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竜の親、人の子  作者: 暁月夜 詩音
第四章 竜と人が住む町
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0009-06

「お友だち? でも──」


「黙ってろよ。雑魚が。てめぇが何だろうが関係ねぇよ。ただ緑と陽の嬢ちゃんを傷付けたのが不味かったな?」


 グレンゲが相手の言葉を遮るようにそう言った。向こうは向こうでかなり苛立ったようにこちらを睨んでいる。



「いっつも、グレンゲはそうだよね。仲間が傷つけられるのを見るのが大嫌いだった」

「確かに」


 後ろでコウリョが呟いた。それは昔を懐かしむような顔だった。そんなコウリョの言葉を肯定するようにヨイヅキも答える。




「うるさいっ! 雑魚なんかじゃないっ。どーんっ!」

「見掛け倒しか?」


 任意の場所を爆破させる能力はグレンゲも出来る。それに、なんとなくグレンゲにはどこが爆破されるか予想がついた。



「本物の爆破ってのはこうするんだよっ! 影と茨っ!」

「はいはい。よっと!」


 影に潜んでいたヨイヅキが、チャリオットの影から現れて思いっきり上に投げつけた。ポーンと飛んで行くチャリオット。




 追い討ちをかけるように、爆破が次々に起こっていく。その度に錐揉み状に体を曲げていくチャリオット。




「リョクハ、大丈夫?」

「ありがとうございます。コウリョ先輩」


「ふふっ。いいよ」


 コウリョの手によって、リョクハの傷が全て癒えていく。それと同時に、ようやく打ち上がっていたチャリオットが落ちてきた。



「茨影の牢獄」

「不破の焔」


 先程も模擬戦で使った魔術が、チャリオットを包み込んだ。そして、グレンゲもまた魔術を牢獄の中に放り込む。



 またしても爆音が上がった。だが、それは模擬戦の時よりもずっと大きかった。茨の所々から煙が出ている。



 爆破する焔をグレンゲが入れておいたのだ。普通に喰らえば、逃れることもできただろう。だが、密閉された空間ではそれもできない。



「これで死ななかったら、キモすぎるだろ。よし帰るぞ!」

「確認しなくていいの?」


「ったりまえだ。致死性の魔術を全力で放ったんだ。絶対に死んでいる」



「あ、あの。ありがとうございました。先輩方っ」

 リョクハがグレンゲ達に向かって頭を下げた。彼女なりに考えたのだろう。


「良いってこった。なぁ、お前ら」

「あぁ。以前にもリョクハには助けられたしな」

「そうだよ。お互い様ってやつだよ」




「あ、そうそう。緑と陽の嬢ちゃん。ヨイヅキの家に行くんだが、来るだろ?」

「お邪魔して良いですか?」

 ヨイヅキが頷くと嬉しそうに笑った。そんなに行きたかったのだろうか。それと、これで古竜五体が全員揃ったことになる。



「もちろんだ。じゃぁ、影渡」


 ヨイヅキの魔術によりまた家に戻ってきた。だが、十刻災厄にしてはあっけない終わり方に見えた。

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