0007-02
すいません。少し短いです。
シュトラウスを連れて影渡は出来ないので、残念ながら空を飛んでいくことにした上空を飛ぶなんて事はシュトラウスの人生の中で初めての事だろう。
最初は怖がっていたが、中盤辺りから楽しんでいた。すっかり、日が登り始めてカーミレが起きるか起きないかのギリギリの時間帯になってしまった。
起きていたら怒られそうだ。
町に着いた頃には朝日が登っていた。もはや確実に起きているのは確定なのでそー、っと扉を開けたのだが案の定扉の前にはカーミレがいた。
仁王立ちである。
ヨイヅキを見ながら、目で説明しろ!と迫っている。なかなか器用なことをしているようだ。
「カーミレ。すまん。シュトラウスを連れて帰っていた」
「ふーん。それで、朝帰ってきたの?」
完全に怒っている。まぁ、完全に悪いのはヨイヅキなので仕方がないのだが。
「もぅ。カーミレちゃん。そんなに責めちゃダメでしょ!」
「えーっと……誰ですか?」
カーミレのその言葉にショックを受けているようだ。まぁ、それもそうだろう。見た目も声も大きく変わってしまっている。
この状態で判断できる者など、殆ど居ないだろう。
「シュトラウスお姉ちゃんだよ!」
「え、嘘だ!お姉ちゃんは死んでし──あっーー!」
ラバーズが倒されてもなにも言わなかったのでカーミレは察して何も聞かなかったのだが、確かにカーミレの思い違いである。
「おねぇちゃん!よかった!よかったよぉ」
「ごめんね。心配かけて」
「ふぁ。ん?なんじゃ。ヨイヅキ殿。居たのか?あ、ベッド使わせて貰ったのじゃ」
呑気に今起きてきたようだ、ボッサボサの髪をかきながら扉から出てきた。
「ふむ。そっちの子がシュトラウスとやらかのぉ」
カーミレと抱き合っている少年、否シュトラウスを見てそう理解していた。
「さて、ヨイヅキ殿。竜の里にいくのじゃろ?妾も着いていきたいのじゃがダメかの?」
「多分、大丈夫だと思うが。襲われるぞ?人間だから、な」
まだ人間を快く思っていない竜も少数だが居るのだ。竜を快く思わない人間が居るのと同じように。
「それでも、じゃ。責任は全て妾がとる」
笑いながらそう言った。それならば、とアズサの同行を許可した。その隣でカーミレに抱きつかれているシュトラウスがこちらを見ている。
おおよそ、自分も連れていって欲しい、とかだろう。
「もちろん、シュトラウスもカーミレも行くんだよな?」
「そ、そうだよ!まったく」
シュトラウスがニヘラと笑っていた。余程、嬉しかったのだろう。カーミレはキョトン?としていた。
「じゃぁ、準備してから向かおうか。緑と陽の竜の隠れ里、亡霊樹海へ」