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第十五話 日没

今日は短いです。


  いくつもの花火が弾けては消えていく。

 絶え間なく続く光と音のシンフォニーに人々の興奮は否応なく高められ、皆の視線は常に空を見上げていた。

 だからこそ、その時地上で起きた異変に気付いた者は誰もいなかった。

 校門沿いの並木道から少し離れた場所にある、小さな園芸スペース。

 土いじりの大好きな女生徒によって管理されていたはずのそこは、無残にも荒れ果てていた。

 ささやかな生を謳歌していた花々は根元から踏み潰され、花壇を囲むブロック塀は盛大に傾いている。横倒しにされたプランターの口から、ようやく咲き始めたばかりのコスモスがおっかなびっくり顔を覗かせていた。

 まるで誰かが取っ組み合いの喧嘩でも繰り広げたかのような形跡だが、真相を知るための手掛かりはどこにもない。

 しかし、明日になれば人々は気付くだろう。

 一人の少女がこの町から消えていることに。

 ……もっとも、彼らに"明日"など永遠にやってこないのかもしれないが。


 花火が終わった後も、未だ空は薄明かりに満ちている。

 オーロラにも似た青い光が、天蓋のように覆いかぶさっているのだ。

 とても長い夜が始まろうとしていた。

九章終了。

この後はいつものようにまとめを挟み、次章から最終章「そしてまた日は昇る」が始まります。乞うご期待ください。

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