計画実行終了/受け止めたくない
半月の指導を経て、俺は編入の準備のために一度ラボへ戻ると告げた。
計画の為とはいえども彼女と半月間も離れないといけないのはとてもつらい。つらいなあ。つらい。つらすぎる。
まぁでも、"これから"を考えたら安いさ。
そして現在に至る。俺はこの1ヶ月の計画実行を振り返りながら、パーティの拠点のドアを開く。私の予想通り彼女はラトルを申し込んでいた。
あぁ、悲しい顔をさせるつもりはなかったんだ。ごめんよ。でもその感情豊かなところも魅力的だよ…
おっと危ない。口に出そうになった。
「シラノさん!どうしたんですか?私がいない間に何が?」
言葉を紡いだ。
すると彼女は状況を説明をしてくれた。
うん。知ってるよ。こんな状況でもちゃんと話してくれるんだね。あぁ好きだ。ふふふふふははっはは。いい調子。後は奴が計画通り行動するだけでゲームスタートだ。
翌日。
あの二人ががタジナと一緒に脱退するといったことに疑問、というより強大な違和感を持った私はが昨日申し込んだラトルの会場に朝早くから来ていた。
そして私が思っていたよりも早く試合が始まった。
対向から人影が一つしか見えない。
「ん?」
(なぜあいつは一人でスタジアムに来たんだ?私のことを舐め腐っているのか?それとも洗脳魔法をかけているから二人を攻撃されたくないのか?)
「どちらにせよ、速攻であいつを吹き飛ばしてこの試合を終わらせる!」
試合開始の合図と同時に私は左手で魔法を構え、剣を前に突き出した。タジナはなにやら丸いボールのような物を持っているが投擲武器だとしても防御魔法で防げば関係ない。
とはいえ相手はタジナだ。なにをしてくるかわからない。警戒はしておこう。
そのため、私は目くらましとして前方に90%の力で炎魔法を放ち、すぐさま水魔法を自身にまとわせ、炎の中に突撃した。その時急に青い煙(?)のような存在がタジナの周りに現れ始めた。
(これは…なんだ?)
未知の状況に危険を感じた私は防御魔法を発動した。
すると周囲は瞬く間に青い光に包まれたのである。一方、私は私で突然強烈なめまいと吐き気に襲われた。
そしてその気分が晴れた時、審判が発言する。
「鷹、シラノ・トロヴォロス、ルールアウトにより失格とする。ゆえに勝者は鬣犬、タジナ・リヨンス。」
会場全体がどよめきだけになった。
(ルール…アウ…ト…?私が?)
信じられない私は左右を見渡す。すると幼げな女の子がいたのだ。
おかしい点はいくつもある。だが特に気になる点がる。その女の子の目線が自分と同じくらいであることだ。5秒もしない内にシラノの脳内が一つの答えをはじき出した。
「…え?これが…ルールアウトの原因…?」