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第十七話 月に叢雲、花に影

「国譲り……神代(かみよ)の幕引き、か」


 ナキサワメが長い話を終えると、明は神妙な顔でうなずいた。

 高天原(たかまがはら)の罪と、それを清算するための国譲り。狂気としか言いようの無い話だったが、敵はその狂気を実現する力を持っている。


「世界中の荒神因子を破壊して異能を消し去るなんて……そんなこと、本当にできるの?」


 スケールが大きすぎて実感が湧かないのだろう。(ひかる)は不安というより当惑した様子でこちらに意見を求めている。


「原理的には不可能ではない。放射線治療の要領で荒神因子のDNA構造を破壊するんだ。出力さえ十分なら地球全土に電磁波を届けることができる」


「それ……大丈夫なの? 放射線治療ってそこそこリスクのある治療法だよね?」


「大丈夫なわけがない。沙夜先生一人の荒神因子を除去するだけでもあれだけ大変だったんだぞ? こんな乱暴なやり方で電磁波を照射すれば、それこそとんでもないことになる」


「どうなっちゃうの?」


「荒神因子の保持者が全員死ぬのは当然として、それ以外の生物にも少なからず被害が出るだろうな。最悪、全人類のDNAがズタズタになる」


「何それ!? そんなの新たな神代ってやつとほとんど変わらないじゃん!」


「ある意味それより酷いかもな。何しろ得るものが何も無い。失うだけだ」


 一転して大騒ぎし始めた晄だが、ふとこちらを覗き込むと、


夜渚(よなぎ)くんはあんまりビックリしてないよね。……もしかして、最初から知ってたの?」


「推測通りではあった」


 当たってほしいとは思わなかったが、という言葉は口に出さず、明は周囲を見渡した。


「異能に依存しないヨモツイクサ。異能を封じる八咫鏡(やたのかがみ)。加えて、それらを内包する飛来御堂(ひらいみどう)は張子の虎だ。ここまで揃えば馬鹿でも分かる」


 ここに至るまでの道中、色々な場所に目を向けてみた。しかし、そこに明の想像していたものは無かった。

 兵士の詰め所も、武器庫も、宿舎も、会議室も、食堂も。要塞を要塞として成り立たせるために必要な設備が何一つ存在していなかったのだ。


「飛来御堂は戦争のために作られた要塞ではない。こいつの真の目的は異能の根絶──つまり、超古代文明・高天原の自滅プログラムだ」


 その引き金となる存在は培養槽に浮かんでおり、相変わらず死人のような目でこちらを観察していた。


『恨んでくれて構わないよ。君たちにはその権利がある』


「申し訳ないという気持ちがあるならこのクソみたいな自爆計画を止めろ。お前たちの身勝手なニヒリズムに無関係の人間を巻き込むな」


『逆だよ。私は自分が生み出してしまったものに対して責任を取らなきゃいけない』


「は。責任という言葉の意味は2000年でずいぶん様変わりしたようだな」


 ナキサワメの目がコンマ数ミリ細められたのを明は見逃さなかった。

 ──まずい。

 直感的に判断し、慌ててその場に身を伏せた。

 直後、頭上で空気が弾けた。


「夜渚く──」


「避けろ!」


 具体的に何かが見えたわけではない。ただ、"来る"という確信があった。戦いはもう始まっているのだ。


「──っ!」


 晄の判断は早く、明が叫んだ時点でその場を飛び退いていた。

 意外と突発的な事態に強いな、と明が感心する間もなく、今度は晄のいた場所で甲高い音がした。

 それは拳銃の発砲音にも似た響きだが、何かが撃ち込まれた形跡は無い。

 ただ、音が来る直前に異変はあった。周囲の空気が、ごくわずかだが震えたのだ。

 それは池に小石を投げ入れたような、ささやかな波紋だ。しかし波紋の数は多く、それら全てがある一点で収束するように計算されていた。


「振動波か……!」


「ずるい! 夜渚くんの振動波は直接触らないと駄目なのに!」


「いや、その縛りは向こうにも適応されているようだ。だが、奴はその欠点を克服した。現神ならではの大出力と、飛来御堂のバックアップ──スパコン顔負けの座標演算能力によってな」


