0001-04
前の回にハロウィンSSを掲載しています。
良かったら読んでください!
「ヨイヅキ!さっきぶり!」
「今度は何だ?昼なら作ってないぞ」
グデグデすること二時間。カーミレは机の上で寝ていたので、ソファーに移してそこで寝ている。
また扉をこじ開けて入ってきた。そろそろ扉が壊れるのではないかと心配になる。
「えっ!無いの」
「買い物に行かないといけないしな。あとうるさい。カーミレが寝ている」
かなりがっかりした顔をしている。が、すぐにニヤニヤとした顔になった。
「ふーん、ヨイヅキぃ。ちゃんと、パパしてるんだ。痛っ」
「うるさい」
足には黒い茨が巻き付いていた。ちなみに痛いと感じるだけで外傷はない。幻影の一種である。過激な照れ隠しである。
「でもさ、考えて見てよ。ヨイヅキ。君に女の子の着替えが買えるのかい!」
ばばばん!と指をさして言った。なぜかドヤ顔だった。
「確かに、分からないな」
「一週間分の食事で代行してあげようか?」
一週間もなにも、毎日食べに来ているだろうが、という言葉を飲み込んで。たのむ、とだけ言った。
「んー?どうしたの?」
「あ、起きたね。早速だけど、買い物に行こうか!」
「おねぇさん、誰?」
その一言に、そこそこのダメージを受けていた。しかし、ダメージを受けるのもおかしな話である。自己紹介をしていないのだから。
「おねぇさんは、シュトラウス。ラウスおねぇちゃんって呼んで良いよ。そこのヨイヅキの監視役」
「まぁ、弱いから大丈夫だ。何かあったら、誰にも気づかれずにやっておく」
付け足すようにヨイヅキがカーミレに言う。
「ねぇねぇ、そのやるってさ。もしかして、キルって別の言葉で言わない?」
「さぁ?どうだろうな」
そんなやり取りをクスクスと笑いながらカーミレが見ていた。どこにおもしろい要素があったのかは分からないが。
「ヨイヅキも一緒、来て?」
「あー、うん。もちろんだ」
少しだけ不安そうな顔をしていたが、そう言われてぱぁ、と顔を明るくする。
※※※
「じゃぁ、行こうか!」
「うん!」
ブカブカな服のままで、シュトラウスに抱っこされている。まだまだ体力は落ちているので長距離を歩くことはできない。
街は、賑わっていた。石畳の綺麗な道には塵一つ落ちておらず、等間隔に植えられた街路樹は緑の葉と白い花を咲かせている。
「きれい!」
「だろう?ここは、俺のお気に入りの町だからな」
嬉しそうにヨイヅキが答える。ちなみにここを創ったのはヨイヅキではない。ただ前に来て気に入って暮らしているだけである。
活気に溢れた道を歩いていく。ゆったりと、周りの景色を見せながら。小さな鳥が木に止まり囀ずっていたり、ゆったりと白い蝶が街路樹の花の蜜を吸っていた。
そして、辿り着いたのが子供服専門店だった。
「いらっしゃいませぇ。ご自由に見て回ってくださぁい。はふぅ~」
大あくびをしながら、カウンターに座っていたのは女の店員だった。かなりやる気が無いようにしか見えない。
「カーミレちゃん。好きなのを選んで!ヨイヅキは、金持ちだから何着でも買ってくれるよ!」
ニヒヒ、と笑いながらカーミレを下ろした。少しふらついていた。シュトラウスが笑いかけながらそう言った。おもっいきり、ヨイヅキには睨まれている。
もっとも、金持ちなのは当たっているが。
「すまんが、いいか?」
「えぇ、まぁいいですよぉ」
かなり、イラッとする程にゆったりとしていた。しかも、あくびを噛み殺さずそのまま口を開けている。
「女の子供が必要とするものを、四着ずつ貰えないか?」
「お客さん、そんな趣味ですかぁ?まぁ、趣味嗜好は人それぞれですからねぇ」
なんともひどい誤解の仕方である。勝手にロリコン扱いされているようにしか聞こえなかった。
先程よりもイラッ、としたが抑えてまた話始める。
「いや、さっきの娘のやつだ」
「あぁ。わかりましたぁ、なら働きますねぇ。あ~、やだやだ」
どんだけものぐさな性格なのだろうか。しかも、この少女だけを店に置いておく店主も店主である。
ものすごく重そうに腰を上げて、店のなかを回っていっていた。
「だれが、ロリコンだ」
抑えてきれなかったのか、小声でそう言っていた。