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竜の親、人の子  作者: 暁月夜 詩音
第二章 動き出す脅威
27/65

0004-06

 ヨイヅキとカーミレが出会う所から遡ること数時間。


 珍しく昼時になっても帰ってこないカーミレが心配になり始めたヨイヅキは黒兎を呼び出した。


「こんな昼間から、しかも影と茨の魔術師様のご自宅で呼び出して頂けるとは」

「世辞はいい。カーミレの居場所を教えてほしい」

 冗談めかした黒兎の挨拶を無視し、簡潔に内容を告げる。お弟子サマの居場所ですね、と呟いた。


「対価は何を頂けますか?」

「では何が欲しい?」


「そうですねぇ。例えば不老不死の霊薬の作り方、とかですかねぇ」

 知っているのだろう?と言いたげに黒兎が笑った。


「釣り合わないぞ?却下だ。銀貨一枚を対価にする」

「そうですか。次こそは手に入れて見せましょう。その不老の訳を……まぁ、良いでしょう。お弟子サマは、いま捕まっておりますね。人身売買の組織に」


「ほう。分かった。そんな不届き者がまだこの町に居たとはなぁ」

 ヨイヅキの目がスッと細くなる。かなりキレているらしい。感謝する、とだけ言いうと近くの影に入った。


 影に入り瞬時に竜化する。人ではなく竜。全ての制限が無くなり本来の力を取り戻す。


 影渡。これは、見たことのある場所へと影から影へと移動できる技である。しかし、竜化状態なら見たこともない場所も名前を知っていれば瞬時に移動できる。


 そして、誰にも見えない場所に尻尾を出す。そして、カーミレを見る。その袖にできた小さな影に人化して影渡する。





 こうして、ヨイヅキとカーミレは再開した。人身売買の檻の中でだが。


 精神汚染用の外道魔術である。恐怖と闇で精神を蝕み抵抗できなくする魔術であり第六禁忌魔術の一つでもある。


 使っているのがバレれば即、生死問わずのお尋ね者になるという。



「さて、どうやって出ようか」

「え?」

 ヨイヅキの一言に、来ただけなの?と言うような顔をする。帰れる手段があるから、助けに来たと思ったのだろう。



「まぁ、いい。カーミレ、えーと」

「ゼエシ、セール、ムムルだよ!」


「じゃぁ、お前ら。今からこの状況を説明する。お前らは今から何もしなければ売られる。そして、まぁ。ロクでもない未来しかないな」

 その言葉に顔が絶望に染まる四人。売られる、この言葉はもう理解できる歳である。


 人身売買の未来など知っているのだ。人としてではなく物として扱われる。




「だが、俺は影と茨の魔術師。そして、お前らは運が良い。お前らはカーミレの友人なのだろう?全員、まとめて助けてやろう」

「素直じゃない。ヨイヅキ」

 小さくされど、ヨイヅキには聞こえるようにカーミレが呟いた。どうやら、上から目線が気に入らなかったらしい。




「惑わしは効かず、その目は真実を貫く」

 ヨイヅキの小さな詠唱と共に、薄暗かった周りはただの味気ない檻となった。馬車の中に入れられているらしく、時おり揺れていた。先程の激しい揺れは何か石にでも乗り上げたのだろう。


「カーミレ、これを」

 ヨイヅキの使っていた杖を渡された。そして、意図に気がつく。ゆっくりと確実に詠唱を始めていく。



「茨の氷は絡み付き動きを止める。凍てつくその身は温もりを奪う」

 それはカーミレの目の前を渡り、馬車を凍らせ運転主を凍らせた。


「さすがだな。カーミレ」

 誉められて嬉しそうにしている。




「じゃあ、出るか」

 魔術で檻を破壊する。その大きな音と衝撃はすさまじいものだった。




※※※




 あの後人身売買の証拠が上がり、禁術を使用していたこともあり犯人達は全員処刑された。


 そして、町にはまた平和が戻ったのだった。

0004話、完結です。


 もやもやぁ、とするのでもしかしたら改編するかもしれません。したら最新話と活動報告でお知らせします。


 そして、次回は0005話。十刻災厄が動き始めますよ~。


 ですが、少しだけおやすみします。すいません。ですが、直ぐに戻ってくるはずです。

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