

「何を言っているの?。今は2人で8000万近くの年収だけど!企業はいつどうなるか分からないわよー。やっと私の年収は700万円位になって、2人の年収であなたの年収が90%以上だわ。でも!鼓太郎。よく考えてみて。世間は世帯年収は平均700万円位なのよー。私たちは貰い過ぎなのよ。特に、あなたは…。あなたは大学に入学したのはお金儲けの為だと言っていたけど…今はどうなの?。

 そうではないじゃ〜ない。やり甲斐や社会貢献にあなた自身の目が向いているじゃないの。私は側で見ていてそう思うけど…違う?。人生は前にも言ったと思うけど…お金ではないわ。ましてお金持ちになる事でもないわ。私達はもう充分過ぎる程の貯金をし、蓄えてもいるのよ。家族や生まれて来る赤ちゃんの事も考えていると思うけど…そんな事は心配しないで、あなたの才能と人間力を生かした職業を選んで欲しいの。私は心の底からそう思うの」といつもののまゆ節が出た。

「赤ちゃんと言っていたけど…もしかして!」

「先月病院に行ったら、おめでた3ヶ月目だって!」

「ホントに!うわぁ〜嬉しいよまゆ。ありがとうありがとう!」

「ホント!まゆちゃん、赤ちゃんおめでとう!」とそれを聞き付けたマスターが近づいて来て笑いながらまゆを抱きしめた。

「良かったねー鼓太郎君!」と言いながら鼓太郎とも抱き合って喜んだ…。


「ありがとう!鼓太郎。マスター。」と照れ臭い顔で今でも泣きそうな顔で言った。

「鼓太郎君、君はホントにいい奥さんを見つけたね!。先程から2人の会話を盗み聞きしていたけど…まゆちゃんが言う通りだと思うよー。人生とは?幸せとは?それはお金でもお金持ちでもない!と思うよ。私を見なさい!お金には縁もゆかりもないけど。君達の様なお客さまに恵まれ。内の妻にも!恵まれ…私は超ハッピーで毎日が幸せなんだよー。鼓太郎君、やり甲斐とやりたい事をするのが…1番だょ。長い人生は…それが1番。奥さんがそう言っているじゃ〜ないか。いい奥さんと知り合えたねー、ねえーまゆちゃん」と楽しそにマスターが念を押す様に言った。

「マスター!ありがとう。そう言えば…マスターの奥さん、とても素敵な人ですよねー。いつもニコニコと笑顔を絶やさない人で。とても美人でチャーミングな女性で…何処でたぶらかして奥さんにしたんですか?」とまゆが含み笑いをした。

「とんでもないよーたぶらかしたなんて!。今日は用事で店にいないけど…まゆちゃんの今の話を聞いたらさぞかし、喜んだだろうね!。ありがとうまゆちゃん。彼女は、私には勿体ない程のいい奥さんです!」と満遍の笑顔で言い放った。

「マスターの助言しかり、胸に収めさせ頂きます。ありがとうマスター」

「所で、鼓太郎君。8000万円は凄い年収だねー。羨ましいよ!。これからは、お二人には倍付けだね!」と言った瞬間。3人で大笑いした。


 たんぽぽを出る頃には、鼓太郎は第二の人生を歩もうと思った。まゆと生まれてくる子供の為にも。教員と研究の第二の人生を歩もうと決心がついた。

 その為にも、今取り掛かっている事業は、新田代表が言った案で進めて早く引き継ぎが出来る様にしょうと決めた…。

 2人はたんぽぽを出てから、近くのスーパーに立ち寄り。今日の夕飯の材料等を購入し帰宅した。今日は、料理は余り得意ではないが…まゆと鼓太郎がこよなく好きな肉じゃがと煮込み料理を南が作ろと思った。その料理とビールで妊娠祝いを2人でするつもりでいた。

国立東帝大学の常勤教授席は、前々から空けて待っていると。特任教授になった時点で、私を誘ってくれた里山教授から言われていた。後は返事をするだけであった。 

 同時に、同大学の都市創造研究所の教授も赴任する予定である。里山教授は、今年4月に学長に就任していた。また里山学長より常勤教授になった時。副学長もやってくれないかと打診もされている。

 それも私で良ければ…引き受けるつもりでいた。更に、常勤教授になっても母校の文帝大学特任教授とスタンフォード大学客員教授も引き続き出来る事になっていた。

 南は新田代表とその後話し合った結果。地下空間都市構想は断念し、地下空間シェルダー構想に切り替えて進める事になった。


 また、この構想案なら引き続きとして、現在のプロジェクトサブリーダーのシニア研究員でも充分にその役割が出来る事になった。

 新田代表は大塚専務とやり合った原因は、南統括官を今進めているプロジェクトから外す事を専務とその小判鮫役員から言われ。それを激しく拒む言い合いになった事を聞かされた。

