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竜の親、人の子  作者: 暁月夜 詩音
第三章 竜達の暮らす里
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クリスマス

「クリスマスだよ。ヨイヅキ」

「あぁ、知ってる」


「良い子にしてたよ?」

 シュトラウスが言外にプレゼントをねだってくる。キラッキラした目でヨイヅキを見ている。


 ちなみに、カーミレはアズサと遊びに言っている。コソコソと話をしていたが、ヨイヅキは聞き取れなかった。



「お前は子供じゃないだろう?」

「いやぁ、ほらさ? 竜として生まれ変わったわけじゃん? だからさ、行けるかな?って思った訳ですよ」


 確かに、言いたいことは分かる。生まれ変わったから元の年齢は関係が無いのではないか、と言いたいのだろう。


「いやいや、精神年齢半世紀が何を言っている」

「ひっどい、合ってるけどさ!」

 昔は長寿の種族だったので、50歳と言ってもまだまだ若い部類である。


「はぁ、買い出しに行ってくる。留守番してろよ?」

「大丈夫? 大通りはバカップルで一杯だと思うよ? えぇ~、あの人ボッチ~、あり得な~いみたいな顔で見られてもいいの?それとも、あぁ」


「なんか言ったか?」

「いやいやぁ、なんでもありませんよ?」


 シュトラウスの声を背中に大通りに出ていった。大通りは色とりどりの光で光っていた。わざわざ色々な色に光る魔導具を作成したそうだ。


 何気に、竜人と人とが合同で作った魔導具の第一号なのだ。始めから娯楽の魔導具を作るという、何ともこの町らしい。そして、最初は竜人も人もおっかなびっくりだった関係が少しずつ変わっていた。


 今では、竜人と人とのカップルがいるほどである。もう少ししたらその内結婚するのではないか、ヨイヅキは予想している。以外と友好的に迎えられた竜人達もとても楽しそうだった。



「はぁ、シュトラウスにカーミレに、アズサのプレゼントか。何がいいのか予想が付かないな」

「良い情報を持っていますよ? 今なら格安でお譲りしますよ?影と茨の魔術師さま」


 おなじみの情報屋黒兎が隣に立っていた。いつぞやの子供の姿をしている。いつものように黒兎姿ではない。


「銀貨三枚でどうだ?」

「いいですよ。ではまずは、シュトラウス様から。シュトラウス様は、髪を解く櫛を所望しておられましたよ? 何でもこの前行った店の櫛に一目惚れしておられました。カーミレ様は、魔術師用の杖に付けるストラップを所望しておられました。アズサ様は、マフラーを所望しておられました」


「そうか、ありがとうな。黒兎」

「いえいえ、いつもご贔屓に。ではまた」


 どこかへと走っていった。人混みに紛れてどこに行ったのか分からない。



「では、買いに行くか」



※※※




「帰って来たぞ?」

「おかえり! ヨイヅキ、はい。プレゼント!」

 可愛いミニスカサンタの姿でカーミレがプレゼントを渡してきた。黄色い包み紙で包まれ赤いリボンで縛ってある箱は、ザ・プレゼントという感じである。


「ありがとう。これはカーミレの分だ」

 黒兎に言われたように魔術師用の杖に付けるストラップ、しかも気休め程度だが魔術の補助までしてくれるモノを買ってきたのでそれを渡した。


「ありがとう! ヨイヅキ」


「これは、アズサの分だ」

「妾の分もあるのか! 嬉しいのじゃ」

 ニコニコと笑いながらプレゼントを抱き締めていた。そして、落ち着かないようにソワソワしているシュトラウスの方に歩いてきた。



「シュトラウス、メリークリスマス」

「うん。メリークリスマス」

 ヨイヅキが真顔でメリークリスマスと言ったので、釣られてそう言った。しかし、両手には何も持っていない。


「ほら、プレゼントだ」

「えへへ、ありがと」

 さっきまで泣きそうになっていた癖にとても嬉しそうに笑っていた。ニマニマしている。



「ほら、見て見て! 料理作ったの。だからさ皆で食べようよ!」

 シュトラウスとアズサとカーミレの3人で作ったらしい。テーブルに並んでいる料理はどれも美味しそうだった。


「早く食べようよ!」

「妾もお腹空いたのじゃ」


「じゃぁ、食べようか」

 ヨイヅキ達が料理を食べている最中に、少しずつ雪が振りだした。今年はホワイトクリスマスになりそうだ。

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