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第4話 思った以上のスキルかもしれない

 ――うお、何だこれ?

 オレは訳が分からないまま、頭になだれ込んできた情報を基に言葉を発する。


「スキル【美食】!」


 その一言を発した途端。

 家の中が真っ白な強い光に包まれた。

 オレは眩しさのあまり思わず目をつぶる。


 な、何だ!?


 光が弱まったのを感じて恐る恐る目を開けると――

 そこには、先ほどまでとはまったく違う部屋が広がっていた。


 壁や床の木材は新品同様に生まれ変わり、ボロボロだったテーブルには真っ白なテーブルクロスまでかかっている。

 椅子も木を組んだだけの粗末なものから、美しくデザインされたツヤツヤのものに変わっていた。

 まるでオシャレなレストランのようだ。


 そしてテーブルに並べていた食料にも変化が起きていた。

 真っ白く美しいお皿の上には、おいしそうな2種類のサンドイッチが乗っている。

 その横には、ちゃっかりフォークまで添えられていた。


 日持ちがするよう固めに作られていたはずのブールはふわっと柔らかくなり、程よい弾力を保って白い湯気を立てている。

 スライスされることで露わになった白く艶やかな姿が、香ばしく焼けた外皮に優しく抱きしめられているかのようだ。


 そしてその間には、1つはチーズと塩漬け燻製肉、それからきのこのオリーブオイル漬け、もう1つはドライフルーツとチーズが挟まっている。

 お皿に端には、瓶から小鉢へ移されたピクルスも彩鮮やかに輝いている。


 ――え。ええええええええ。

 こ、これがスキル【美食】の力なのか!?


 ただの家事スキルだと思っていたが、どうやらおいしい料理を作るだけでなく、空間全体を【美食】に適した状態へセッティングしてくれるスキルだったらしい。

 ちなみに気になって小屋の外の様子を見に行ったが、外観は変わっていなかった。


 オレは椅子に座り、早速出来上がったサンドイッチにかぶりつく。


「うっ! うまああああああああああああああああ!!!」


 えっ? なんだこれ!?


 もっちりふわふわのパンだけじゃなく、全ての食材が今までに食べたことがないほど感動的なおいしさへとランクアップしている。


 塩漬け燻製肉ってこんなにうまかったっけ!?

 ねっとりとした舌ざわりと凝縮された肉のうまみの奥に複数のハーブが顔を覗かせ、その香りが口の中にふわっと広がっていく。

 そしてこの主張の強い肉の味、それからほのかにナッツの風味を感じさせるチーズを、オリーブオイルをまとったきのこが見事に繋いでくれて――


 どれも家にあったただの保存食のはずなのに、とてもそうは思えない。

 実家のシェフ顔負けのクオリティの高さだ。


 このスキル【美食】に可能性を感じたオレは、これで何がどこまでできるのか、その開発に力を注ぐことにした。

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