追放令
この日、シラノ・トロヴォロスは高らかに声を挙げた。
「補助魔法使い、タジナ・リヨンスに鷹からの追放を命ずる。その際1ヶ月の求職、身辺整理、引継ぎ期間を設ける。もちろん職が見つからなければこちらが手そして配しよう。その一カ月が過ぎたらこのパーティを必ず抜けてもらう。先に言っておく。これまでの同行。心より感謝する。」
(タジナのことだ。きっと理由を問うて駄々をこねるだろう)
と思い込んでいた矢先、その返事はとてもといっていいほど簡潔で人間味のない言葉だった。
「理解。これまでありがとう。」
「え、それだけ?」
思わず言ってしまった。
するとタジナは聞いた。
「では、”引継ぎ”ということは後継は探しているんだな?どんなやつだ?」
穏便に返答しようとしたが、叶わなかった。答えようとしたら刹那でフィッツが答えたからだ。
「イケメンで、料理できるらしくて、魔力量多くて、それにバフデバフが自由自在。おまけに複合魔術まで使えるんだって!!」
ペラペラとこいつは…
「じゃ、君のいる枠なんてないから。おつかれ」
(言いすぎだろ)
その場にいた本人以外のすべてがそう思っただろう。
何気にコルダが今日はじめて口を開いた。
「あ、あ明日、送別会と歓迎会をする。ので時間になっ、た。た、たら来てください、ね。」
その後特に何事も起こらずにメンバーとタジナが気まずい空気に包まれて、この一日は終わった。