表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/57

誤解

「別れよう。リナ」


特別に話し合いの為に使用を許可された応接室で、私はルーカスとソファーに座り向き合っている。


「どうして…?」



私は何も悪いことをしていないのに、突然別れを切り出されるという現実が信じられないでいる。

 ルーカスは何か誤解しているだけ。

だから謝ったらきっと許してもらえるはず。また元通り、私達は恋人に…



「リナ、君を信じられないんだ…

僕は、浮気は許せないんだ。もう無理だよ。」



ルーカスは私と一切目を合わすことはなかった。いつもの柔らかい雰囲気のルーカスはそこにはいない。私を軽蔑視したまるで汚いものでも見るように、嫌悪感を剥き出しにしていた。




「ルーカス…私は浮気なんてしてないわ。私はルーカスのことが…」



「止めてくれ!もう僕の名前を呼ばないでくれ。浮気してない?

じゃあ昨日の昼は誰と一緒にいた?

3日前は?エミリオと一緒にいただろ、違うのか?」



「一緒に…いたわ。でもそれはただ食事をしたりしてただけよ。浮気なんて誤解だわ」



ルーカスに問われたその日は私はたしかにエミリオと一緒にいた。でもそれはルーカスの思っているような関係じゃない、ただの誤解なのに



「僕の気持ちが分かる?

リナが…エミリオと楽しそうにいる所を何度も見かけたよ。

これからはただの従業員同士として、やっていこう」


「待ってルーカス」


ルーカスは最後まで目を合わすことはなかった。振り向きもせずに言いたい事だけ言うと、去って行った。



私達の関係はこんな事で壊れる関係だったの…?


今までずっと一緒にどんな時も乗り越えてきたじゃない。楽しいことも辛いことも一番にお互いに話してた。これからもずっとずっと続くものだと思ってたのに。




私とルーカスは家が近いこともあり、小さい頃から何かと一緒にいることが多かった。

ルーカスの父は、男爵家が経営する街で大きな商会の支店の運営を任されており、ルーカスは父の手伝いをしている。

 私の父はその商会の従業員だ。小さい頃から父にお昼ご飯を届けたり、忘れ物を届けたりしていたので、従業員の方とは小さい頃から顔見知りだ。

 

ルーカスと私は学園も同じで、卒業してからはルーカスは父の後継者としての勉強の為に、私は慣れ親しんだ所で働きたかったので、従業員として働かせていただいている。


私とルーカスは明確に婚約はしていないが、いずれは結婚するだろうとお互いに思っていた。

今までは…



私達のことはあっという間に広まっていた。皆が知っている公認の仲であったことが災いした。ギクシャクした雰囲気から

もしかして別れたのかと詮索する者がいたり、噂好きの女性から問いかけられたり。


ルーカスは平民だが容姿が整っていたので、私を疎む者がこれ幸いと噂を流したのだと思う。


私を取り巻く環境は一変した。浮気をした者として孤立していった。

突然父は地方の支店へと異動が決まった。どんなに孤立していても、何も聞かずに守ってくれた父の存在が救いだった。だがもう父もいない。出発する直前まで父はずっと私の事を気にかけていた。


辞めることも考えたけど、私は商会と終身雇用契約を結んでおり、違約金が払えない為辞めることもできない。

そもそも、なぜ終身雇用契約など結んだのかというと、そちらの方が待遇が良かったのと、ルーカスといずれは一緒になると思っていたから。



今更後悔しても遅いけど。


それでも心を無にして過ごすしかないと思っていた。


サラお嬢様がくるまでは。

そうこの商会はゴーデル男爵家が経営している一部だ。ルーカスの父は男爵家から運営を任されている。サラお嬢様は視察と称して商会に滞在することが増えていった。


誰の目から見ても明らかにルーカスに会いに来るために。

ルーカスは優しい。そう誰に対しても…

私は毎日ルーカスとサラお嬢様が一緒にいる所を見るはめになった。











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] そら本命の彼氏がいるのに、他の異性と2人きりになるのはアカンでしょうに…。 浮気と捉えられてもおかしくないし、文句は言えんぞ? しつこく誘ってきた野郎にはキッパリと頑なに拒絶しろよ…私と彼氏…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