不穏な食卓
2種類のサラダ、3種類のメインディッシュ、4種類のブレッド、5種類のスープ、大量のドリンク。
準備は終わった。今日はとにかく祝おう。そう心に誓った。
「では、タジナがこの門出を受け入れてくれた。そしてこの送別会はこの件で暗くなっているタジナを少しでも明るく送る目的で開いた。これまでありがとう。タジナ。」
自分で追い出しておきながら、こんなセリフを吐いてしまった。反吐が出そうだ。
この言葉の後、送別会には葬式のような空気が流れた。
1時間後、結局言われた通りに町を散策していたトリノも帰ってきて歓迎会が始まった。
料理はさっきの使いまわしだが、量はあまり減っていなかった。あまりの雰囲気に喉を通しにくかったのだろう。私もだ。
「では改めて、こちらが新しく入るトリノ・マーリハウスだ。」
「ご紹介預かりました。トリノ・マーリハウスです。皆さんよろしくお願いします。それとタジナ先輩、後で一緒に話しませんか?男二人で。」
まずい。これは挑発なのか?もし私なら挑発と受けとってしまっただろう。
そして案の定タジナは声を荒げた。これまで話していなかった分を爆発させるように。
「は?お前に席を盗られたのに、どうして俺が!!お前と!!"サシで"!話さないといけないんだよ!!
お前が来なければ、俺はまだこの場所にいれた!!そもそもお前に先輩とよばれたくなんてない!!とっとと失せろよ、この盗人!!」
そんな声には全く怯まず、トリノは近づいて耳元で何かささやいた。
その後怒ってていたはずのタジナは急に血相を変えてトリノと供に部屋に戻った。
他3人は心配そうに見つめつつも、残った料理を食べ進めた。
「今日の雰囲気は今まででサイアクだね。」