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隣の席は君  作者: 姫野 釉月
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◆隣の席の男子は誰か



 私の隣の席の男子、佐久間 静くんは大変モテるという人で有名だ。

 男子にしてはやや長めの黒髪、鷹のような切れ長の瞳、通った鼻筋に薄い唇。肌も白い方で女の人だったらちょっときつめのお姉さまといった感じだ。まぁ、名前はアレでもちゃんとした男子に違いはないのだが。捲くられた袖から見える筋肉質な腕に、男性特有の喉仏など高校生だからか青年的な雰囲気も持ち合わせている。

 容姿端麗、頭脳明晰とあらば憧れであれ、恋慕であれ、誰かしらから興味を持たれるのは必至である。興味を持たれているはずなのに、当の本人はかなりクールで、おまけに無愛想である。

 だから、そんな人の隣になっただけで女子から睨まれるということはなかったのだが、連続で隣の席になると話は違ってくるようで。少しずつだが、女子からの視線が痛みを伴ってきている気がする。

 朝には彼の差し入れ隊(ファンクラブの人だと風の噂で聞いた)が来るし、英語の時間は隣の人との会話を実践しなければならなくて必然的に彼を相手にしなければならないし、授業の合間の小休憩は宿題忘れ(意図的では?)の男子が彼に群がるしで、大変落ち着かない。むしろなんだかんだで巻き込まれることもある。ホント、彼の隣で良いことなんて何もない。

 あのね、女子の皆さん、そんな冷たい瞳を向けるのなら、誰かこの席代わってください。切実にそう思う。

 しかし、祈りは届かず、未だ『代わってあげるよ!』という救世主はいない。

 その話を聞いた私の親友はそれを楽しんでいる節さえある。まぁ、彼女は隣のクラスなのだから助けるも何もできないだけなのだろうが。いやでも、同じクラスでもきっと遠くからニマニマしながら見ているに違いない。親友が私に対して辛辣な件について。と真面目な顔して呟くと「まぁ、親友だからね」の一言。あの子は絶対将来小悪魔になると思う。だって、私の心を弄ぶのがすごく上手なんだもの。

 それにしても遺憾である。大変遺憾である。

 イケメンは遠くから鑑賞できればそれでいい。関わるも何も、静くんはかなり愛想がないことでも有名だ。それでもめげないファンクラブと男子たちがいればきっと充分だろうに。

 神様、私は前世で何かやらかしましたか?

 本当に、それほどまでにその罪は重すぎるものだったのでしょうか。


「よーし、それじゃあ、席替え始めー」


 朝のSHR、担任の間伸びした声と共にガタガタと机と椅子を動かす音が教室に広がる。

 着いた先、私は早々と席に座り横目で隣に視線を移す。


 そこには、佐久間 静くん。


 もう一方のお隣はグラウンドが見える窓。

 救世主が来なかったことに私は今回も深く机に身を沈ませた。

 

 ダメだ、この席。他の教科でもお隣さんのパターンだ。


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