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悪役令嬢をヒロインと結ばれたいが為に断罪して失敗した元王子が落ちていたので通報してみた。

作者: しまね

「悪役令嬢を王太子と共に断罪して失敗したヒロインが落ちていたので拾ってみた。」の続きになります。

多少BL要素を含みます。

 家の前に妙に煌びやかな金髪の男性が倒れていた。


 これって貴族だよね?

 嫌だな~前に変な少女を拾ったトラウマが脳裏を()ぎる。


 う~~~んと考え込んだ後に鑑定魔法を掛けてみた。


 なになに?


 マヌケリオ・セパル・(元)サティシカル

 18歳

 このサティシカル国の元第一王子であり、元子爵令嬢カリーナと「真実の愛」と思い込みをお互いにし、マヌケリオの婚約者であるビクトリア・ジョジネット公爵令嬢を学園卒業パーティーで冤罪を掛けて婚約破棄をした。しかし、ジョジネット公爵が怒り心頭で国王陛下に抗議。国の中枢を掌握していた公爵に反論出来ず王族は平謝り。結局冤罪は全て暴かれマヌケリオは不能に処理され放逐。カリーナは女王になったビクトリアの奴隷に落とされた。王弟は新婚だったのに離縁させられエリーゼの王配となった。


 こ~の~マヌケめ!!!!!!


 真実の愛=冤罪=婚約破棄=失敗=放逐のフルコンボ元王子じゃん。

 いやいやいやいや、同情の余地なし!

 通報通報!


 私は学習する人間なのだ!




 *********



 は~~~~。


 街の駐在さんみたいな兵士に通報し、元王子を回収してもらったってようやくお茶を飲んで一息ついた。


 しかしなんなの?

 オルフェジナ王国からサティシカル国へ移り住んだのに、また婚約破棄の加害者かよ!!

 三ヵ国で卒業パーティーでの婚約破棄が流行ってんの!?

 いやいやいやいや、だって加害者たちの末路みんな知ってるよね!?

 毒杯に幽閉に処刑に平民落ち・・・・・市民が知らない事でも貴族だったら知っている事も多い筈なのに。お花畑は嫌だねぇ〜。

 所詮本能のままに行動すると、どういう末路になるかいいお手本でした。南無。


 私ニイナは、オルフェジナ王国で薬師をしていたんだけど、キャット・ファイトが激しす・・・ゲフンゲフン・・・い、いや別に!女同士の争いが怖くて移住したんじゃないんだからね!(ツンデレ風)

 ・・・まあ真面目な話、せっかく異世界転生して結構チートな魔法とか貰ってるんで、その力を隠しつつ世界を回って見てみたいな〜とは思ってた! 思ってたけど、世界は世知辛いな〜。

 ま、日本でも世知辛いとは思ってたんで、どの世界にいてもそう思うんだと達観する事にはしているけど。

 このサティシカル国での滞在期間は決めてないけど、オルフェジナ王国とは違った薬草が入手可能なので研究するのも楽しそう。

 さ〜〜〜!新たに頑張ろう!!!







「そこで、可憐なカリーナに出会ったのだが、その時の婚約者であるビクトリアがキツイ性格だった事もあって嫌気が差していた私はコロッとその魅力にメロメロになってしまったのだ!」


「・・・・・」


「冤罪を掛けたのは悪かったが、リアが性悪だった方が悪いではないか・・・・おい、聞いているか?」


 聞いてねーよ。

 あああああ、だんだん口が悪くなってるよ!私!

 どうしてこうなった!

 今回は拾ってないよ!! 通報したんだよ!

 それなのにマヌケが! 助けてもらったからお礼がしたいと!! 私の住所を兵士に聞き出して訪れてきた!

 個人情報~~~~~!

 大体お礼も「助かった」というだけで、その後は延々自分語り。

 こっちは調剤中で忙しいんだよ!