 新田代表は南統括官にあの専務達の言い分は無視して、このままこのプロジェクトを率いて此処にいて欲しいと言われたが…南の第二の人生を歩む決心は変わらなかった。


(南は新田代表の気持ちは非常に嬉しかった。だが、民間企業や政府関係の仕事にはもうウンザリだった。内向きの人が多く。人の粗探しと、妬みや嫉妬で足を引っ張る事しか考えない!連中が多いからである。だから、日本は堕落する一方だと怒りさえも感じる事が多かった…)


 新田所長も、南所長代理の気持ちと次のステージへの目標と役割を良く分かる故。シニア研究員との引き続きが終わった時点で退職する許可をした。引き続きは、南統括官によって様々な工事項目と工程表に属した段取りがスムーズに進むマニュアルも作った。それを手渡した時点で終了した。この期間は約3ヶ月間であった。

 そして、南は翌月から国立東帝大学常勤教授として着任した。同時に副学長及び同大学都市創造研究所の専任教授にもなった。

 イノベーション研究所の新田所長も南所長代理が退職した翌月に彼も退職し、米国のスタンフォード大学創造学部の常勤教授に赴任した。


南は新田が米国に飛び立つ前に、良く一緒に行った研究所近くの喫茶店でお互いの「第二の人生」について話した。

 それは…お互いにこれまでの様に企業や政府関係者に遠慮せずに、自ら思った事を貫き通そうと言う事であった。

 新田は研究に、南は社会改革と変革に突き進む人生を互いに語り合った。

 空港での見送りは南1人であった。企業やサラリーマンとは営利で動くものだと知っていたが…改めて寂しいものだと思った。

「新田代表、大変お疲れ様でした。向こうでの活躍を心より祈っています!。私自身、代表には感謝しきれない程。感謝しています」と待合室で伝え見送った。

「私こそ!南さんには大変お世話になりました。アメリカに来る時は連絡をください!。また、飲みましょう…。特に、同じスタンフォード大学の客員教授で来る時は必ず!連絡くださいねー…」と寂しそうな表情で新田は呟く様に言った。

「はい!その時はご連絡しますね!」と握手をしながら南は返事をした。

 あれだけの実績ある人がまた1人、日本から離れて行く事に悲しい気持ちになる感情を抑えられずに、南は心の中で叫んでいた…。

 一方、伝播Pの和田社長は体調不良を理由に中野常務と一緒に、翌年1月に会社を去った。


 次の社長は営業担当役員から常務予定を飛び越し飛び級で社長に抜擢された。それは、和田社長と中野常務の取計らいによる抜擢であった。

 大塚専務と小判鮫役員の3名は、役員会の多数決を持って役員退任をされ。株主総会で正式に役員入れ替えの決議で多数決で承認された。専務及び他の2名は、この時点で会社追放の処罰が適用された。これまでの数々の悪事と能無し役員のレッテル等から…当然の結果だと言えよう。

 南は、大学教員になるにあたって彼にはある信念があった。その1つが教育改革である。

 スタンフォード大学の客員教授になった時。日本と米国の大学教育の在り方が大きく異なる事で、大学新卒者への企業や社会の期待度が全く異なる(年収と役職)事が挙げられる。

 それは教育の在り方の違いだと強く感じていた。それと入学試験制度の違いである。

 もう1つが大学と社会の結び付きである。大学は社会に人材育成の面で大いに貢献すべき点がある。

 それは実践的教育と社会人向け教育カリキュラムのより活性化である。

 また社会や企業との密接な関係によるイノベーション研究への貢献とベンチャー育成への強化が挙げられる。


更に、産業や社会構造への仕組みやシステム開発への研究をより推進させねばならない点である。それは都市創造や地域創造に地域活性化も含めた日本の将来に、より一層取り組む事が大学の使命と役割だと!南は強く思っていた。

 つまり、これからの大学とは?。これからの教育とは?。そして、これからの大学の役割とは?何なのかである…。

それを問い、想像し、大学の世界観を仮説検証で理想郷に少しでも近づける事である。

 これからの激動の時代に求められる…人材像の究極を追い求め。未来に向けた研究開発も追い求め。それを持って社会貢献を持続的にやって行かなければならないと言う信念を…南は持っていた。

 即ち!大学教員とは、企業や社会の課題解決を正しい方向に導かなければならないと南は思っていた。

 今日の日本の実態を見れば…やはり人が大切である。その人を生かす環境と周りの人達がより大切だと。自らの社会経験を通して強く気づかされた。それが人の…新しい才能の方程式でもある。



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