昇格ですっ!
コンコン
「どうぞ。」
「空野裕翔空港保安官入ります!」
キィィ
ゆっくりと主任室のドアを開ける。
「おぉ、空野くん午前中はお勤めご苦労。それと、今日は第2ターミナル室に居るのは第3班だけだから。窓口頼んだよ~。」
「はい!」
「それと、空野裕翔空港保安官。本日付けで第3班副班長に昇格を命ずる。」
え?俺?
「しょ、昇格ですか?」
「そうだ。副班長頼んだぞ~。」
新しい階級章が手渡される。
「ということで、あと半日がんばれよー。」
「し、失礼しました!」
階級章を握る手が震える。本当に俺でいいのだろうか・・・・・・。
「も、戻りました。」
「おかえり!副班長!お勤めご苦労っ」
「って横山知ってたのかよ!」
「あぁ、主任に呼ばれた時にみんなに報告済みだ!」
新しくなった階級章を付け替える。半日で用無しになった保安官の階級章はロッカーに収めておく。
「でも、班長なんで俺なんですか?」
「うーん。それはねぇ。保安学校で頑張ってたからじゃない?」
「な、なるほど・・・・・・。」
「で、昼ご飯食べなよ。あと30分で休憩終わるけど?」
やべぇ。もうそんな時間か。
出前弁当を高速で平らげて窓口業務に戻る。
「あ、副班長~!頼りにしてるから頑張ってね!」
星沢さんにそう言われた。女の子に頼りにされるのはなんだか嬉しいなぁ。
「空野くん!鼻の下伸びてるよ!」
足立さんに指摘されて素に帰る。
「それじゃあ、足立さんは休憩していいよ。俺と、星沢さんでここやるから!」
「分かったー。あ、でもあのマッチョとご飯食べなきゃなの!?」
絶対聞こえてるよ。やめといた方がいいよ。
「だ、大丈夫だよ。班長もいるから。」
「それもそうね!」
こうして俺は、公務開始半日で謎の昇格を遂げた。