第10話 『吸血鬼の腕輪』の威力
「別に、外で待っててくれてもいいのに」
「子供が入っていくのに、外で待ってなんかられるかよ」
それから、俺たちは陥没した道から壁を上って『ゴブリンの小部屋』の前に来ていた。壁を上るのは苦労するかと思ったが、ゲームでも登れる仕様だったので特に苦戦するようなことはなかった。
まぁ、こんな上層階で意味ありげな部屋があって、入れないなんてことはならないよな。
俺はそう考えながら、さっき手に入れたばかりの『吸血鬼の腕輪』を優しく撫でる。
『吸血鬼の腕輪』はゲームで数回使ったことがあったが、すぐに使わなくなった記憶がある。そりゃあ、単純すぎる魔法しか使えないのに、代償としてHPを削られるのは割に合わないしな。
でも、HPが削られるのも気にしないで戦っていいという状況なら……結構使える呪物なのかも。
「それじゃあ、いきますか」
「おう」
俺はガンナが頷いたのを確認してから、『ゴブリンの小部屋』の扉を開けた。扉を開けた先は真っ暗になっており、俺たちが一歩『ゴブリンの小部屋』に足を踏み入れると、勝手に扉が閉められた。
すると、ぱっと部屋の明かりがついた先で、俺たちを待ち構えている10体ほどのゴブリンたちの姿があった。ゴブリンたちは小さな棍棒のような物を持って余裕そうな表情をしている。
『ゴブリンの小部屋』は、ある程度自由に戦闘することができそうな広さの部屋があり、物が乱雑に置かれていた。
「ゴブリンは仲間同士で連携を取ったりもする。気を付けーーノーン?」
俺はガンナがサバイバルナイフを構えている隣で、短剣を引き抜かずにそっと手のひらをゴブリンたちの方に向けていた。いつもみたいに斬りかかっていかない俺を見て、ガンナは首を傾げる。
俺はちらっとガンナを見てから、ニヤッと口元を緩めて視線をゴブリン達の方に戻した。そして、『吸血鬼の腕輪』を使用することを意識して、ぐっと伸ばしている腕に力を入れる。
……とりあえず、初めは軽くやってみるか。
「『魔力波』!」
俺がそう唱えると、真夏のアスファルトの道路に見えるゆらゆらっとした陽炎のような何かが見えた。
色が付いている訳ではないのだが、確かにそこに何かが存在しているような感じ。それを目視できたのは一瞬のこと、次の瞬間にそれは唸りを上げてゴブリンたちを襲った。
ゴウウゥッ!!
「――ギッ、ギッ!」
ガシャガシャッ、ガガンッ!
そして、陽炎のようなものは辺りに置いてあったモノを含めて、そこにいたゴブリンたちを部屋の壁多に叩きつけた。
ゴブリンたちはずるっと壁から落ちると、それっきり動かなくなり、少し経つと素材と魔石をドロップして砕け散った。
「ノーン……その呪物は軍隊も滅ぼす力があると言われている特級呪物って奴なのか?」
「いや、ただ体力を削って魔力を飛ばすだけの呪物なんだけど。あれ?」
俺たちは一瞬でゴブリンたちを一掃してしまった呪物を前に、表情を硬くしてしまっていた。
軽く撃つつもりで撃ってこれなのか。ていうか、これだけの魔力を放出するっって、俺からどれだけHPを削る気だったんだ、この呪物。
ていうか、俺の知ってる『吸血鬼の腕輪』って、こんな火力出せるやつだっけ?
「とりあえず、キリもいいし一旦ダンジョンを出ようぜ。ドロップした素材の換金もしないとだ。ついでに、その呪物のこともモナに聞いてみよう」
俺はガンナの言葉に頷いて、『ゴブリンの小部屋』にある壊れていないアイテムを拾って、一旦ダンジョンを出ることにした。
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