 あああああああああ、いい加減イライラしてきた。


「ちょっとマヌケさん」

「マヌケリオだ」


【マヌケ】はこの世界では、「間が抜けた」意味ではないので嫌味が通じないところが哀しい・・・。

 マヌケめ~~~。


「あなた、私にお礼を云いに来たんだよね? 気持ちは受け取ったからもういいよ」

「本当か!私の気持ちを受け取ってくれたのか!」

「言葉だけね」

「言葉だけで充分だ! そうか私たちは相思相愛だな!」


 うん?


「なんでそこで相思相愛?」

「そなたは私を助けてくれたではないか!私を助けてくれたのは私を好きになったからだろう!

 それで私は会いに来たのだ。私の経歴を話したのはそれでも受け入れてくれるかと思ったからだ」


 モジモジと顔を赤らめて宇宙の彼方から来た宇宙語を話すマヌケ・・・。

 どうなったらそんな思考回路を構築するんだ。前のヒロインといい、どうもよく分からん。

 いや、理解しようとは思わないけど。


 結論。


 頭花畑か。頭全体が恋愛・性思考か。

 キモチ悪ぃな。


「キモチ悪ぃな」

「なっ」


 いかん、思考と言葉が同時に出てしまった。

 まあ、いいや。この人と円満な仲になりたいとかじゃないしね。

 いたな~前世でもこういう奴。

 話しても自分に都合のいいように解釈して私に迷惑をかけてくれちゃってたよ。


 俗に言うストーカーなんだけどね。


 こういう人間にははっきりと言っても分からないんだけど、とにかく拒否だけは示すことにしよう。

 前世は家族が居たし、生活基準が実家や自分の住んでいる場所中心だったから、なにかあっても事を荒立てないようにするしかなかった。それに若い時は友人とわちゃわちゃするのは嫌いじゃなかったけどある程度人間関係経験すると、私の場合は少しの友人と年数回会うだけで満足するようになってた。

 でも、転生後は家族?なにそれ状態だし、日本にいた時みたいに法律が守ってくれたり邪魔したりする訳じゃない。チート能力も持ってる。

 前世の後半の人間関係の気持ちがそのまま残ってるので、今世では人付き合いはある程度で済ませてる。

 この場所も気に食わなかったら引っ越せばいいだけの話だ。


「そんな風に人の言葉を自分に都合のいいように解釈するから、国に不能にされて放逐されたんでしょ」


 マヌケリオは驚愕に目を見開いた。

 あれ?これは市民には広がっていないのかな。


「・・・・鑑定魔法か?」


 さすが元王子、珍しい魔法だし世間にはほとんど知られていない魔法を当てちゃうか~。

 頭はいいんだろうな。思考回路が残念なだけで。


 だから間抜けなんだよな~。


「?よくわかりませんが、ここら辺では有名ですよね。吟遊詩人も謳ってますよ。

 間が抜けた王子の話を(嘘)」

「そんなはずはない!父上は・・・・!」


 そこでマヌケリオは言葉を濁す。

 まあ、確かに不能にしたなんて醜聞、王家は隠すよね。


「考えがポジティブなのはともかく、その恋愛脳はなんとかなんないんですか?

 超迷惑。なにが相思相愛? 私との会話を考えてみても、どこに恋愛的な会話が?」

「いや・・・、私は・・・その・・」


 そこからは、なんかぶつぶつと言ってたけど聞き取れない。

 う~~~ん、よく観察してみると、私に恋をしているという感じじゃないし、前の会話を思い出してみても無理矢理に相思相愛に持っていってたな。

 花畑の恋愛脳じゃないのかな?


 しょうがないな~~~。

 調剤をささっと済ませて、話を聞いて早くお帰り願おう。



 *****************


「それで? 途中、無理やり相思相愛って方向に話を持っていったよね?

