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竜の親、人の子  作者: 暁月夜 詩音
第二章 動き出す脅威
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0006-06

 ラバーズがヨイヅキの方向を振り向く。ゆっくりとだが、確実にこちらを見ていた。その薄気味悪さに一度後ろに飛んだ。


 これが、ヨイヅキの運命を分けることになった。なんと、ヨイヅキが進もうとしていた方向の道に放射状の亀裂が入ったのだ。紛れもなく、ラバーズの能力であろう。



「ちっ。影茨の牢獄よ。捕らえよ」

 魔術を最短で放つ。放ったのは、拘束用の魔術である。影と茨の属性をふんだんに使い、ほぼ破壊はできない影茨の牢獄。



「無駄っ!」

 牢獄の中から叫び声が聞こえる。それと同時に茨にヒビが入った。ヨイヅキの顔が引きつる。まさか、こんなにも早くヒビが入るとは思っていなかったのだろう。



「苦戦しておるようじゃな。ヨイヅキ殿」

「あぁ、元々俺は攻撃じゃなくてサポート役なんだよなぁ」


 言い訳のようにアズサに愚痴る。それを、それでもヨイヅキ殿は十分に強いのじゃ。とだけ返されてアズサが星天紅華を強く握り直した。




 影茨の牢獄はもう数分しかもたないだろう。後続の魔術師も詠唱が完了したようだ。あとは、最後の一小節を言えば放てる状態のようだ。



 アズサが星天紅華を持って影茨の牢獄に向かって走っていく。どうせ、破壊されるなら先に攻撃してしまおうと言うのが考えのようだ。



「切り裂くのじゃ!星天紅華!」

 アズサの声に反応して、星天紅華が薄く輝いた気がした。そんな効果は無い。もともと、魔術すら使えないのだから。



 スパンと茨と共にラバーズの左腕を切り取った。クルクルと空を回ってから、べちゃりと落ちた左腕。



 ラバーズ本体からも、大量の血が流れ始めた。心臓の鼓動に合わせて、びゅっびゅっ、と。だが、それすらも直ぐに止まってしまう。



 切断された周りの肉が気持ち悪い速度で再生し始める。だが、それとほとんど同時に夥しい魔術が飛び交う。




「無駄、無駄、無駄、無駄、無駄ぁ!どうせ、有効打は無いんだろう!おとなしく皆、死んでしまえっ!」


「そうか?お前は何が目的なんだ?」

 ラバーズの叫び声。そして、ヨイヅキが静かに問う。なぜ、このような事をしたのか。理由を聞いて許すつもりなど微塵もないが。



「いずれ、この世界は滅びる。確実に、拾之刻によって!だけど、それよりも先に他の刻の奴達で、皆殺しにできるかどうかの、ゲームさ!拾刻の中の誰が、最初に世界を滅ぼすか、ってさ」


「そうか。だが、もういい。黙れ。その罪は地獄で償え。貫け!」


 地面から恐ろしい速度でラバーズを突き刺す影茨の槍。そう先程、地面に突き刺さっていた槍である。そのまま術を解除しなかったのはこれが目的であった。



 まるで踊るように串刺しにされる。頭と心臓を的確に貫いているので恐らく死んだであろう。追い討ちとばかりに、たくさんの魔術が放たれる。


 貫かれ、焼かれ、凍り、痺れ、全形をもとどめない程になった参之刻を掲げ、ヨイヅキが宣言した。



「この町の住人よ!心して聞け!この町の脅威だった十刻災厄の内の一つ。参之刻を討伐した!ここにいる皆が、全て英雄である!」


 これが十刻災厄の一つ。参之刻を討伐し、ヨイヅキが本当の姿(竜の姿)を見せた日である。


 そしてナルトリアの町に、平和が戻った日であった。



 さて、どうだったでしょうか?

 初めての戦闘回。それもそこそこ長かったはずです。至らない点も多々あると思います。


 あと少しで第二章も終わります。



 次は第三章です。お楽しみに!

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