始まりは平穏に
注意 二人の転生 (女→男)
【金に輝く一筋の彗星が流れし時。時代を変えし者、生まれる】その予言の日、彗星はひとつではなく、ふたつ流れた
1、はじまり
ギアルティア大陸 フィリーレの森
日の暮れかけたその森で木の実を魔法で器用に採取している幼い顔立ちの金髪の金目の青年が一人、彼は手に持つ籠の中の木の実の数を確かめているようだが背後から巨大な獣が忍び寄っているにも関わらず振り返ることもしない、獣は好機と見たようで彼にその牙を剥き出し飛びかかった。
「おい」
低い男の声と共に獣は真っ二つに切られそのまま動かなくなっていた。
銀色の長髪の青年は金髪の青年を睥睨し口を開いた。
「今の、わかってたろ…危ねぇぞ。アースト」
アーストと呼ばれた金髪の青年は、なんでもないようにカゴを見せ
「わかってたよ、レイスが来るの。はい、2番目の依頼のカゴム採取完了」
と言って銀の長髪の青年改め、レイスに笑いかけた。
「ギルドには明日届けるか。…とにかく今日は肉だな」
先程仕留めた獣を見ながら、レイスは嬉しそうにニヤリと笑い食事の支度を始めた。
ブロック上にされた肉を火にかけつつレイスは呟く
「前はこういう事にも憧れたが、あれだな。ちゃんと調理したい」
焼き加減を確かめ、最後の味付けをしたあとスライスしてアーストに手渡す。
「慣れたねぇ」
「20年を2度体験してるしな」
そう、彼らは
2度目の人生を過ごしている
前世では日本と言う国で学校で友達と過ごし、卒業後は社会人として働いていた·····筈、なのだが
アーストは事故で死んだあと、女神とやらに転生してもらったらしい、
俺もまぁ、似たような感じだ。その時に三つの願いを叶えて貰ったのだが
最後の願いがお互いに
「相棒を道づれに」
「相棒を道づれに」
と偶然にも願ったようで、現在も二人共に旅をしている。
「お互いに同じ事願っててよかったよな」
「んー?」
「道づれにってやつ。あれ、普通に相棒殺せって言ってるからな」
「あー!まぁ、俺たちだしなあー」
「確かに」
二人はそのまま森で1晩過ごし、次の日の朝になるとギルドに向かうため街へ戻った。