 なにがしたいの?」


 とりあえず、この坊ちゃんの話を聞かない限りは延々花畑語を語られそうで、腰を据えて話を聞く事にした。


「・・・・・・・」


 さっきまで意気揚々と話してた姿とはかけ離れて大人しく座っている。

 喋ろうかどうか迷ってるのかな?


 でもねマヌケさん、時間は有限なの、時は金成りなの。そしてこのどうでもいい時間がもったいないの。

 という訳で、もっと詳しく、今度は放逐後の彼について鑑定を掛けちゃうね。



 マヌケリオ・セパル・(元)サティシカル

 18歳

 不能に処理され放逐後、幼馴染でサティシカル国四大公爵、ユーラリア公爵子息のヤンデレトの元にひっそりと身を寄せるが、幼い頃から一途にマヌケリオを想っていたヤンデレトは手を変え品を変えて軟禁。幼馴染だったヤンデレトのあまりの豹変&溺愛振りに戸惑い、訳が分からず彼の元から逃げ出した。



 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~~~~~~~っっ┌(┌^o^)┐┌(┌^o^)┐┌(┌^o^)┐┌(┌^o^)┐┌(┌^o^)┐┌(┌^o^)┐

 ヤンデレ~~~~~~~!!!! ┌(┌^o^)┐┌(┌^o^)┐┌(┌^o^)┐┌(┌^o^)┐┌(┌^o^)┐┌(┌^o^)┐┌(┌^o^)┐┌(┌^o^)┐~~~~~~っっ


 両手で顔を隠して悶絶するしかない。

 ちょっと待て!

 これはあれか!私と恋人になった体でヤンデレトから離れる算段か!!


「ちょっと!私を恋愛事情に巻き込まないでよ!! いいじゃん!ヤンデレト!

 放逐された貴方を守ってくれてるんでしょ!!!」

「勝手に鑑定するなーーっ!今まで普通に幼馴染の関係だったんだぞ!初めはカリーナとの事を止められなかった負い目から世話を焼いてくれてると思っていたのに・・・・・! っっ」


 あ、顔を真っ赤にした・・・・なんかされたな。

 嫌悪の顔じゃないじゃん!なんかエロいじゃん!!ただ単に戸惑ってるだけじゃん!!!

 ┌(┌^o^)┐相手の受けだったら不能でも問題ないじゃん!


 ああ、ホント失敗した。

 前の教訓で通報だけにしておいたのに、なんで恋愛相談なんかしてんの私!

 ヤンデレなんて相手にしてられるか!私が殺されるわ!!!


 ホント今日は厄日だった。こんなのの相手を真面目にした私が馬鹿だった。馬に蹴られて死んじゃう。

 ぶっちゃけ、元王子様が放逐されてちゃんと生活出来るかと言えば否だと思う。

 元国王は、ヤンデレトの思いも行動も把握してそう。


 なんというか、破れ鍋に綴じ蓋。


 悪役令嬢をヒロインと結ばれたいが為に断罪して失敗した元王子を サクッとヤンデレ(ト)に通報したら、すぐに回収に来てくれた。しかも後日、超大金を執事経由で渡された。


 迎えにくるまでにマヌケリオから、「なんで連絡した!」とか罵詈雑言頂いてたんだけど、二人の情報も聞かされた。

 ヤンデレトってマヌケリオの2歳年下なんだ〜〜。

 うわーっっ下克上じゃん!私の大好物です!ありがとうございます!!


 迎えの馬車に押し込められたマヌケリオが、窓から私に向かって文句言ってた。

 スルーしてたけど。


「他人事だと思って!!!」


 他人事ですが、なにか?


 いや〜〜しかし、早めに気が付いて良かった。

 親に殺されるのを回避したのに、うっかり┌(┌^o^)┐の恋愛事情に首突っ込んで、一歩間違えたらヤンデレに殺されてたんじゃないかと思うと背筋が凍えて震えてたのはナイショだ。


 今後は絶対に、そこら辺に落ちていた人は「拾わない」「通報しない」と心に誓った。










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