犠牲の上に成り立たない
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
思ってたのと違う言動が出た時に
『そんな事する人だと思わなかった』
なんて言うじゃないですか。
個人的にそれって恋だと思うんですよ。
長椅子にちょこんと腰掛けて、こてんと頭を預けている。微かに聞こえる寝息からは睡眠不足からは程遠く。深い安らぎを表していた。
最近は鼻詰まりが酷く、常々寝不足なのだと話していた。朝起きるのも億劫で、昼間も眠くて仕方がないと。だから今こうして眠ってしまうのも、なんらおかしな事では無いのだと思った。
それでも、どんなに此奴が不調でも、此処を訪れるのを辞めなかった。ぼんやりとした夢みる眼で、千鳥足になりながら此処に来る。
「そろそろ、誰かに合わせて自分を捨てるの辞めた方が良いんじゃないか」
あの方の前でそんな事を仰ると、どんなものが飛んでくるか分からない。だからあえて帰り道で話題を振ることにした。無駄な事だろうけど。
彼女は朝方神社を訪れた時よりも、意志を含んだ双眸で此方を見る。長い長い沈黙が俺達の間に流れる。
それから意見が纏まった様にまた口を開いた。
「誰かの為じゃないよ。私の為でもないよ。ただ私が行きたいと望んだから、行ってるだけだよ」
「……」
その言葉が嘘では無いということは、顔を見れば明白だった。だからこそ、此方は何も言うことが出来ず、ただ黙って肯定する他ない。
「ならば、他の誰が何と言おうと、お前はそれを貫くんだろうな……」
「うん」
最初優しくて、仲が良くなるに連れて地が出て我儘になる。なんて事は人間間でよくある話。いや、人間だけでは無いのも知れない。物だって神様だってきっとそうなんだと思う。
私が生きてきた中で何度も見た言葉、『そんな事する人だとは思わなかった。そんな貴方大嫌い』。自分の理想を勝手に押し付けて、非難する。よくある話。
「おい、お前最近寝不足なんだろ。暫く寝ていけ」
此処の主はそう仰って、黙って私の真横を陣取った。
私が睨みを効かせて、『じゃあ呼ばないで下さいよ』と、らしくなく叫んだとしても、この方は驚くことすれど、私を否定する事は仰らないだろう。
ただムスッとした顔で『じゃあ此処で寝れば万事解決だろ』と帰って来るかも知れない。
だから、私は揶揄う様にこう申し上げた。
「貴方様、逆なんですねぇ。最初私に意地悪で、後から私にとっても優し……」
「口の利き方気を付けろ、小娘」
不興を買ったその方から、思い切り頬を抓られる。それでも肉が離れない程度には気を使っている。全く気遣いが無いわけでは無いのだ。
私は抓る手の上から自分の左手を重ねてぼんやりと呟いた。
「我儘だとも思いますよ。でも愛さずにはいられないんです。私を気遣う貴方様も、我を通す貴方様も、どちらも。それは何かを犠牲にして成り立つものではありません」
本当の愛情というのは、利己、利他問わないところで動くものだと思うんですよ。何かを犠牲にして、削って愛するのは、いつか終わりが来ると思うんですよ。
「さっさと寝ろ」
「起きてますよ。気が向いたら寝ます」
「……勝手にしろ」
以下何でも許せる方向け。
個人の意見飛び交います。私の発言が許せる方のみ宜しくお願いします。
『こんな事する人だとは思わなかった』
『愛していたのに推すのやめる』
というのは、私からしてみれば、相手側の責任ではなく、理解度が足りなかった此方の責任だと思うんですよ。
気持ちは分かりますよ。言いたくなるのも分かります。
私も同じ様に叫ぶ事がきっとあるでしょう。
でも冷静に、平常心で、感情とは違うところで思考するとそうなるんです。
一方的に向ける愛に似た好意的な感情を、私の中では恋と定義してるので、愛では無いとも思ってます。
お互いがお互いに恋ではなく、愛している話。
(恋愛じゃない愛の形。いい言葉が浮かばない)
互いが互いにめっちゃ我を通しているからこそ、この御二方の間に自己犠牲精神はないんです。
我儘だとも、口の利き方がなってないとも互いに思ってます。恐らくちょっと不快にも思ってる。
それでも許せているし、受け入れられている。
引き摺りまくって、気にする事がない。
それこそ愛し合うという事ではないかと。
そんな話でした。