【第144話】整いつつある者
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「ケケケケッ」
高層階のビルの1室。小太りの男が楽し気に笑っている。
車椅子に乗ったパンツだけをはいた青年を1人の女性が押してこの部屋にやってきていた。
男がそれを見るや否や手をかざすと青年の体は宙に浮く。
そのまま浮かせ、男の前の長いテーブルに青年を横たえた。
青年の少し前にできた傷口は綺麗に縫合の処置をされ、静かに息を立て寝ていた。
「大分力は付いたよ いっぱいいる キミのお陰だ」
そう男が話すも相手の女性は無視をしていた。
男の背からは白い翼が生え、広げてしまうとこの広いリビングでさえ足りないほどの大きさに膨れ上がっている。
「あとこれ 鍵もだね ありがと コッコケッ」
イカの形の帽子も男の頭髪が膨らんだことで今にも落ちそうだった。
「君はどうするの?」
男がそう女に言う。
「場所が割れたかもしれない 少し力貸して欲しいんだけど?」
女がそう言う。
「いいよ 十分すぎるほど「いる」し ・・・」
「タイミングは連絡するわ サルもお願い」
「うん」
そう会話すると男は青年の腹部に耳を当てた後に大きな手のひらを彼の腹部に当てた。
「あっれぇ ・・・」
男は何かが上手くいかないようで少しだけ焦りの表情を見せた。
「私は行くわよ それに興味はないから ・・・・」
女は部屋を出て行った。
「ええ~ 一緒に楽しもうよ~」
男は青年とにらめっこした後に再度青年の腹部に手を当てていた。