 言う間に追撃が来た。

 起き上がりざま、明はウサギのような姿勢で低く跳んだ。その動きを追うように発砲音がついてくる。


「通常、波のエネルギーは距離とともに拡散していく。しかし拡散した波が乱反射の末に収束すると、それはたちまち力を取り戻す。南米で発生した津波が日本近海で再び大きなうねりを作り出すようにな!」


「実質射程無限ってこと!? そんなのどうすればいいのさ!」


「収束点にいなければただのそよ風と変わらん! とにかく動け! 頭パーンってなるのが嫌ならな!」


「頭パーンは嫌!」


 頭を抱えて走り出す晄。明は狙いを散らすため、彼女とは逆方向に進路を取った。


『照準がブレるから下手に動かない方がいいよ。自分の手足が破裂する瞬間なんて見たくないでしょう?』


「上から目線で結構なことだが、あいにく俺たちは射的ゲームの的じゃない。殴っていいのは殴られる覚悟がある奴だけだぞ?」


『そう。なら試してみればいい』


「無論そうさせてもらう」


 と、口では言ってみたものの、明はナキサワメに向かって突撃するつもりは無かった。

 今のやりとりで確信した。こいつは罠を張っている。無策で進めば、死ぬだけだ。


「まずは挨拶(あいさつ)代わりだ。生徒会御用達の小型ビッグバンを食らうといい」


『──!』


 内ポケットから暗器さながらに取り出したそれを放り投げる。

 それは緩い軌道でナキサワメの方へと飛んでいき……しかし彼女の視線に絡め取られた瞬間、爆散した。

 透明の容器は粉々に吹き飛び、弾けた水が即席の霧を作った。


『……水? いったい何のつもり?』


「やはり水素水はお気に召さないか。ならこれはどうだ?」


 水素水は囮だ。本命は既に放たれている。

 それは一本のボールペンだった。「弾切れに備えて」望美(のぞみ)から押し付けられたもので、シンプルなデザインとそれなりの重厚感が売りの一品だ。

 望美肝いりというだけあって、それは重心をブレさせることなく綺麗な直線軌道でフライトを続けている。

 目標は培養槽の下部。満月を思わせる銀色の球形装置が、その表面におびただしい量の実行ログを垂れ流している。


(間違いない。あれが飛来御堂の中枢制御装置だ)


 この戦いのカギを握っているのはナキサワメではない。飛来御堂だ。

 飛来御堂さえ止めれば電磁放射は行われず、緻密な計算を要する遠隔振動波も無力化できる。ゆえに明はそちらを優先して叩くことにした。

 制御装置は金属製で、その大きさは軽く見積もって1メートル以上。ボールペン程度でどうにかなる代物ではない。

 だが敵は疑心暗鬼になっており、たかが文具と軽く見るような真似はしないだろう。タイミング的に振動波による迎撃も間に合わない。


(さあどうする? 切り札をオープンするなら今しか無いぞ)


 明は来るぞと予感し、予感は的中した。


『く──!』


 とナキサワメが食いしばるような顔を見せ、それを発動させた。

 すると、ボールペンが消えた。


「何だと……!?」


 まるで手品のように。何の前触れもなく。

 ある地点を通り過ぎた瞬間、たしかに存在していたはずのボールペンが無くなってしまったのだ。

 目を凝らしても見つからず、破片すら見当たらない。

 もしかすると目の前の景色はハリボテで、ボールペンはその向こう側に突き抜けていったのかも……などと馬鹿なことを考えてみたが、どうやらそれも無さそうだ。

 周囲の様子に目立った変化は無い。だが、明の異能は消失地点の周辺に強力な波動の出現を感知していた。

 謎の波動は突如として現れ、音もなく光もなく、ナキサワメと制御装置の周りを取り囲んでいる。


(この波長は……電気か? いや、それだけではないな。メインはもっと別の何かだ)


