0004-03
そこは前人未踏の地。人間種の誰もその場所へと足を踏み入れることすらできない。火山からは延々と溶岩が流れ出している。赤黒く淡く輝く溶岩は激しい熱気を放ち歩けばたちまち肺が焼けるであろう。
そんな火山の山頂には里があった。全員が全員。赤髪であり、若い者から老人までの様々な年代の人がいた。
それと同時に赤い鱗の竜が至る所に居る。飛んでいるものもいたりする。
ここは、竜の最後の楽園。灼熱火山の頂上である。
「グレンゲ様、今回の集いはここであられるのでしょう?宴の準備をしますね」
「ん?頼むぜ。さすが俺の右腕だな。これからもよろしく頼む。宴はお前の裁量で盛り上げろよ!」
荒々しい赤髪に、着ている服装も他よりも豪華なグレンゲと呼ばれた男とその隣で長い髪をそのまま下ろした女性が喋っていた。
「承知しました」
すごすごと下がっていった。その後もグレンゲは歩いている。グレンゲ様、グレンゲ様と道行く人と竜に話し掛けられる。
「今回も、影と茨の野郎は来ないんだろうな。じゃぁ、霧と断の姐さんと緑と陽の嬢ちゃんと光と癒のアホの三人か」
霧と断の竜、スイハ。緑と陽の竜、リョクハ。光と癒の竜、コウリョの三体の竜が今回はこの灼熱火山に訪れる。前回は、スイハの深海洞窟に集まった。
割りと竜通しの仲は良い。影と茨はあまり交流しないが。
そんな考え事をしている内に、一体の古竜がやってきた。鱗は無く白い羽毛のようなもので全身の覆われている竜である。
「やっほ~。焔と破のグレンゲ!一番乗りでやって来たよ!」
「早かったな。光と癒のアホ」
ぶったぎるように、そう言う。コウリョが竜から人の姿になる。身長はかなり低く子供ほどしかない。白と黄色を基調とした服装である。
「ひっどぉい。アホじゃないもん!アホっていう方がアホなんだよ」
アーホ、アーホと笑いながら駆けていった。何時もの事である。一番若いのが、このコウリョであるのだ。
「今回は、邪魔するよ。グレンゲ」
「はい!姐さん」
次に来たのは蒼の竜だった。スベスベとした鱗の竜。それに嬉しそうに返答するグレンゲ。実は、憧れているのだ。その強さと信念に。
竜から人へと変わる。蒼色の長い髪に蒼と紫を基調とした大人の色気の漂う服装に変わる。
「ふぁぁ、少し寝るわ。グレンゲ。あんたの家に居るから始まるときに起こしてね」
大あくびをして、そのまま歩いていった。スイハは一日の半分を睡眠に捧げているのだ。
最後に現れたのが緑と陽の竜。リョクハはである。緑の鱗に木々のようなものがこびりついている。
「遅れました。すいません!」
「そんなに遅れてねぇよ。心配すんな。よし、集まったか。宴を始めようか!」