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【第2話】黒い夢

(なんだ? なんだ? ・・・ 夢 ・・・ ?)

 深く、暗い闇の中。ぼわっと何かが浮かび上がる。

 それは2メートル以上と思える長身の男。

 何も着ておらず、鍛え上げられた筋骨が隆々としているのが見て分かる。頭部は、被り物だろうか、カラスの顔だ。

(そういえば ・・・ 俺はでっかいカラスの化け物に襲われていたんだったな ・・・)

 彼は考えようとしても頭の回転は鈍く、そして体を動かすことができない。

 その男の顔の後頭部からあの穴で彼が拾った羽と同じ見た目のそれが2本生えている、そしてふわふわと白い光を纏い浮いている。

 彼は驚いた。異形の姿の男が大事そうに何かを抱いているのを彼は発見した。


(あっ! ・・・)


 思わず口にだそうとしたが、彼の声は出ない。


 白いTシャツと黒いズボンを履いた青年がその男によって抱かれていた。しかし彼はその顔を見ることができなかった。顔はあちら側にだらんと垂れていてそれが誰かを確認することはできない。


 カラス顔の男が青年らしき者の喉元に噛みついた。


(うわぁ・・・)

 噛みつかれた青年は微動だにしない。仰向けに抱きかかえられ、両腕をだらんと宙に浮かせている。噛まれた首元から噴き出した血がその青年の右腕を伝い滴り落ちていた。

(・・・)

 彼はその光景をただ俯瞰して見ていた。


--------------------------------------


 すると今度彼の目に飛び込んできたのは明るい景色だった。そこにさっき彼が見た青年の右手が見え、そこから吹き出しただろう血がぽたぽたと乾いた地面に滴り落ちている。その血がまるで意思を持ったように地面を動き回り、魔法陣のような円を描いている。あの、さっき拾った羽の模様を描きだした。禍々しいそれを彼は見ている。白い乾いた地面がその不気味さをさらに強調させていた。


 彼はまた別の物を見る。


 地面に黒い小さな点がいくつも動いている。

(ありだ・・・)

 無数のそれが血の魔法陣に向かって行進している。無数の黒い点と、そこから帰ってきた先頭の蟻が彼の視点に向かってくる。

(気持ち悪い・・・・)

 蟻の顎がクイと動く、足と触覚を器用に動かし彼の様子を伺う。さらに蟻は彼に近づき、体の隅々を彼に見せた。

(こっちにくるな ・・・)

 蟻は顔を彼の視点の直ぐ側までくると体を擦りつけた。奴の細い触角と足が彼の眼球に入ってきていた。

「「うわぁああああああああ!!」」

 あまりの気持ち悪さに大声をあげてしまった。

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