 分からないなら検証あるのみ。

 走る明はかかとを起点に急旋回。靴底で床を鳴かせ、逆走するような姿勢で広間の反対側を視界に収めた。


「晄、ナキサワメの下にある丸い機械を攻撃しろ! あれが制御装置だ!」


「そういう仕事を待ってたのっ!」


 逃げ回っていた晄が笑みを返す。

 彼女は二歩の動きで振動波を避け、続いて二歩で逆サイドに切り返した。

 バスケ選手ばりのフェイントで追撃を流し、握り拳を前に出す。ナキサワメの表情に緊張が走った。


「今度は手加減しないからねっ!」


 それはまさしく太陽の似姿。艦砲射撃を思わせる大口径レーザーだ。

 命なき物体にアマテラスは容赦しない。彼女の最大火力を乗せた一撃はまっすぐに広間を横切り、

 ──消失した。

 それはやはり一定のラインを越えた後、幻のように姿を消してしまった。

 だが今度は少しだけ違う点があった。消失地点に、白くにじんだ光の跡が一瞬だけ残っていたのだ。それが明の仮説を確定させた。


「嘘ぉ!? なんで!?」


 大口を開けて立ち尽くす晄。

 一瞬ののち、思い出したように身を退いた。連続する振動波が機関銃のように鳴り響き、彼女の髪を巻き上げた。


『考えが甘過ぎるよ。ここは飛来御堂。神々の墓場なの。異能に対する備えがあって当然でしょう?』


 ナキサワメの声が冷酷な気配を帯びる。それは人々を裁く無慈悲な女神そのものだ。


『国譲りの要を守護する最強の盾──絶対防衛機構・天叢雲(アメノムラクモ)。これがある限り君たちに打つ手は無い』


「バリアってこと? でも、いったいどうやって……」


『詳しい原理は知らなくていいよ。君たちは絶望だけを理解すればいい』


「白紙回答でもマルをくれるとはお優しいことだな。だが俺はもう答えを記入してしまったぞ」


『なんですって……?』


 不審の目を向けるナキサワメ。明は煽るようにウインクすると、ある一点を指し示した。

 そこは彼らの攻撃が消失した場所であり、当然そこには何も無い。しかし物質以外に目を向ければ、必ずしもその限りではないのだ。


「天叢雲といったか? 大仰な名前だが、つまるところ既存技術の応用でしかない。そう、高天原の得意分野である電気──あるいはそれが作り出す"磁界"だ」


「磁界……っていうと、磁石で砂鉄を動かしたりするやつ?」


「そうだ。電気の流れは磁界を発生させ、磁界の強さは電力に比例する。飛来御堂の大電力を用いれば、高レベルの磁力障壁を作り出すことは難しくない。それこそ、物体を構成する電子を根こそぎ引きずり出すほどのな」


「電子を引きずり出したら、どうなるの?」


「電子は原子同士を結び付ける接着剤のような役目を果たしている。その結びつきが完全に失われた場合、起きることは一つだ」


「も、もうちょっと分かりやすくお願いできますか……?」


「そうだな……お前にも馴染みのある言い方をすると、肉系のおにぎりだ。具材の油でギトギトになったおにぎりはどうなる?」


「バラバラになっちゃう!」


 晄が叫び、飛び上がるように走り出した。逃げた彼女をバラバラにするべく、振動波の衝撃があちらこちらで弾けていく。


「ボールペンは消失したんじゃない。原子レベルに分解されて視認できなくなったんだ。そして絶えず展開する磁力障壁は周囲の空気を分解し続け、高密度電子の激流を形成する。それは光の散乱を引き起こし、瞬く間に光子のエネルギーを消耗させる! 晄の攻撃を止めたのはそれだ!」


