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竜の親、人の子  作者: 暁月夜 詩音
第三章 竜達の暮らす里
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0007-04

 流れる風に身を任せ、ヨイヅキの背中に乗り空を飛ぶこと数十分。ようやく亡霊樹海と呼ばれる樹海が遠くに、うっすらと見え始めてきた。


「のぉ。何故、亡霊樹海なのじゃ?ただの樹海じゃないのかのぉ?」


 アズサがそんな質問をしてきた。カーミレは確かに!という顔をして考え始める。シュトラウスは、知ってる!という顔をしてどう話すかまとめているようだ。ヨイヅキに至っては話が聞こえてすらいない。



「それはねぇ」

 ニヤニヤとしながら話始めた。


 なんでも、亡霊樹海に入ると生きて出ることがほぼ不可能らしい。そのため、それまでは未知の樹海と呼ばれていた。


 だが始めて、未知の樹海から帰って来た若者がいた。緑色の髪だったと言われているらしい。


 その若者の話を聞くには、周りには大量の亡霊がおり、こちらを襲っていたとのこと。そして、襲われた者がまた入ってした者達を襲って……としていたようだ。



 それから、無闇に未知の樹海に入る者は居なくなった。それと同時に名前も改められ、亡霊樹海になったのこと。



「おぉ。怖いのじゃ。カーミレは怖くはないのかのぉ?」

「うーん。一番怖いのはヨイヅキが怒った時だから……」


 思い出しても余程怖かったのか、一瞬震えていた。トラウマにさせる程、何で起こったのか気になるところだがそれは聞かない方がいいのだろう。



「わっ!危ない」

 いきなり火炎弾がこちらに飛んで来た。どこから飛んで来たのかと言えば、横からとしか言いようがない。


 アズサによって、強制的に上に曲がったのでヨイヅキにダメージは無かった。



『敵影を目視。カーミレ、行けるか?』

 頭にヨイヅキの声が響く。耳を通して聞くのではない、不思議な感覚がした。


「うん!」

 敵を探して見つけた後に元気よく答えて、詠唱を始める。



「全てを凍てつかせる氷よ。槍となり我が意思のままに飛べ!」

 カーミレのと言うよりも、ヨイヅキの周りには氷でできた槍が現れた。それが、カーミレが見た敵の方向に向かってすさまじい速度で飛んで行く。



 びちゃん!と赤い飛沫が上がった気がするが気のせいだろう。そのまま、氷が砕けずに赤く染まって地面に落ちていったのも気のせいだろう。


「さすがなのじゃ。カーミレ。敵が一瞬で消えたのぉ」


『だいぶ、上手くなってるな。あ、後もうそろそろで着くからな』


 どうやらようやく亡霊樹海に着くらしい。樹海というに相応しく、多くの木々に覆われている。そして、霧がかかっている。


 亡霊樹海の中に降り立つと、霧が段々と濃くなっていき亡霊が現れ始める。人形だがどこか形の崩れている亡霊が。



「ひっ」

「リョクハ!居るんだろ?迎えに来てくれ」

 周りの亡霊にものともせずに大声で叫んだ。シュトラウスやカーミレ、アズサが物凄く怖がっているのだが無視しているかのようにヨイヅキはスルーしていた。




「ヨイヅキ先輩。ようやく来てくれたんですね。いつしかの件、改めてお礼申し上げます。それと、先輩のお連れの方々もよく来てくださいました。さぁ、入ってください」

 いつしかの件というのは、朽ちた竜の討伐のことだろう。


 緑の鱗には木々が生えているところもあった。だが、この姿では不便なのでスルスルと人形に戻っていった。


 緑色の長い髪をした男性へと変わった。男といっても、中性的な顔つきなので女にも見えなくもない。


 そんな不思議なリョクハの後に着いて行って、竜達の宴へと参加することとなった。

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