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竜の親、人の子  作者: 暁月夜 詩音
第三章 竜達の暮らす里
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0007-03

 町の人々の目は、あまり変わらなかった。と言っても好奇の目で見られる事が増えたが。


 危害が加わることはないので、ひとまず安心しているところである。



 ヨイヅキは戦闘向けのローブと鞄を。カーミレも、ローブを来ていた。アズサは出会った頃と同じ服装に星天紅華を腰に挿していた。


 ヨイヅキの鞄には、見た目以上にたくさんの物が入っていた。全員分の普段着だったり、日常用品だったりだ。


 まぁ、ヨイヅキが竜化して家に取りに行くこともできるので、気楽に選んだものばかりである。



 ちなみに、シュトラウス朝一番にナルトリア大神殿に向かった。自らの生存を知らせるためだ。見た目が大きく変わっているので、最初は信じてもらえなかったらしいが、神殿長しか開くことのできない十刻災厄に関しての石板が入った箱を開けられたので認められたらしい。


 ついでに、参之刻の黄色い石は砕けてなくなっていたようだ。討伐したからであろう。



「亡霊樹海に行かれるのでしょう?大丈夫ですか?」

「久しぶりだな。黒兎」


 影からヌルリと黒兎が現れた。最近、忙しくてほとんど姿を見ていなかったが黒兎の方から話しかけてくるとは珍しいこともあったものである。


「えぇ。参之刻の討伐のお礼を……影と茨の古竜サマ、ありがとうございました」

「さすが黒兎。情報を知るのが早いな。だが、昔通りに読んでくれないか?」


「仰せのままに」

 わざとらしく、大振りに礼をしてから消えていった。



「ヨイヅキ。誰と話してたの?」

「あぁ。黒兎だ」


 てとてと、とカーミレが歩いてきた。準備は終わったらしい。髪を綺麗に編み込んでいる。空を飛んで行くので崩れる気がするのだが、言わぬが花だろう。



「え!黒兎さん。いたの?お話ししたかったな」

「残念だな。また今度だ」


 ぶー。と頬を膨らませたが、すぐにヨイヅキの近くまで歩いてきた。それと同時にシュトラウスもアズサもこちらに来た。



「じゃぁ、揃ったな。町の外に行こうか」

「うん!」

「そうだね!」

「わかったのじゃ」

 ぞろぞろと町の外まで歩いていく。何事かとこちらを見る人の目が気になったが無視して歩いていく。



 人目が付かない所まで来たら、竜化した。黒い鱗に金の瞳の竜はゆっくりとその巨体を地面につける。早く乗れと言わんばかりであった。


 始めに、アズサの力を借りてカーミレとシュトラウスがヨイヅキの背中によじ登った。ごつごつとしていて固い鱗であったが、人肌程度にほんのりと暖かった。



 アズサが身軽に乗ると、ヨイヅキは体を起こして空へと羽ばたくために羽を大きく動かした。爆風が辺りを襲う。それと同時にヨイヅキは空へと飛んでいった。



 亡霊樹海まではそこそこ遠い。それまで、この強風に耐えなければならいのだ。みな、頑張って耐えている。


 だが、少しすると慣れてきたのか楽しみだした三名である。下の流れるように消えていく景色を見たり雲に手を伸ばしてみたりと、楽しんでいた。



 怖がらずに楽しめる理由として、何かしらあってもヨイヅキが助けてくれるという安心感があるのだろう。


 このように空を翔て、亡霊樹海を目指していた。

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