「もっと分かりやすくー!」


「電子が邪魔でビームが効かん!」


「把握!」


 そして一方的なウサギ狩りが始まった。

 ナキサワメは矢継ぎ早に振動波を畳みかけ、明たちは絶えず走り続けることで辛くも即死を逃れている。

 執拗な攻撃によって近付くことすらままならず、仮に近付けたとしても天叢雲が立ちはだかる。じりじりと、背中を焼かれるような焦燥感が明の心に忍び寄っていた。


『天叢雲の正体を見破ったことは褒めてあげる。でもそれは絶望が可視化されただけ。人の手は天に届かず、逆転の解は得られない』


「勝利宣言をするのはまだ早いんじゃないか? お前の攻撃は一度も俺たちに命中していない。解が無いのはお互い様だ」


『おめでたい考えね』


 真一文字に結ばれていた口が、冷笑の形を作った。


『もう少しで電磁放射が開始され、国譲りが全てを終わらせてくれる。私はそれまで待てばいいだけ。……だけど、君たちは違う』


「ふん、そんなものでは無駄撃ちの言い訳にならんぞ」


『本当に無駄打ちだと思ってるの?』


「何──?」


 ふとした違和感に顔を押さえる明。

 すると、指先にぬるりとした感触が伝わってきた。

 血だ。知らぬ間に鼻血が出ている。


『直撃を避けることはできても、小さなダメージは確実に蓄積していく。時間は私の味方だよ』


 明は血まみれの手を無言で見つめていたが、ややあってから顔を上げた。

 ナキサワメは依然として氷のような表情を浮かべていたが、空っぽの瞳の奥にはわずかな感情が生まれていた。それは哀れみであり、悲しみだった。


『どうする? それでも続ける? 私のおすすめは抵抗せずに国譲りを待つこと。そうすれば、少なくとも痛みの無い終わりを迎えることはできる』


「その前に聞かせてもらおうか。なぜそこまで異能を危険視する? なぜ荒神が災いを引き起こすと断言できる?」


『それが人のサガだから。荒神に限らず、ヒトという種は力に翻弄(ほんろう)される弱い生き物なの』


 彼女が右手を(ひるがえ)すと、背後の巨大モニターに映像が表示された。

 スライドショーのように流れていくモノクロ写真。それらは様々な時代の様々な場所を移していたが、その全てに共通する点があった。

 戦場と、兵器だ。

 ある者は規格化された刀剣を振り上げ、またある者は火薬の詰まった長筒を構え、またある者は鉄の鳥から燃える卵を投下していた。


『私は飛来御堂を通してこの世界を観察してきた。人々は豊かな生活を求めて文明を発展させてきたはずなのに、それはいつも争いの種にしかならなかった』


 その口は閉ざされたままだが、明の耳には彼女の深いため息が聞こえたような気がした。


『技術は悪用され、モラルは崩壊し、文明の歯車は無力な人々を踏み潰していく。そんなことが何度何度も繰り返されていくうちに、私は気付いたの。……過ぎた力は、滅びをもたらすだけなんだって』


「だから前もって滅びを与えてやろうと? 本末転倒だぞそれは」


『病巣を切除しないと全身に転移するだけでしょう? 最悪の結末を防ぐためには取捨選択が必要なの』


「ちょっと待ってよ! それじゃああなたはひーちゃんも"病巣"だっていうの!?」


『ひーちゃん……?』


「ヒノカグヅチのこと!」


 その名前を耳にした瞬間、ナキサワメが露骨に動揺を見せた。それは虚無の瞳に穿(うが)たれたひずみだ。


「あの子、昔は人を傷つけることしかできない神様だったみたいだけど……それでも今は安全になって、私たちと一緒に暮らしてるんだよ」


『……!』


 晄の言葉がさらにひずみを広げる。すかさず明が援護に入った。


「電霊とはいえ、奴も現神だ。国譲りを生き延びることはできないだろう。お前はせっかく人間らしい幸せを取り戻したあいつをまた傷つけるつもりか?」


『そ、それは……』


「あなたたちが失敗作だと思ってたものが、今はみんなに受け入れられてる。そういうのって、ひーちゃんだけの話じゃないと思うんだ。何がいいか悪いかなんて、後になってから初めて分かることなのに……今ここで"間違ってる"って乱暴に決めちゃうのはおかしくない?」


『……………………』


 氷のようなプレシャーは霧散し、ナキサワメは追い詰められた小動物のように視線をさまよわせている。

 不安定な瞳が天秤のように揺れ動き、その振れ幅はますます大きくなっていく。

 そして、彼女は固く目を閉じた。

 全ての思考を遮断するように。あるいは、暴発しそうな感情を押さえ込むように。

 耳が痛くなるような無音が続き、そして──決断が下された。


『……駄目』


 歯噛みするように唇を震わせ、


『駄目。できない。できない。止まれない。そんなの許されない。もう失敗はできない。私が何とかしなきゃ。私が償わなきゃ。だって、だって、だって──全部私のせいなんだから!!!』


 泣き叫んだ。


『私が高天原を壊した! 私のせいでみんな死んでいった! 私が失敗したから! 私が間違えたから!」


 金切り声を上げた後、しゃくり上げるように沈黙。


『……でも、それよりもっと怖いのは、私の間違いがまた災いを招くかもしれないということ。私の罪は今も続いてる。ずっと終わらない。どんどん増えていく!』


「そ、それは違うよ! きっとみんなも──」


『違わない! 私のせいで明日にも世界が滅びるかもしれない! 高天原の技術が悪用されて誰かが苦しむかもしれない! そんなことになったら死んでも死にきれない! だから終わらせなきゃいけないの!』


 かっと見開かれた目は危うい光を帯びている。

 見せかけの虚無は取り払われ、その奥に押し隠されていた感情が暴かれたのだ。

 それは長い歳月によって()(ただ)れた自責の念に他ならない。

 明はその時、ようやくナキサワメという女性の本質に触れた気がした。


「それがお前の覚悟か、ナキサワメ」


 説得は失敗し、ナキサワメは強烈な殺意をこちらに向けている。

 状況は絶体絶命。敵の守りは鉄壁で、対するこちらはジリ貧だ。おまけにタイムリミットも迫っている。

 だが、何のことは無い。

 やるべきことはいつもと同じ。絶体絶命も今では見慣れた実家と変わらない。

 相手の言い分は理解した。ならば今度は、こちらの言い分で思いきり殴りつけてやるだけだ。


「認めてやるぞナキサワメ。お前は高天原で最も傲慢な現神だ」


『私が、傲慢……!?』


 怒りに眉を歪めるナキサワメ。明は馬鹿にしたように鼻を鳴らすと、


「先ほどは人間のサガがどうのと大層な講釈を垂れ流していたが……お前、全人類が自分の想定した行動しか取らないと思っているのか? だとしたら他人を舐め過ぎだぞ」


 ナキサワメを真っ向からにらみつけた。


「お前の矮小な尺度で人類を計るな。ヒトは絶えず成長し、先人の想像を軽く飛び越えていく。だからこそ未だに絶滅せず、ここまで発展を続けることができたんだ。俺たちが今生きていること。正しくあろうとしていること。それ自体がお前に対する反証となる」


『くだらない。それを詭弁(きべん)っていうのよ』


「ならお前はその詭弁に叩き潰されることになる。そうすれば詭弁は悲観に取って代わるだろうな」


『言葉遊びをしても無駄だよ。君は私の下位互換に過ぎない。手の内は全て分かってる』


「言ったな。ならば見せてやる。人間の可能性をな」


 拳を作り、前に向ける。

 不屈の意志と異能を握り締め、悲嘆の女神に挑むように。


刮目(かつもく)して見るがいい。俺は今日、神を超える」



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